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自転車がY字路で二段階右折する場合、どっちが正解?

以前も書いたと思いますが、自転車は交差点を右折する際には二段階右折する義務があります。

(左折又は右折)
第三十四条
3 軽車両は、右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、交差点の側端に沿つて徐行しなければならない

道路交通法施行令
(信号の意味等)
第二条

信号の種類信号の意味
青色の灯火三 多通行帯道路等通行原動機付自転車及び軽車両は、直進(右折しようとして右折する地点まで直進し、その地点において右折することを含む。青色の灯火の矢印の項を除き、以下この条において同じ。)をし、又は左折することができること。

ではこのような場合①と②どっちが正解でしょうか?

交差点の範囲

結局のところ、34条3項でいうところの「交差点の側端」がどこなのか?によります。
交差点の定義は2以上の車道が交わるところ(2条1項5項)。



個人的にいうと、どっちでもいいや的な考えしかありません。
交差点の範囲の決定方式についても統一見解があるわけじゃないし。

○側線延長説→大阪高裁昭和44年8月7日。

本件交差点の範囲についてみると、司法巡査作成の実況見分調書、原裁判所の検証調書および当審における検証調書ならびに証人林国彦に対する尋問調書によれば、本件事故現場付近の道路状況は、別紙図面のとおりであつて、北から南に通ずる幅員約8.2メートルのアスフアルト舗装された国道四二号線(以下新国道という。)が和歌山県有田郡広川町大字井関六七七番地先において、徐々に南々西に彎曲し始める東外側に、新国道と一直線をなして南方に向つて分岐する幅員約6.2メートルのアスフアルト舗装された県道(旧国道四二号線の一部、以下旧国道という。)が接続して、鋭角をなしてY字型に交わる三差路で、旧国道の東側線は彎曲し始める新国道の東側線にイ点において接し本来の幅員による双方の道路は、Y字型のまたの基点リ点において分岐し、双方の道路によつて挾まれたまたの部分は、リ点から約30メートル前後のヘホを結ぶ線まですみを切り取られ、さらにヘホの線と新国道の東側線および旧国道の西側線と交わるすみもトへを線ぶ線およびハホを結ぶ線によつてそれぞれ切り取られ、リトヘホハリの各点を順次結んだ線内は、アスフアルト舗装され、新旧国道の共通の道路となつていて、リト間の距離は40.5メートル、ヘホ間の距離は10.5メートルあるという特殊なY字型三差路となつており、新国道は北方からこの分岐点に向つて、また、旧国道は南方からこの分岐点に向つて、いずれも、ゆるやかな勾配をなし、分岐点付近はその頂上となつていることが認められる。ところで、右に認定のような、幅員の広い幹線道路がこれと分岐する支線道路と鋭角をなして交差しているY字路において、その双方の道路の本来の幅員による内側の線の接点から各道路の他の側線に下ろした垂線と分岐する支線道路の外側線が幹線道路の彎曲した側線に接する点から幹線道路の他の側線に下ろした垂線とによつて囲まれる部分が道路交通法にいわゆる交差点の範囲に属することは勿論、さらにY字のまたの部分のすみを切り取つて道路としたことにより道路の幅員が拡張してある場合には、その拡大してある部分とこれを挾む両側の道路とは右同法にいわゆる交差点に包含されるものと解する。

大阪高裁 昭和44年8月7日

この判例はそもそも何を争ったのかですが、昭和46年改正以前の35条1項に「交差点先入優先」の規定があった関係で、後から交差点に進入した車両は先入車に譲らないといけない。
交差点の範囲がどこなのか確定できないと、どっちが優先なのかわからない。

しかも必ずこの説に従って交差点の範囲が決まるわけでもなくて、実務上はまた違う考え方を採用したりするので、

いろんな人
いろんな人
交差点の側端に沿つて徐行!

管理人
管理人
すんません、この交差点の側端はどこなんすか?

わからない交差点は多々あります。

で。

私なりの考え方ですが、要は初めてこの交差点を通行する自転車が即座に「交差点の側端」を見極めて進行することが本当に可能なのか疑わしいので、「状況次第で安全そうな方法をしましょう説」を提唱しています。

この状況から道路に沿って進行したら②。
仮に正解が①だとしても、そこに何の悪意もないわけです。
「このハゲ!違うだろ!」と言われましても初めてこの交差点を通行する自転車が即座に見極めて進行することは困難。

ちなみに警察が「交差点事故」と判断する場合、基本的には横断歩道の内側を囲んだところを交差点内とします。

これも一応は理由があるけど割愛。
なのでこの考え方に従うと、交差点の側端はこっちになる。

けど、先ほども書いたように「即座に見極めて進行出来るの?」という問題は残るし、「状況次第で安全そうな方向へ説」としています。

警察に聞いてみると

取り締まり機関たる警察官様なら、一瞬で見極めることが可能なのか?という疑問と、警察官ならみんな統一見解を示すのか?というどうでもいい調査をしてみました。

交番勤務の人数名に聞いたところ、全員一致です。

いろんな人
いろんな人
県警本部に聞いてくれ。

たぶん①だろうけど、正確には本部に委ねるというのが正しい運用ですね。
横断歩道で歩行者が譲ったうんぬんも、本部の回答と現場判断が割れる理由としては、根本的に現場の警察官の法律知識が乏しいことにも原因がありますし。

ただし、一つ疑問も。
二段階右折する際も法律上は右折なので、右折の合図をする義務があります。
右折が完了するまで合図を継続する義務があるため、二段階右折として方向転換するまでは合図を継続。

けど①に進む場合、左方向に進路を変えているわけなので、進路変更の合図を3秒前から発動させなければならない。

あれですかね。
右手で右折の合図をして、左手で進路変更の合図をして、真ん中の足を使いハンドルを操作すればいいのか。
短小マンにはツラい道路交通法です。
さらに交差点内安全進行義務(36条4項)まで課されているから、もはや降りて押して歩かない限り、道路交通法の義務を果たすことなんて不可能。
手が足りないわ。

というのは冗談でして、そもそも自転車は道路交通法を全て守ることは不可能なんですよ。
よく言われる「合図よりも安全運転義務が優先する」という理論も果てしなく不可解。
具体的規定について条文上の義務より安全運転義務が優先するなら、各条文で除外規定を設けるべき問題。
最初から十分想定されることなんだし。

右折の合図をしながら左方向に進路変更することにも疑問があるし、かといって左に進路変更合図(左折合図)をしながら実質的に道路を横断することにも疑問がある。
合図って、他の交通関与者に自分が何をするのか知らせることにより安全性を高める意味がありますが、①に進行するに当たり合図をどうしたらいいのかすらわからん。

34条3項で自転車に求める二段階右折方法と、それ以外の部分の整合性すら取れてないわけなので、どちらかというと法規定の不備としか思ってないのです。
なので多少の間違いがあったとしても、極端に危険な方法ではない限りは気にしなくてよい。

道路交通法を守っているという人は、左折や右折するときに信号待ちだろうとひたすら合図を継続するのだろうけど、信号待ちの停止状態に安全運転義務もないから合図を途中でやめる理由もない。
手がプルプルしてしびれてきても継続するのだろうけど、私は遠慮します。

片手運転になり横断歩道へのケアが疎かになるよりも、両手でしっかりハンドルやブレーキを操作したいし、その結果合図履行義務を果たさずに罰則を受けたほうがマシ。

道路交通法を守るという人はこれらを全てこなすだろうけど、私程度の技術では無理です。
自転車乗りでも「道路交通法を守っている」という人はいるでしょうけど、まともに勉強したら守ることは不可能としか思えなくてね。

もちろん、開き直りではなくて。
信号無視なんてしないし、逆走自転車はしんでくれと呪いを掛けることにしていますが、自転車横断帯なんて守ってないでしょ。

そういや、「交差点の外側は63条の7でいうところの付近に当たらない(S55東京高裁)」とか書いていたサイト、なんで滅亡したのですかね。
判決年月日や掲載雑誌など質問したら回答拒否されましたけど。
左折の信号待ちでひたすら合図を継続している自転車も見たことないけど、単に取り締まり対象にしていないだけで「義務」であることには変わらん。
私は手がプルプルしてしびれてくると嫌なので「全部守るのは不可能」というスタンスです。
守っているなんて恥ずかしくて言えません。

法律ガー!

ちなみに先ほどの大阪高裁の判例ですが、仮に左下から右下(新宮方面→御坊市方面)に自転車が右折する場合、ロ→イに進行することになります。

仮に信号があり交通量も多かった場合、可能ですかね?
やってるプレイはほぼ「横断」です。
むしろ道路中央に寄って小回り右折した方がマシかもしれない。
横断歩道があればいいけど、無ければ事実上右折は不可能。

道路交通法上、自転車は車道を走る義務がありますが、車道しか走ってはならない義務はなく歩道を徐行することも可能だし(非普通自転車を除く)、必要に応じて降りて押して歩けば歩行者にもなれます(非普通自転車を含むが、側車・牽引車付き等は除く)。
なのでその場に応じて最も安全そうな方法を採るのが当たり前。

ちなみに有名なグレーチング事故(路肩の側溝を通行した自転車が転倒した事故)では、このような判断がなされてます。

本件道路においては自転車も歩道を通行することができるから、車道や本件路肩部分を通行する必要はないし、路肩の目的ないし用法について先に説示したところによれば、路肩を走行する場合においては、自転車の運転者には、当該路肩の状況・状態に注意し、これに応じた適切なハンドル操作等をして転倒等の事故を回避することが期待されていたといえる。

平成31年4月12日 広島高裁岡山支部

危険性があるなら歩道を通行すりゃいいわけですが、当たり前だけど歩道は歩行者が最優先ね。
自転車の義務がどうのこうのはもちろん大切なんだけど、他に代替手段があるなら「必要性」も含めて考えるしかないのね。
大阪高裁判例の道を「右折」としてロ→イに進行することは34条3項の義務になるけど、それ以外の方法が一切認められてないなんてわけもないので。

ということで冒頭の件。

どっちが正解とも言い切れないけど、どちらにしても徐行義務はあるから(34条3項)、できる限り安全そうな方法を。
仮に横断歩道が見えていたなら、そっちを使ってもいいんだし。

ちなみに②で進行した場合、右折先の信号機が見えなくなる珍事が勃発します。

私なりの答えとしては「できる限り安全そうな方法をどうぞ」としか言えません笑。

自転車に対して「二段階右折義務がある!」と言うのは誰でもできるんだけどさ、じゃあ二段階右折の「交差点の側端はどこなんすか?」と聞くと、答えられないことは多々あります。
そのような場合に正解を求める必要があるのかは正直わかりません。
警察官すらわからないなら、どっちでも正解と考えたほうが合理的な気もするし。
少なくとも交番勤務の警察官は即答できない。

そもそも、「自転車横断帯」はそのようにわからない方向を示す役割もあると思うんだよね。
さっぱり機能してないけど。
自転車に二段階右折義務を課した理由は、低速の自転車が道路中央に寄ることが危険なので、歩行者同等の動き方をしてもらい安全を確認するため。
立法趣旨から考えれば、わからない交差点は無理しないこととしか言えませんね。