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サイクルイベント主催者も賠償責任を負う。

ずいぶん昔の話になりますが、サイクルイベント(ファンライド形式)で参加していた自転車と、イベント外の歩行者が衝突した死亡事故がありました。
ツールドしまなみ2003ですね。

これ、イベント主催者にも賠償責任が発生しています。

なぜイベント主催者にも賠償責任が?

ファンライド形式なので交通規制されていない公道を走るわけですが、参加者は道路交通法などの法令遵守が求められるのは当然。
どのサイクルイベントでも、交通ルールを厳守するように注意喚起されているはず。

イベント参加者である自転車には法令遵守が求められるわけですが、参加者が起こした事故について、共同不法行為責任としてイベント主催者にも賠償責任があると判示されてます。
判例は広島地裁尾道支部、平成19年10月9日。
この件、控訴したことになっていますが控訴審の判決文は見当たりません。

なぜイベント主催者にも賠償責任が発生したのかですが、いくつか理由があります。

①被害者は犬の散歩中に横断歩道以外の場所を横断したことにより事故に遭っている。
このサイクルイベントは前年まで護送船団方式だったがセンチュリーラン方式に変更されている。
レースではないものの自転車の速度が上がることは予見可能で、さらに生活道路をイベントで使う以上はイベント参加自転車と近隣住民の使用競合が起こることから、近隣住民に向けた周知広報活動を怠ったと判断された。

トラブル発生は予見可能な状態にも関わらず、近隣住民などへの周知活動を怠った。

②勾配8%の下り坂から徐々に平坦になる場所に横断歩道があり、一般歩行者とイベント参加自転車が交錯しやすい地点にも関わらずコース監視員を配置しなかったこと。
自転車は車と違って無音に近い状態であり、スポーツサイクルは前傾姿勢になりがちなことを考えると監視員を配置すべきポイントだと判断された。

前年まで100人越のスタッフだったにも関わらず、当該イベントではスタッフ数が26人だったとの記録も書いてあります。

この二点から、イベント主催者は共同不法行為責任を負うとの判断です。
なお、原告側は「道路使用許可を得て警察による交通規制をすべきだった」とも主張していますが、上の①、②を果たせば事故は回避できたものとして、交通規制の必要性は認めませんでした。

なお、いわゆる過失割合は被害者が3割です。

イベントの特殊性

以前ツールド東北に参加したときは、コース監視員や走行補助スタッフがウヨウヨしていた記憶があるのと、沿道で近隣住民が旗を持って応援していました。

一応、義理の妹の地元なので後から聞いたら、自転車に興味ゼロの妹ですら知っていたので広報活動は抜かりなくしていたのかと。
そもそも、震災復興支援を兼ねているため、地元の人が料理を振る舞ったりなど地域参加型にしているからだと思います。

交通規制してないサイクルイベントの場合、主催者の責任は大きい。
1人の自転車乗りが起こした事故でも責任が問われます。

その点、かなりグレーな側面を持つのはブルベになるわけですがあれも仮に参加者が事故を起こした場合、共同不法行為責任を問われる可能性はあるわけで、参加者の自己責任に委ねているように見える点はかなり危うい気がします。
一定のモラルを持った参加者ばかりならまだいいけど、モラルが低い参加者が出てくると・・・

ちなみに上の判例ですが、被害者が会社経営者だったことから支払い総額は1億越えます。
自転車保険も、限度額2億タイプも増えてますからそのほうがベターかと。

これ、報道レベルの話なので裏取り出来ていないのですが、ある自転車事故で高額な賠償責任を負った方が自己破産して終了させた事例もあるみたい。
被害者が泣き寝入りになる構造は絶対に良くない。

ちなみにこの判例についても、過失割合50:50ですが1億弱です。

先日挙げた判例なんですが、 ちょっと補足。 なぜ車道ロードバイクにも5割の過失が付いたか まず、事故の前提...

被害者がまだお若いにも関わらず、重篤な障害を負ってしまったためです。

事故って、後から考えれば容易に防げたものなんていくらでもあります。
過失割合50:50のリンク先判例についても、車道をまっすぐ走っていた自転車と、歩道から車道に確認せず逆走横断したことが事故の原因ですが、自転車横断帯は青信号になったばかりなわけで、ショートカット横断する必要性すらない。
きちんと行動していれば何も起きなかったわけですが、「ちょっとくらいいいだろ」が重大な結果を招きます。

赤信号無視して横断した自転車にオートバイが衝突し、オートバイの方がお亡くなりになった事故とかもありますし、比較的最近の判例ですがノールックで歩道から車道に降りた自転車を避けようとしてオートバイが転倒した判例もあります。

交通弱者は、強者を死傷させることもあるんですよ。

何度か書いた件ですが、警察庁は事故の統計として第一当事者、第二当事者という分類をしています。
これの定義はこれ。

「第1当事者」とは、最初に交通事故に関与した車両等(列車を含む。)の運転者又は歩行者のうち、当該交通事故における過失が重い者をいい、また過失が同程度の場合には人身損傷程度が軽い者をいう。

これの統計データを元に、自転車が第一当事者になる事故は少ないからなんだかんだと主張する人とかいますが、前から気になっていたので聞いてみたのですよ。

警察庁や政府などが毎年、交通事故の統計データを公表しているじゃないですか。 あれ、前から疑問に思っていたことがありまして、某警察本部数ヶ所...

いくつかの都道府県警本部が言うには、第一当事者、第二当事者を決める基準もないし、怪我したほうを第二当事者にする運用だと断言しているところも。
過失の大小とは無関係と言い切ってました。
自転車対車の事故なら、自転車側に過失が大きくても怪我するのは自転車ですから。

そんなデータの集合体を元に主張する人って、単なるバカです。
中身を見ろよ、と。
根拠がないデータの集合体について論じること自体に価値がない。

とりあえず言えるのは、自転車だからといって甘く考えるなということです。
容易に人は死んでしまいます。






コメント

  1. カモがネギしょってる より:

    >きちんと行動していれば何も起きなかったわけですが、「ちょっとくらいいいだろ」が重大な結果を招きます。

    ちょっとくらいいいだろって思える人は改善の余地があるのですが、そもそもそういう思考ができない人も結構いるらしい。そういう人にはどのように対処すれば良いのでしょうか?難しいです。

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      善悪の判断がつかないという意味であれば、残念ながら何かが起きてから刑罰によるしかないと思います。
      ちょっと意味合いは違うかもしれないですが、ある種の開き直りをされてしまうとなかなか難しいです。
      それこそ、誤振込に対して開き直りした人とか、桶川のひょっこりさんみたいなのとか。

  2. カモがネギしょってる より:

    善悪の判断が付かないというよりは、そもそもリスクがあることだと思ってすらいない場合です。
    カッターの進行方向に手を置いて何の躊躇もなく手を切るような人の場合です。なぜか何回も同じミスをする人がいるのです。

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      そのタイプについては残念ながら改善されないことが多いと考えています。
      なので、期待せずにこちらが回避するしかないと思ってます。