PVアクセスランキング にほんブログ村 当サイトはAmazonアソシエイト等各種アフィリエイトプログラムに参加しています。
スポンサーリンク

自転車への厳罰化を希望する。

blog
スポンサーリンク

やはりこの国は、自転車への厳罰化が先かもしれないな。

さて質問です

さて質問です。
このような暴走自転車がいたときに、後続車がクラクションを鳴らすことは違反になりますか?

(警音器の使用等)
第五十四条
2 車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない。ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない

では正解を。
後続車がこのような暴走自転車を追い越して先に行く場合には、警音器を鳴らすべき注意義務を負います。
なお、追い越しせずに後方待機することも自由です。

被告人は、所論のいう被害者の自転車が急に右方に曲つた地点までこれに近接するより以前に、これと約62メートルの距離をおいた時点において、すでに自転車に乗つた被害者を発見し、しかもその自転車が約50センチメートル幅で左右に動揺しながら走行する自転車を追尾する自動車運転者として、減速その他何らかの措置もとることなく進行を続けるときは、やがて同自転車に近接し、これを追い抜くまでの間に相手方がどのような不測の操作をとるかも知れず、そのために自車との衝突事故を招く結果も起こりうることは当然予見されるところであるから、予見可能性の存在は疑うべくもなく、また、右のような相手方における自転車の操法が不相当なものであり、時に交通法規に違反する場面を現出したとしても、すでに外形にあらわれているその現象を被告人において確認した以上は、その確認した現象を前提として、その後に発生すべき事態としての事故の結果を予見すべき義務ももとより存在したものといわなければならない。所論信頼の原則なるものは、相手方の法規違反の状態が発現するより以前の段階において、その違法状態の発現まで事前に予見すべき義務があるかどうかにかかわる問題であつて、本件のごとく、被害者の自転車による走行状態が違法なものであつたかどうかは暫くおくとして、その不安定で道路の交通に危険を生じ易い状態は、所論のいう地点まで近接するより前にすでに実現していて、しかもこれが被告人の認識するところとなつていたのであるから、それ以後の段階においては、もはや信頼の原則を論ずることによつて被告人の責任を否定する余地は全く存しないものというほかない。そして、被告人は、右のように、被害者の自転車を最初に発見し、その不安定な走行の状態を認識したさいには、これとの間に十分事故を回避するための措置をとりうるだけの距離的余裕を残していたのであるから、原判決判示にかかる減速、相手方の動静注視、警音器吹鳴等の措置をとることにより結果の回避が可能であつたことも明白であり、所論警音器吹鳴の点も、法規はむしろ本件のような場合にこそその効用を認めて許容している趣旨と解される。

 

東京高裁 昭和55年6月12日

この判例は前方で左右に50センチ幅で動揺しながら進行する自転車を追い抜きした車に対し、警音器吹鳴義務違反や前方不注視を認定した判例。
なお、弁護人の主張はこちら。

所論一、は、本件被害者の自転車が、被告人車の前方で、急に1.5メートル右方に曲つて被告人車の進路に進出してくるようなことは、被告人にとつて予測しえないできごとに属し、したがつて、右被害者の無謀な走行を事前に予測して、被告人車がそのまま進行した場合における事故の発生を予見することは不可能であるとともに、被告人としては、右自転車が直進するものと信頼して自車を運転すれば足りたわけであつて、右のような事態を予見すべき義務もなかつたものであり、また、原判決が判示する警音器の吹鳴は、危険を防止するためにやむをえないとき以外はこれを禁止している法の趣旨に照らして、本件の場合その吹鳴義務はなく、さらに、予見可能性がなければ当然減速の義務もないことになつて、結局、本件については被告人に過失が存在しなかつたにもかかわらず、その過失を認めた原判決には判決に影響を及ぼすべき事実の誤認と法令の解釈適用の誤りがあるというものである。

吹鳴義務はないと主張する弁護人の主張を否定しています。

 

TwitterやYouTubeの動画では、

○明らかにおかしな通行位置(左側端通行義務、18条1項)
○センターライン越え(17条4項)
○蛇行(みだりに進路変更、26条の2第1項)
○ウイリーなど危険行為(安全運転義務、70条)

これらにより、どのような進路を取るのか全く予想できないことからすると、追い越しや追い抜きする場合には警音器で警告し、自転車が左側端に寄ったことを確認し、安全が確保されるまでは追い抜きや追い越しが許されないことになります。

 

たまにこういうのについて、

いろんな人
いろんな人
危険と邪魔は違う

などと言い出す人もいますが、法がいうところの「危険を防止するためやむを得ないとき」はまあまあ広く解釈されていることに注意。

被害者の自転車を最初に発見し、その不安定な走行の状態を認識したさいには、これとの間に十分事故を回避するための措置をとりうるだけの距離的余裕を残していたのであるから、原判決判示にかかる減速、相手方の動静注視、警音器吹鳴等の措置をとることにより結果の回避が可能であつたことも明白であり、所論警音器吹鳴の点も、法規はむしろ本件のような場合にこそその効用を認めて許容している趣旨と解される。

 

東京高裁 昭和55年6月12日

もちろん、何ら不安定性や違反が見られない自転車に対してクラクションを鳴らすことは禁止されています。

自動車運転者が、警音器の吹鳴義務を負う場合は、法54条1項及び2項但書の場合に限られ、右各場合以外に警音器を吹鳴することは禁止されているところ、本件事故現場付近は、同法54条1項によって警音器を吹鳴すべき場所でないことは明らかである。また同2項但書によって警音器を吹鳴すべき義務を負担する場合は、危険が現実具体的に認められる状況下で、その危険を防止するため、やむを得ないときに限られ、本件におけるように先行自転車を追い抜くにあたって、常に警音器を吹鳴すべきであるとは解されず、追い抜きにあたって具体的な危険が認められる場合にのみ警音器を吹鳴すべき義務があるものと解される

 

ところで、被告人は、司法警察員に対する供述調書第一一項において、「あの様な場合警音器を有効に使用して相手に事前に警告を与えておけばよかつたのですがこれを怠り」と述べ、更に検察官に対する供述調書第三項において、「私もこの自転車を追抜く際、警音器を鳴して相手に私の車の近づくのを知らせる可きでした。そうしてそれからスピードを落して相手の様子を良くたしかめ大丈夫であると見極めてから追抜きをする可きでした。それを相手が真直ぐ進むものと考え相手の動きに余り注意しないでそのままの速度で進んだのがいけなかつたのです。」と述べ、自ら自己の注意義務懈怠を認めている如くであるが被告人に過失があつたか否かの認定は、事故当時の道路、交通状態、事故当事者双方の運転状況等により客観的に判断すべきものであるから、これらの被告人の単なる主観的意見によつて、直ちに被告人に過失ありと認定できないこと論を俟たない。

 

もちろん被告人が危険を感じなくとも被告人が右に供述している如く警音器を吹鳴していれば、同人も被告人の接近に気付き事故を防止することができたかもしれない。しかし、前記認定のとおり警音器吹鳴の義務が客観的に認められないから、同人の死亡の結果を被告人に帰せしめることはできない。

 

奈良地裁葛城支部 昭和46年8月10日

追い抜きにあたって具体的な危険が認められる場合にのみ警音器を吹鳴すべき義務があるものと解される」とあるように、危険回避のためやむを得ない場合というのは、追い抜きや追い越しするに当たり危険が存在するかの話であって、「追い抜きや追い越ししなければいいだろ!」という法理ではありません。
やむを得ない=危険回避手段が他にない=追い越しや追い抜きしなきゃいい、みたいな考え方ではないのですが、ここを理解していない人もいますし。
もちろん、自転車が左側端に寄っても追い越しや追い抜きするための安全側方間隔を保てない場合を除きます。

 

自転車が左側端に寄っても安全側方間隔を保てない状況でクラクションを鳴らして追い抜きすることもアウト。
これは最高裁も同様の判断です。
つまり上の判例は、あくまでも安全側方間隔を保てる場合ね。

 

 なお、原判決の認定によると、被告人は、大型貨物自動車を運転して本件道路を走行中、先行する被害者運転の自転車を追い抜こうとして警笛を吹鳴したのに対し被害者が道路左側の有蓋側溝上に避譲して走行したので、同人を追い抜くことができるものと思つて追い抜きを始め、自車左側端と被害者の自転車の右ハンドルグリツプとの間に60ないし70センチメートルの間隔をあけて、その右側を徐行し、かつ、被害者の動向をサイドミラー等で確認しつつ、右自転車と並進したところ、被害者は、自転車走行の安定を失い自転車もろとも転倒して、被告人車左後輪に轢圧されたというのであるが、本件道路は大型貨物自動車の通行が禁止されている幅員4m弱の狭隘な道路であり、被害者走行の有蓋側溝に接して民家のブロツク塀が設置されていて、道路左端からブロツク塀までは約90センチメートルの間隔しかなかつたこと、側溝上は、蓋と蓋の間や側溝縁と蓋の間に隙間や高低差があつて自転車の安全走行に適さない状況であつたこと、被害者は72歳の老人であつたことなど原判決の判示する本件の状況下においては、被告人車が追い抜く際に被害者が走行の安定を失い転倒して事故に至る危険が大きいと認められるのであるから、たとえ、同人が被告人車の警笛に応じ避譲して走行していた場合であつても、大型貨物自動車の運転者たる被告人としては、被害者転倒による事故発生の危険を予測して、その追い抜きを差し控えるべき業務上の注意義務があつたというべきであり、これと同旨の見解に立つて被告人の過失を肯認した原判断は正当である。

 

昭和60年4月30日 最高裁判所第一小法廷

とはいえ

こんな珍走集団が目の前にいるなら、追い抜きや追い越ししたらろくな結果にならないわけです。
集団は何をするのか予想できないし、素直に110番したほうがよい。

 

「暴走自転車が集団で道路を塞ぎ、極めて危険な状況」と伝えればOK。

 

自転車に対し厳罰化をした方がいいですね。
なお刑事責任としては、何ら動揺性が見られない自転車への追い抜きや追い越しについて、側方間隔1.0mあれば違反ではないとする判例が多いですが、このレベルの珍走団には側方間隔2.0mでも違反になるかもしれません。

 

自転車への側方間隔はどれくらい空けるべき?判例を検討。
先行する自転車を追い越し、追い抜きするときに、側方間隔が近すぎて怖いという問題があります。 これについて、法律上は側方間隔の具体的規定はありません。 (追越しの方法) 第二十八条 4 前三項の場合においては、追越しをしようとする車両(次条に...

 

車が自転車を追い越すときに、クラクション(警音器)を鳴らすのは違反なのか?
先日書いた記事で紹介した判例。 自動車運転者が自転車を追い越す場合には、自動車運転者は、まず、先行する自転車の右側を通過しうる十分の余裕があるかどうかを確かめるとともに、あらかじめ警笛を吹鳴するなどして、その自転車乗りに警告を与え、道路の左...

 

左側端通行義務(18条1項)とみだりに進路変更禁止(26条の2第1項)には罰則規定がなく、自転車には追い付かれた車両の義務(27条)は適用外。
センターライン越え(17条4項)、並走(19条)、ウイリーなど(70条)しか罰則規定がないので、こんなヤツラでも取り締まりする根拠が乏しいところにも問題があると思う。

 

【警察庁回答】道路交通法27条(追い付かれた車両の義務)は、自転車には適用外で確定。
まあまあ今更感はある内容ですが、以前書いた記事。 回答が来ましたので。 自転車には道路交通法27条は適用外 道路交通法27条は追い付かれた車両の義務と言われる条項です。 (他の車両に追いつかれた車両の義務) 第二十七条 車両(道路運送法第九...

 

自転車乗りの立場からすると、違反者は何ら遠慮することなく取り締まりして頂いて構わない。
違反しなけりゃ関係ないし。

 

18訂版 執務資料 道路交通法解説
道路交通執務研究会(編集), 野下 文生 原著(その他)




コメント

タイトルとURLをコピーしました