PVアクセスランキング にほんブログ村

過失割合の答え。

先日の件ですが、回答編。
なお、必ず同じ過失割合になるわけではないのでご注意を。

たまに横断歩道がなく歩道橋になっている交差点があります。 そのような交差点に自転車横断帯がある場合、歩行者が歩道橋を使わずに自転車横断帯を...

過失割合は


※歩道橋は割愛。

この判例では、車:歩行者=100:0としています。
名古屋地裁平成29年5月26日判決です。

この判例ですが、左折車は左折前に自転車横断帯を横断する自転車の動向を見てから左折しています。
しかし被害者(歩行者)は、加害車両が左折するときには既に自転車横断帯の中ほどにいた。

過失相殺を認めなかった理由は主に以下の点。

・大型車であること(一般的に注意義務が加重されます)
・道路交通法38条
・被害者の年齢(後期高齢者)
・大型車の前方不注視

ちょっと分かりにくいけど、道路交通法38条の件。
判決文には詳しく書いてありません。
なので私なりの解釈を加えて解説します。

この道路、自転車横断帯は歩道と歩道を結ぶようにあります。
自転車横断帯の入口部分はガードレールが切れている状態。

道路交通法38条では、自転車横断帯を横断する歩行者は優先の対象ではありません。
しかし自転車横断帯を横断する自転車に対する注意義務を果たそうとすれば、必然的に歩行者も確認することになる。

だって、歩行者と自転車では自転車のほうが速度が速いので、自転車の横断を警戒すれば勝手に歩行者の横断もカバーされる。

ただし本来の法律解釈によれば、横断歩道がない交差点を横断する歩行者なので38条の2が適用されます。
歩行者はすでに横断を開始していた以上、車は妨害禁止。

(横断歩道のない交差点における歩行者の優先)
第三十八条の二 車両等は、交差点又はその直近で横断歩道の設けられていない場所において歩行者が道路を横断しているときは、その歩行者の通行を妨げてはならない

高齢者であることや大型車の前方不注視と判断して過失相殺は認めなかったことになります。

自転車の横断を確認していたことになってますが、歩行者はすでに自転車横断帯の中ほどまで進出してから左折を開始していたわけなので、前方不注視と判断された(自転車が横断し通過したのを確認していたが、その後が漠然進行)。

これが30代とか、夜間とか、直前直後横断とか、歩行者横断禁止の場合には過失割合が変わりうることになります。

なかなか難しいですが

歩道橋にエレベーターがない場合、高齢者や怪我人、障害者、ベビーカーなどはどう頑張っても歩道橋を使えません。
道路交通法上、歩行者横断禁止の標識がなければ横断しても構わないわけです。

自転車横断帯を横断する自転車に向けた38条1項の注意義務の範疇で歩行者も守られるとも取れますが、本来、こういうところはエレベーターの設置もしくは横断歩道の設置に切り替えるべき。

言い方は悪いけど、被害に遭ってしまった以上は最大限補償を得られないと納得しない。
このケース、仮に「歩行者横断禁止」の標識があったとして、ゴリ押しして無過失に出来るのかというとビミョーです。
主張内容次第ですが。

そういう場合でも主張次第では歩行者の過失を5%程度に抑えられる可能性もあるので、何を主張するかは大切です。
ポイントになるのは、自転車横断帯の位置関係からすれば歩道から来た自転車を歩道に促すような構造なので、その部分だけガードレールが途切れている。
つまりは歩行者が横断する可能性は十分濃厚。

なお横断歩道がなく歩道橋があり、歩行者横断禁止の規制がない場合、歩道橋を使って横断しなければならない義務はありません(道路交通法上は)。
とはいえ民事は注意義務違反として過失になりうることもあります。