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争いたくてもな。

横断歩道で歩行者が譲ってきたから先に進んでうんぬんの話がついに全国ニュースになっています。

【独自】横断歩道トラブル 譲られたのに“交通違反”…「お先にどうぞ」落とし穴?(2022年7月22日)

わかってない人の意見ってこんなもんなのかな。

わかってない人の意見

典型的にわかってない人の意見。

「弁護士なんだから裁判すればいい」

反則金を納めずに放置しておくと、検察送致されます。
問題なのはここから先。
争う予定なので「略式不同意」にするわけですが、前科前歴がなければまず間違いなく不起訴です。
一説によると、青切符の違反かつ前科前歴がなければ99%近くは不起訴。

起訴されなきゃ争う機会すらない。

不起訴であっても、点数は消えません。
では「点数を取消にしろ」という訴訟を提起出来るのかという話になる。

答えは「原則として出来ません」。

行政事件訴訟法では、処分取消訴訟という形態があります。

(抗告訴訟)
第三条
2 この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。

ここからが問題。
「加点」はそれ自体に何ら処分性がなく、反則金の支払いも任意です。
そのため、「点数を取消に」という行政訴訟を提起した場合、「加点は行政処分には該当しない」ため棄却ではなく「却下」になってしまう。

訴訟として提起可能なのは、以下のケースくらいか。

・免許取消処分の取消請求
・免許停止処分の取消請求
・ゴールド免許交付請求(違反によりゴールドから格下げになった場合のみ。他に違反があれば不可能。)

違反はなかったから点数を取消にしろという訴訟を提起すると、以下のようになってしまい行政事件訴訟法の要件を満たさないため「却下」の判決にしかならない。

1 行政事件訴訟法にいう行政庁の処分とは、法令に基づく行為のすべてを意味するものではなく、行政庁が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているものをいうものと解する(最判昭和39年10月29日・民集18巻8号1809頁参照)。
2 法は、自動車運転等の禁止の命令(法75条の2)、免許の取消し及び停止(法103条2項)、仮免許の取消し及び停止(法106条の2)等の各規定において、「政令で定める基準」に従うものと規定しており、法施行令は、上記各規定における「政令で定める基準」として、法、法施行令及び法に基づく処分に違反する行為を「違反行為」とし、個々の違反行
為に所定の点数を付することとする累積点数制度を用いている。
しかし、同施行令の規定の仕方は、いずれも「違反行為をした場合において、その累積点数が別表…に掲げる点数に該当することとなったとき」というように、上記の各行政処分につき、累積点数それ自体を要件とはせずに、一定の点数に該当する個々の違反行為の存在自体を要件とした文言になっており、累積点数が一定の点数に達することが上記の各行政処分の要件となるものではないと解される。
また、法や法施行令によっても、累積点数を加算する行為については、これをその都度当該運転者に対して一般的に通知することとはされておらず、他の法令の規定に照らしても、このような通知の制度は設けられていないと解される。このことは、累積点数を加算する行為が当該運転者によって不服申立手続や訴訟で争われることを法が予定していないことを窺わせるものといえる。
3 このようにみてくると、累積点数を加算する措置は、公安委員会において各処分要件が整ったかどうかを画一的にチェックするための内部処理のための制度であって、それ自体は、国民の権利義務に何らの影響を与えるものではなく、したがって、行政処分には該当しないものと解するのが相当である。

京都地裁 平成13年8月24日

起訴されなきゃ争えないし、点数を取消にしろという訴訟を提起することもできない。
つまりは争えない可能性が高いわけ。
いくら弁護士さんが頑張っても、不起訴なら何もできないし、行政訴訟を提起しても却下になってしまう。

道路交通法違反は判例が少ない

道路交通法違反の判例が少ないのは、反則金を払えば刑事責任を問われないことと、仮に起訴されても略式起訴だから判例として残らないこと、略式不同意ならほとんどが不起訴になる現実があるからです。
争いたくても争えない。

弁護士さんの他の動画を見る限り、運転者さんは他の違反歴もあるみたいだからゴールド免許交付請求訴訟もできないし、他に違反を重ねて免停になり、免停取消請求訴訟の中で横断歩行者妨害はなかったと主張するしかない。
他に違反を重ねるなんてバカな話はないので、事実上は起訴されなきゃ争う場所すらない。

こういう現実を知っていて語っているのか、知らずに語っているのかはわからないけど、批判するポイントとしてはお粗末。
争いたくても争えないことが目に見えているから。




コメント

  1. カモがネギしょってる より:

    結果はともかく、誰かがやらなければ問題が認識されずに放置され続けるので、争う姿勢を見せる価値はあると思っています。普通に反則金を払っても、このサイトで取り上げられることは無かったでしょうし。
    点数が取り消されないのは、悪いことをしていなくても犯罪者扱いみたいで気分は良くないですね。

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      この件、警察は処分を是正するそうですが、取消にすると明言してないところが気になります。
      もしかしたら、譲った歩行者に対する妨害を取り消して、右側から横断歩道に接近する歩行者に対する妨害に切り替えるのではないかと勝手に予想しています。

      なんにせよ、警察が法の基準を示さないから「現場判断」などと濁すのではないかと。