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原付の二段階右折と普通自転車専用通行帯。

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原付は3以上の車両通行帯がある交差点を右折するには二段階右折義務があります。
ただし、この標識がある場合は除く。

第一通行帯が「普通自転車専用通行帯」の場合、どうやって二段階右折するのかパニックに陥る人も。

原付の二段階右折義務

原付の二段階右折義務は34条5項に規定されています。

(左折又は右折)
第三十四条
5 原動機付自転車は、第二項及び前項の規定にかかわらず、道路標識等により交通整理の行われている交差点における原動機付自転車の右折につき交差点の側端に沿つて通行すべきことが指定されている道路及び道路の左側部分(一方通行となつている道路にあつては、道路)に車両通行帯が三以上設けられているその他の道路(以下この項において「多通行帯道路」という。)において右折するとき(交通整理の行われている交差点において右折する場合に限る。)は、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、交差点の側端に沿つて徐行しなければならない。ただし、多通行帯道路において、交通整理の行われている交差点における原動機付自転車の右折につきあらかじめ道路の中央又は右側端に寄るべきことが道路標識等により指定されているときは、この限りでない。

あらかじめ道路(車道)の左側端に寄って徐行する義務があります。

 

さて問題。
第一通行帯が「普通自転車専用通行帯」の場合、34条5項でいうところの「道路の左側端」はどこでしょうか?

 

例えばこんな交差点を検討してみます。

第一通行帯→普通自転車専用通行帯
第二通行帯→左折、直進の進行方向別通行区分
第三通行帯→右折の進行方向別通行区分

さて二段階右折する原付が通らなければならないのはAとBどちらでしょう?

答えはAです。
理由はここ。

(指定通行区分)
第三十五条 車両(軽車両及び右折につき原動機付自転車が前条第五項本文の規定によることとされる交差点において左折又は右折をする原動機付自転車を除く。)は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により交差点で進行する方向に関する通行の区分が指定されているときは、前条第一項、第二項及び第四項の規定にかかわらず、当該通行の区分に従い当該車両通行帯を通行しなければならない。ただし、第四十条の規定に従うため、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のためやむを得ないときは、この限りでない。

この規定は交差点を進行する際に、「進行方向別通行区分」に従う義務を定めています。
しかし、二段階右折する原付が除外されている。
つまり原付が二段階右折するときは、「進行方向別通行区分に従うな」になる。

 

すると34条5項で「道路の左側端に寄って徐行」なので、二段階右折する原付は普通自転車専用通行帯に進入して進行する義務があります。

 

さらに問題。
最近、交差点手前で自転車レーン側に「進路変更禁止」のイエローラインがあることも。
イエローカットすると違反(26条の2第3項)。

なのでイエローラインの手前で進路変更するしかない。

で。
仮に原付がこの交差点を直進する場合、第2通行帯から直進することになるわけじゃないですか。
二段階右折するつもりだけど第二通行帯から直進して交差点に進入するのは違反だけど、そんなもんの取り締まりをしているのかは謎です。

何メートル手前から?

本来、原付が「普通自転車専用通行帯」を通行するのは違反だけど、二段階右折時の例外になるわけ。
例外的に通行するのは何メートル手前からなのか、何メートルなら通行しても問題ないのかという疑問があります。

 

これについてですが、右折前合図が30m手前から出す義務がある(施行令21条)ことから、解説書などでは「30m」とされてきました。
例外的に法定外の通行帯を通行出来るのは30mまでと。

 

ところがこれ、東京地裁が全否定してしまいました。
判例は平成13年1月31日、運転免許取消処分取消請求事件です。

 

事件の概要。
3通行帯あり第一通行帯がバス専用通行帯。
原告はオートバイを運転し左折する前に第一通行帯(バス専用通行帯)に車線変更。
しかし左折予定の道路が進入禁止であることに気がついて第二通行帯に戻ったところ、通行帯違反を取られた(原告証言で約80m、第一通行帯を通行した。)。
これについて、通行帯違反がなかったのだから免許取消処分を取消しろと求めた行政事件です。

1 道路交通法20条3項は、車両が交差点において左折するときは、同条2項に定める通行の区分によらないで、他の車両通行帯を通行することができる旨を規定しており、道路標識により通行帯の指定が行われ、第一通行帯が通行禁止となっていても、当該指定がされている道路からの左折が禁止されるものではないから、左折する意思で、左折するために相当な範囲において、通行を禁止されている通行帯を走行することは、右通行帯の指定に違反するものではないというべきである。

2 被告は、道路交通法施行令21条において、左折をするときは、左折をしょうとする地点から30メートル手前の地点に達したときに合図を行うものと定められていることから、左折のために通行を禁止されている通行帯を走行することができる距離は30メートルであるとの解釈に基づき、本件道路の第一通行帯を30メートルを超えて走行した原告の行為は通行帯違反となる旨主張する。
しかし、「30メートル手前の地点に達したとき」とは、走行中の通行帯から直接左折する場合に、あらかじめ左折の合図をすべき時期として道路交通法施行令21条が定めるものであり、いわば規定の対象を異にするものであるから、この規定があることから、直ちに、被告主張の解釈を導くことは困難である。また、実際上も、本件のような場合に30メートルを超えて走行する行為が常に通行帯の指定に違反する行為となるとの解釈は、必要な安全確認を行った上、第二通行帯から第一通行帯への車線変更を完了した後、第一通行帯を走行している路線バス等が存在する可能性等も考慮して、自車の安定的な走行を確保し、その後左折の準備をする必要があることを看過したものというほかない。(また、わが国の道路の現状に鑑みると、左折すべき路地のすべてについて表示が完備されているとは到底いえないから、第一通行帯への車線変更の際に左折すべき路地を確知していることを前提として、通行帯指定への違反の有無を判断することが合理的であるということもできない。)

 

3 前記一3のとおり、原告は、左折すべき路地の位置について明確な認識を有していなかったため、左折すべき路地が近いと考えて車線変更をしたものの、本来左折すべき路地を通過した後、次の路地で左折すべく走行を続けたところ、次の路地が近づいた時点で進入できないものであることに気付き、第二通行帯へと車線変更をしたものであり、その間第一通行帯を約80メートルにわたって走行したが、結果として左折することができなかった。
しかし、原告は、次の路地が進入禁止であることに気付いた時点で第二通行帯へと車線変更をしているのであるから、このような原告の走行は、仮に次の路地が進入禁止でなく、原告の認識どおり左折できる路地であり、かつ、これを左折した場合と差異がないか、少なくとも客観的に第一通行帯の走行距離において短いものである。
そして、左折すべき路地の位置を明確に認識していない以上、あらかじめ余裕をもって車線変更をし、左折すべき路地を深しつつ走行した場合、その距離が100メートル程度であるときには、その走行は、左折するために相当な範囲で第一通行帯を走行したものということができる。
したがって、少なくとも客観的に第一通行帯の走行距離において短い原告の走行が、被告の通行帯指定に違反するということはできない
から、本件通行帯違反の事実はなかったというべきである。

 

平成13年1月31日 東京地裁

概ね100m以下であれば、左折目的のため通行禁止の通行帯(第一通行帯)を通行しても通行帯違反にはならないとしています。
ただしまあ、無駄な争いを避けるためには50m程度にしておいたほうが安全かと。

分かりにくいルール

ちなみに、同じ理由により車が左折する時にも普通自転車専用通行帯まで寄せないと違反になる場合もあります。

 

そもそも普通自転車専用通行帯は、【専用】というわけでもない話。
これは以前も書いた気がしますが、普通自転車専用通行帯の話。 さて質問です。 普通自転車専用通行帯は、自転車・軽車両以外が走ると違反である。 答えは△です。 普通自転車専用通行帯 自転車の聖域と勘違いすると痛い目に遭うという話をどこかで書いた...

 

さて、これはどちらが正解でしょうか?

答えはB。
理由は「進行方向別通行区分」があるから。

車の場合、35条の規定により進行方向別通行区分(左折レーン)の指定がある場合には、自転車レーンに進入して左折すると違反なのです。

(指定通行区分)
第三十五条 車両(軽車両及び右折につき原動機付自転車が前条第五項本文の規定によることとされる交差点において左折又は右折をする原動機付自転車を除く。)は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により交差点で進行する方向に関する通行の区分が指定されているときは前条第一項、第二項及び第四項の規定にかかわらず当該通行の区分に従い当該車両通行帯を通行しなければならない。ただし、第四十条の規定に従うため、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のためやむを得ないときは、この限りでない。

前条1項はこちら。

(左折又は右折)
第三十四条 車両は、左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り道路の左側端に沿つて(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して)徐行しなければならない。

前条1項の「できる限り左側端に寄って」を否定して左折レーンの指示に従えという規定。
逆に言うと、進行方向別通行区分がないなら自転車レーンに進入して左折しないと違反。

ただしイエローラインで進路変更禁止が掛かっている場合、イエローカットすると違反。

 

分かりにくいルールとしか。
これ、自転車乗りが勘違いしているケースもあり、「なんで車が自転車レーンに来るんだ!」などとトラブルになったケースすらある。
正しく道路交通法を理解しないと、揉めるだけ。






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