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まずは読もうよ。

なんか違うんなよなあ、と思うこと。
先日、こんなメールが来たのですが。

まずは読もうよ

こんな内容のコメントとメールが来た。

横断歩道と自転車の判例。
2021/12/30

終り近くの

>この判例では制限速度40キロの道路で、車は約55キロ出ていたようです。
55キロも出していて、「歩行者がいないことが明らかなのか」を確認できるわけもないので38条1項前段の減速徐行義務はあるとも書いてある。

とある、「この判例」とはどの判例でしょうか?
福岡高裁の判例のことかとは思うのですが、「車は約55キロ出ていた」とか「38条1項前段の減速徐行義務はある」という部分が見当たりません。(「被告は、被告車両を運転し、時速30ないし35キロメートルで本件道路を〇〇方面から△△方面へ走行していた。」という記述はあります)

次に、

>イ 本件事故発生について
(ア)本件事故発生前、Aは、本件横断歩道北端付近において、自転車を降りて佇立し、その後、自転車に乗り、

と言う認定事実から、

>控訴人らは、Aが本件横断歩道手前で一度自転車から降りた後、再び自転車に乗って横断しているところ、自転車に乗らずにそのまま自転車を押して横断した場合(横断歩道を横断中の歩行者と扱われる。)とではわずかな差しかなく、

と主張したが、その主張は退けられたわけですね。

ところで、控訴人が「自転車を降りて佇立」していた時点で、被告は横断歩道から何メートルぐらいまで接近していたのでしょうか?被告は直前まで自転車に気がつかなかったようですが、少なくとも◇マークの位置では「横断しようとする歩行者がいないと言い切れないときは全て減速」について判断する義務があったはずです。もしその時点で、「自転車を降りて佇立」しているのを認めたら、当然停止の準備をしなければならなかったはずです。

福岡高裁の判例はその点についてどのように判断したのか、できましたら解説をお願いします。

最近ちょっと思うことがあって。
まず、最初の部分。
この記事みたいだけど、半年近く前に何を書いたかなんて覚えていないわけで、とりあえず記事を探して読み直すわけですよ。

以前、横断歩道を渡ろうとする自転車の判例をいくつか挙げたのですが、 正直なところこれについては道交法と実態の差...

通常の読解力をもってみれば、「この判例」とあるのは平成22年5月25日 東京高裁判例のことだとわからないのかな。
すぐ上に書いてあるけど。
福岡高裁&地裁の内容と一致しない上に、ちょっと前から東京高裁判例に話題を切り替えているのでね。

次に、メールの後半部について。
最近ちょっと思うことがあって。

例えば執務資料道路交通法解説(東京法令出版)って、それなりに判例が掲載されているじゃないですか。
例えばこれ。

自動車運転者が自転車を追い越す場合には、自動車運転者は、まず、先行する自転車の右側を通過しうる十分の余裕があるかどうかを確かめるとともに、あらかじめ警笛を吹鳴するなどして、その自転車乗りに警告を与え、道路の左側に退避させ、十分な間隔を保った上、追い越すべき注意義務がある。

昭和40年3月26日 福岡地裁飯塚支部

例えばこれ。

各種車両の交通頻繁な箇所では、最高速度時速30キロメートルの原動機付自転車は、同法18条の立法趣旨を尊重し、軽車両同様できるだけ第一車線上の道路左側端を通行して事故の発生を未然に防止すべきである。

福岡地裁小倉支部 昭和48年1月19日

例えばこれ。

自転車の運転者が道路を横断するにあたって横断歩道を利用する場合には、自転車に乗ったまま疾走し、飛び出すような形で横断歩道を通行することは厳にしてはならないというべきであって、自動車運転者はこのような無謀な横断者はないものと信頼して運転すれば足りる。

東京地裁 昭和47年8月12日

どれも執務資料に掲載されています。

で。

見ればわかる程度に判決文のごく一部を抜粋しているわけだけど、当然ながら著者が重要だと考えるところを判決文から抜粋している。
ここだけみるといろいろ疑問が沸きません?
無条件に書いてあることを信じるような無能戦士ではないので、どういう背景から下された判示なんだろうかと。

疑問があるときには、判決文の全てを読んでみようと考えません?

判決文から引用するときって、まともな著者なら判決年月日と裁判所名を書くことが当たり前。
これを書くことにより、第三者が検証できるわけですよ。
いくら「判例がある」と口で言っても、判決年月日と裁判所名も答えられないなら誰も信用しないし、抜粋された判決文に疑問があるときには判決年月日と裁判所名を書いておくことにより調べることを可能にしている。

まずは自分で判決文を探して、全部読んで、それから質問が筋なのでは?

この人の疑問を解消するには、まずは「全文読む」ことは必須になるので、そのまんま返事したわけです。

そしたらこれ。

> ご自身にて判決文を読むことが先ではないですか?

それはブログの方針の問題ですね。
一般的にそうすべきだという意味ではありませんが、それは管理人様が決められることですから、もちろんそういう方針を決められているのなら仕方がありませんね。

ん?
判決文探す手間を省略して、私が全部説明するのが「一般的」なのか?
「一般的」には自分で読んでから質問するのが筋だと思うし、あえて説明しなかったけど全部読まない限りこの人の疑問は解消できないから全部読むことをオススメしたのですが。

その後も失礼極まりないメールが来たので馬鹿馬鹿しいと思ったのですが、なんで全部読むことをオススメしたのかという話。
今だとドラレコがあるけどさ、ドラレコの映像をみて

管理人
管理人
さあ裁判官!
この映像から双方の違反や過失をピックアップして過失割合を決めてくれ!

というシステムではないのですよ。
何を主張して、何を反論した結果なのかですよね。

だから全部読むことをオススメしたわけ。
質問の内容をみても、これで取り上げたブログ記事と同レベルなのかな?と感じたので、全部読んでからじゃないとわからんだろうなと。

ちょっと前に取り上げた件。 この記事で取り上げたブログさん、ほかにも判例について解説(?)をしているようなので...

こちらもボランティアではないし、知りたいならまずは自分で調べるのが当たり前だと思っていたのでびっくりしました。
自分で調べたけどわからんから教えてというなら答えますが、調べもせず読まずに他人任せにするのがこの人にとっては「一般的」らしい。

まずは自分で

第三者が検証しやすいように判決年月日と裁判所名を書いているわけなので、まずは全文読むのが先では?
解説書から引用するときもきちんと出典を書いているわけだし、興味持って解説書を自分で買ったり判決文を探して全部読んでいる人も普通にいるのでね。
手間とカネを費やさずに求めるの?

判決文全部を読まずに報道と判決文のごく一部だけで判断すると、この人のように全然理解できないまま終わるわけじゃん。

疑問を解決したいなら、全部読んでから語るべき。
なぜ38条が関係なくて、なぜ信頼の原則がどうのこうのという判示に至ったのか、全部を読まないで勝手な解釈加えて間違うのがオチ。
だからメールして来た人にも、判決文読むのが先だと伝えたまで。
この人のように間違うのがオチだし。

なぜ判決年月日と裁判所名を書くのかについては、第三者が判例として価値があるのかなど検証できるようにするため。
人間さ、意図的だろうと過失だろうと都合よく解釈してみたり、引用や要約をする段階で意味が変わってしまうことはあり得る。

以前グダグダ言ってたこの人もさ、判決年月日も書かずに「残存歩行者」の判例だとか紹介しているけど、

この判例は調べたところ、名古屋地裁 平成9年12月24日判決。
中身を見ればわかるように、残存歩行者の判例ではない。
赤信号になってから横断開始した判例。

こういうのも、結局原文みないと騙される。
後ろめたいところがあるから判決年月日や裁判所名を隠したの?と疑いかけられても何ら不思議ではない。
都合よく解釈したがる奴なんていくらでもいるわけで、だからメールの人にも判決文読むことを勧めたわけ。
私が紹介する際には余計なバイアスが掛からないようには注意しているけど、ゼロにはならないから。

他人が引用した一部に疑問があるときには、まずは自分で調べましょ。
それが「一般的」なこと。
調べたけどわからないとか、調べたけど見つからないというならまだわかるけど。