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誘導棒でハンドサインは問題なし?

なかなかびっくりするような話なんですが。

読者様
読者様
自転車に乗っていてハンドサイン(手信号)するときに、工事現場の誘導員が使う誘導棒を持ってハンドサインするのはアリなのでしょうか?
以前都内で夜に見かけたことがあり、なんだあれ?と気になってました。

誘導棒でハンドサイン

誘導棒ってこれですよね?

左折するときとか、停止するときにこれを持ってハンドサインをする…何の意味があるのかはわかりません笑。

法律上の話でいうと、二点から問題になる可能性があります。

公安委員会遵守事項違反


そもそも、道路交通法71条6号(公安委員会遵守事項違反)になるのでは?
どの都道府県もこの規定がありますから。

東京都の場合。

(運転者の遵守事項)第8条 法第71条第6号の規定により、車両又は路面電車(以下「車両等」という。)の運転者が遵守しなければならない事項は、次に掲げるとおりとする。
(3) 傘を差し、物を担ぎ、物を持つ等視野を妨げ、又は安定を失うおそれのある方法で、大型自動二輪車、普通自動二輪車、原動機付自転車又は自転車を運転しないこと

この規定って自転車の片手運転が安全運転義務違反(70条)として成立しないことから危険防止のために存在する規定です。
「物を持つ等安定を失うおそれのある方法で自転車を運転しないこと」に明らかに抵触すると思いますが。

手信号も片手だから一緒だろ!とはならなくて、要は何かを持っていたら咄嗟にハンドルやブレーキを握れない。
だから「片手運転は禁止」ではなくて、「物を持つ等」を禁止している条文です。

間違っても、

いろんな人
いろんな人
咄嗟のときは誘導棒を投げ捨ててブレーキ操作するから!

これもダメ。

(禁止行為)
第七十六条
4 何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
四 石、ガラスびん、金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又は発射すること。
五 前号に掲げるもののほか、道路において進行中の車両等から物件を投げること

道路上では投げ捨てや発射禁止です。

管理人
管理人
発射します!
いろんな人
いろんな人
管理人、アウト。

赤色前照灯になる恐れ

これはビミョーですが、左折などのハンドサインをした際に、後続車のみならず対向車からしても赤色灯を視認することになるため、赤色前照灯となりうる。

そもそも、どのような効果を狙って誘導棒を振りかざすのか知りませんが、正直なところ違反になる可能性が大としか。

元々の趣旨

公安委員会遵守事項違反として物を持って自転車に乗ることを禁止している理由ですが、安全運転義務違反は「状況」が伴わないと違反として成立しないからです。
状況を問わず危険な行為を制限するために、公安委員会遵守事項で制限しています。

安全運転義務違反って、「状況」が伴わないと違反にならない理由は以下2つの判例にあります。

①森簡裁 昭和42年12月23日

本件公訴事実の要旨は、

「被告人は、昭和42年(中略)ころ、(中略)の自宅店舗前から字尾札部八木橋までの約450メートルの道路において、自動二輪車を運転するにあたり、同区間の道路は幅員約5.5mで狭い舗装路であるうえ、一部は見透しが不良な曲線であり、かつ道路両側の随所に民家その他の造作等が道路側端に設置され、それらの蔭から出てくる横断歩行者等を直前において不意に発見することとなるような、危険な道路であつたのに右手でハンドルを操作し、左手に出前箱一個(長さ47センチメートル、高さ30センチメートル、巾26センチメートルのステンレス製、総重量約6キログラム)をさげ、あるいはこれを胸部前面に吊るように持ち、危急の場合には警笛吹鳴も、正確なハンドル操作も、又安全に急停止もできない状態で、毎時約20キロメートルの速度で同車を運転進行し、もつて道路及び交通の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で当該車両を運転しなかつたものである。というのである。

森簡裁 昭和42年12月23日

左手で出前の箱を持ちながら時速20キロでオートバイ
を運転した事実により、70条安全運転義務違反に問われた判例です。
結論からいうと、無罪

問題は、右のような運転方法が、周囲の状況に照らして、道路交通法第70条にいわゆる「他人に危害をおよぼ」すおそれのある運転方法かどうかである。このような運転方法は、一般的にいえば、通常の方法と比較して、より危険な方法であることは疑いない。また交通戦争という言葉さえきかれる今日、避けることが望ましい運転方法の一つであること、周囲の状況の如何によつて同法条違反の行為に該当することもありうること等は、いうまでもない(この点は、被告人、弁護人とも異論がないようである。)殊に、本件の場合出前箱の形状重量を考えると、一層その感が深い。

しかし、検察官も認めるとおり、本条のように必らずしも意義の明確でない取締規定の解釈に当つては、罪刑法定主義のたて前からいつても、拡張解釈は十分慎しまなければならず、当該事件の具体的諸状況に照らして、相当厳格に解釈する必要がある。そこで、事件当時の状況を検討するに、前掲各証拠を綜合すると、右事実のほか、次のような事実が認められる。すなわち、当時は気候のよい10月初旬の天候もよい昼間で、本件道路の右区間は格別損傷個所もない平坦な舗装道路で、舗装路面の幅員は少なくとも5.5m以上あつて、それ程狭くはなく、曲線はあるが比較的ゆるやかで、最も見とおし困難な個所でも、道路の中心線から同中心線を50m以上を見とおすことができ、複雑な交差点もなく、交通量は一般的にそれ程頻繁ではなく、特に事件当時は時間的に非常に閑散なときであつたこと、被告人は本件自動二輪車および同種の車について相当の運転経験を有し、このような運転方法で当該道路を何度も走行したことがあり、しかもその際事故等を起したことはないこと、警音器とライト上下の切替以外の装置はすべて右ハンドルあるいは左右の足によつて操作すべき個所に装備され、確実に操作することのできる状態であつたこと、被告人は170センチ以上の身長があつて、右自動二輪車に乗つたまま両足を地面につけてなお余裕があり、さらになんといつても当時の速度は、せいぜい毎時約20キロメートル程度であつたから、ほとんどいつでも確実に急停止等の措置もとれる状態であつたこと、被告人の本件走行距離は約415m程度にすぎなかつた等の事実が認められる。そのほか、義手を用いることを条件とされてはいるが片腕欠損者にも自動二輪車の運転が免許されており、飲食店のいわゆる出前のためのこの種運転方法について、その取締ないし行政指導の実情は一般に必らずしも徹底しているともうかがい難い。以上の諸事情を綜合して考えると、被告人の本件運転行為をもつて「他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなかつたもの」と認めることはできない。

森簡裁 昭和42年12月23日

②遠軽簡裁 昭和40年11月27日

(罪となるべき事実)

被告人は昭和40年(中略)、原動機付自転車を運転し、紋別郡遠軽町大通り南四丁目附近の人車の往来が頻繁な交差点道路を右折するに際し、ハンドルから左手を離しこれに左官用こておよび手板を持ち、このためハンドルを確実に操作できない状態で時速約20キロで進行し、もつて他人に危害を及ぼすような速度と方法で運転したものである。

遠軽簡裁 昭和40年11月27日

法70条は現実の具体的な状況が一つの構成要件要素となつていることを考えなければならない。すくなくとも、右70条にいういわゆる安全運転義務に反したというためには、道路交通及び当該車両等の具体的な状況からみて、他人の生命、身体に危害を及ぼすような虞れが、現に存在した場合でなければならない。従つて、まつたく人車の往来のない道路で、いかに乱暴な危険な運転をしたとしても、それだけでは本条違反とはならないのであり、他人に危害を及ぼす虞れのある客観的な状況を必要とするのである。もつとも本条は、現実に他人に危害を及ぼしたことも、具体的な危険が発生したことも必要としない。このような意味で本条は抽象的危険犯ということができる。

本件犯罪事実を認定した各証拠によれば、被告人が運転した原動機付自転車の左ハンドルには、ライトの切替スイツチとその下方にホーンボタンの装置のみがほどこされている。いわゆるノークラツチのもので、当時の状況としては、これらの装置を使用する必要はなかつたと考えられる。そうであれば、被告人には右装置の操作懈怠はなく、この点に義務違反はない。そこで被告人の左手離し運転の状態をみると平衡を失したり、ぐらつき、ジグザクな走行になつたわけではなく、免許証取得の年数からみてもとくに運転技術が拙劣であることもなく、また左手に下げた左官用の手板、こても1キロ程度の重量しかなく、道路も比較的平坦な、また狭隘という程でもなく、本件交差点附近をのぞきかなりまつすぐな状態にあり、すくなくとも判示交差点にさしかかるまでは人車の往来もさして頻繁でなかつたのであるから、かかる状況のもとでは、被告人の右行為をもつて他人に危害を及ぼす虞れがあつたとすることはできない

ところが被告人はそのまま走行を続け、遠軽町大通り南四丁目附近の交差点を右折して、ここで当時交通違反者公開取締中の警察官の指示をうけ停止したのであるが、この交差点は、北見方面と紋別方面を結ぶ幹線と岩見通りと西町とを接続する道路とが変則的に交差する四叉路で、車の往来も頻繁であり、またこの交差点の附近には、信号機の設置されていない横断歩道が設けられていて、人の往来も頻繁である。被告人はこの交差点を判示のような状態で、約20キロの速度をもつて通過したのであるが、かような交通繁雑な路上では、同一方向の車両等、対向車両等および横断中の歩行者との近接の度合も一段と高くなるから、これら人車との接触回避を要する事態も容易に生じうべき状況にある。このような場合被告人としては、いつでも両ハンドルを把握できるような体勢をもつて進行しなければならない安全運転上の義務があつたのに、判示のような状態で原動機付自転車を運転したところに法70条の違反があつた。

遠軽簡裁 昭和40年11月27日

この2つから言えるのは、結局のところ見通しがよくて交通量もまばらな状況で、出前で片手運転でも熟練した人が運転する分には安全運転義務違反には問えない。
遠軽簡裁判決についても、交差点部の片手運転については安全運転義務違反を認めているけど、交差点に手前については否定。

物を持って二輪車に乗ることは危険行為だからしないように指導や取り締まりしたくても、安全運転義務違反は必ずしも成立しないので、公安委員会遵守事項違反として取り締まり可能にしてます。
交差点の右左折などは一般的に危険を伴う行為だから徐行義務が課されてますが、危険を伴う行為に「物を持って」が加わればアウトかと。

取り締まり?

誘導棒でハンドサインをする自転車を、取り締まり対象にするかはまあまあビミョーです。
事故になったときには、過失になる可能性が大。

どうしてもライトで発光させたいなら、こっちじゃないですかね。



道路交通法は難解ですが、道路上で発射することは禁止です。
繰り返します。
道路上で発射することはいろんな意味で危険だし禁止です。

道路上では発射禁止です。
ダメ絶対。




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