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横断歩道を横断する自転車と進行妨害。

だいぶ前に書いたこちらの判例についてですが、

こちらにまとめ直しました。 以後、追加は下記にしていきます。 先日このような記事を書いたのですが、 ...

ちょっとまとめ直しました。

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この記事は過去に書いた判例など、まとめたものになります。 いろんな記事に散らかっている判例をまとめました。 横断歩道と自転車の関...

この中で、横断歩道を横断した自転車が優先道路の進行妨害をした(36条2項)と判示されているのがあります。

なぜ進行妨害?

判例は福岡高裁平成30年1月18日。
一審の福岡地裁の時点で優先道路だからという理由は示されてましたが、二審の福岡高裁も是認しました。

で。
横断歩道上なのに優先道路の進行妨害?という疑問を持つ人もいるようなのですが、一審の事実認定からイラスト化するとこうなります。

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文字からイラスト化すると細部は不明だし、しまいには「デマ」呼ばわりされたりするような時代。
いいですよね、ご自身のデマは棚に上げて。

で、しつこく聞いてくる人がいて面倒なので調べてきました。
はい、上のイラストでビンゴでした。

一審の事実認定、どの記事で書いたのかよくわからなくなりましたが、要は車が通行していた道路に比べてT字路になっている道路は「明らかに狭い道路」。
しかも優先道路はセンターラインもずっと伸びているような状況。

自転車は車両。
横断歩道を使うことは禁止されていないにしろ、要は優先道路を横切って非優先道路方向に進行することを優先道路の進行妨害(36条2項)とみなして検討し、一審の判断を高裁も是認したということ。

(交差点における他の車両等との関係等)
第三十六条
2 車両等は、交通整理の行なわれていない交差点においては、その通行している道路が優先道路(道路標識等により優先道路として指定されているもの及び当該交差点において当該道路における車両の通行を規制する道路標識等による中央線又は車両通行帯が設けられている道路をいう。以下同じ。)である場合を除き、交差道路が優先道路であるとき、又はその通行している道路の幅員よりも交差道路の幅員が明らかに広いものであるときは、当該交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。

横断歩道を横断する自転車は、あくまでも自転車。
38条1項の優先の対象にはならないし、優先道路に直角に進行した以上はこのようにみなす。

道路交通法は歩行者と軽車両である自転車を明確に区別しており、自転車を押して歩いている者は、歩行者とみなして歩行者と同様の保護を与えている。(同法2条3項)のに対し、自転車の運転者に対しては歩行者に準ずるような特別な扱いはしておらず、同法が自転車に乗って横断歩道を通行することを禁止しているとまでは解せないものの、横断歩道を自転車に乗って横断する場合と自転車を押して徒歩で横断する場合とでは道路交通法上の要保護性には明らかな差があるというべきである。
また、道路交通法38条1項は、自転車については、自転車横断帯(自転車の横断の用に供される道路の部分・同法2条1項4号の2)を横断している場合に自転車を優先することを規定したものであって、横断歩道(歩行者の横断の用に供される道路の部分・同法2条1項4号)を横断している場合にまで自転車に優先することを規定しているとまでは解されず、むしろ、本件の場合、Aは、優先道路である本件道路進行車両の進行妨害禁止義務を負う(同法36条2項)ことからすると、過失相殺の判断にあたっては、原判決判示のとおり、自転車が横断歩道上を通行する際は、車両等が他の歩行者と同様に注意を向けてくれるものと期待されることが通常であることの限度で考慮するのが相当である。

平成30年1月18日 福岡高裁

他の判例で似たようなものがないかちょっと探してみたのですが、同程度の車道幅の道路が直行する交差点(信号機なし)で、横断歩道を横断した自転車の判例がありました。

この判例、片方に一時停止規制がかかっているのですが、横断歩道を使って横断したことから自転車側に有利に捉えるべきと主張しています。

イメージ図(間違いがあるかもしれないので正確性は保証しません)。

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被告には、本件交差点を進行する際に、本件交差点周辺の歩道等を進行してくる自転車等の有無及びその動向に全く注意を払わずに前方不注視のまま進行した過失があると認められ、他方、原告にも、本件交差点を横断する際に左右から進行してくる車両の有無等の安全確認を十分に行わなかった過失があると推認されるから、本件交差点の状況や被告の走行態様を併せ考慮すると、本件事故における過失割合は、原告二割、被告八割とするのが相当である。なお、原告は、本件自転車が横断歩道上を進行していたことを原告に有利に考慮すべき旨主張するが、四輪車は、自転車が自転車横断帯を横断し、又は横断しようとするときは、当該自転車横断帯は直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにすべき義務を負う(道路交通法38条1項)が、自転車が横断歩道を横断し、又は横断しようとしている場合においても上記と同様の義務を直ちに負うものとは解されないから、本件自転車が横断歩道上を進行していたことを被告の過失の加算要素とすることは相当でないというべきである。

平成22年3月19日 名古屋地裁

横断歩道を横断しようと、車道から交差点を進行しようと、車の過失を加算する要素とはみなしていない様子。
結局のところ、横断歩道を横断する自転車が絶対的な優先権を得るには「押して歩く」以外にはありません。

福岡高裁判決のように、明確に「進行妨害」としている判例は見当たりませんが、理屈としては確かにそう捉えることが可能。
高齢者修正込みの30:70なので、修正なしなら40:60くらいでしょうか。

ぶっちゃけて言いますと、ロードバイク乗りは滅多に歩道通行しませんし、ましてや横断歩道を横断することよりも、交差点の車道を進行することがほとんど。
なのであの記事って、基本的にはママチャリ乗りの人に向けてます。

自転車は歩行者に近いものだと捉えていると、痛い目に遭うので。
けど、車のドライバーには大きな注意義務がある以上、進行妨害だろうと予見可能な事故は回避する義務があります。

そういう意味では、車と自転車の関係性においては、道路交通法上の優先規定なんてあまり意味を持たないのかもしれません。
自転車側が優先規定を理解していないなら、車が一方的に優先権を主張するだけでは事故は防げませんから。

かといって自転車側が甘えて、道路交通法を理解しようとしないことも違うと思うけど。

ただし、右左折する車両と自転車の関係性でいうなら、

①横断歩道を横断
②交差点の車道を直進
③横断歩道から外れて車道を横断

①と②は過失割合的には大差ないけど、③になると過失は増える傾向にあるかと。

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神戸地裁の判例も40:60。
高齢者修正込みの数字なので、それ以外なら50:50くらいかと。
これ、横断歩道上過失割合は10~20%程度になりますが、横断歩道上の場合、歩行者に対する高度な注意義務があるためその範囲でカバーされることや、右左折時は速度が落ちている(本来は右左折完了まで徐行)ことも考慮してなのかと。

ということで

実際のところ、自転車が歩道から横断歩道を直進し、車が交差点を左折した事故について、業務上過失致死傷が無罪になっている判例って普通にあります。
一例としては東京地裁平成15年12月15日(差戻し後の一審、自転車横断帯あり)。

ちょっと前にも書いた件ですが、

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うーむ。 歩行者はいいとしても、自転車はね。 青信号で横断歩道を横断する自転車 これ、自転車側が勘違いしていると大...

「横断歩道は自転車が優先」とか「横断歩道を横断する自転車には左右の確認義務がない」とか、デマは本当にやめてもらいたくて。
車の過失が大きくなるのは当然だけど、自転車だからと言って義務が消えるわけじゃない。

けど最近強く再確認したけど、車のドライバーは対自転車について、法令遵守を期待しないほうが身のため。
それと同時に、自転車だからと言って甘えちゃダメなんだよね。





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