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見分けがつかない車両通行帯。

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この話題って、興味がある人が多いのか少ないのかわかりませんが。

 

車両通行帯=複数車線道路ではないの??ええ、違います・・・
メールで質問を頂いていた件なのですが、 確かにいろんな記事にとっ散らかっているのも事実なので、全部まとめます。 用語の確認 ・「法」 ⇒ 道路交通法 ・「令」 ⇒ 道路交通法施行令 ・標識令 ⇒ 道路標識、区画...

 

実際のところ、上乗せ規制があるようには見えない車両通行帯も存在します。
ちょっと前に読者様からいろいろ調査結果を教えて頂きました。

なぜそこに車両通行帯が?

1)福井市内の県道福井森田丸岡線:先日、2022年8月18日付の『福井県報 号外第69号』では、「別表第27(1)「車両通行帯を設置する区間(一定区間を通して指定)」」として、従来の1500mから3700mへと延伸されています。これは、10月に予定されている「新九頭竜橋」の開通に対応したものでしょう。調べてみると従来の1500m分は2009年3月29日付『福井県報 号外17』掲載の公安委員会告示で新規指定されたものです。この新規指定の際、区間内の交差点に関しては同時に「別表第27(2)「車両通行帯(交差点付近等)を設ける区間」」や「進行方向別通行区分」、「原動機付自転車の右折方法(二段階)の特例を除外する場所」の指定もされています。
しかし、この2009年告示では当該1500mの区間に専用通行帯や進路変更禁止などの上乗せ規制は示されておらず、ストリートビューを見てみましてもその後上乗せ規制を実施した形跡が見受けられません。強いて言うならば、上下線分離区間ですので交通整理のない交差点で交差路との幅員差がなく、優先道路にするために車両通行帯を貫通させた、と理解できるかもしれませんが・・・

 

2)小浜市内の県道小浜上中線:2021年9月16日付『福井県報 号外第53号』では、小浜市の「南川大橋東詰」交差点から「道の駅 若狭おばま」前を通り小浜ICの交差点に至る1100mの区間が新規に指定されています。やはり区間内の交差点に関しては別途車両通行帯の指定をしていますし、他方1100mの区間に対応した上乗せ規制は見受けられません。2022年4月撮影のストリートビューを見ても上乗せ規制を行っている様子はありません。ここの場合、交差点の優先関係については中央線の貫通や明らかな幅員差で対応できそうですが・・・

2のほうから。

福井県報号外53号(令和3年9月16日)

別表第27(1)「車両通行帯を設置する区間(一定区間を通して指定)」として以下の指定がなされています。

警察署 市郡別 番号 道路名 区間 通行帯の数 距離 時間
小浜 小浜市 1 県道(小浜上中線) 上記参照 2 約1100m 終日

Googleマップで確認すると、上乗せ規制らしきものは見当たりません。

 

これ、いろいろ不思議に思うのですよ。

①番号が「1」になっており、小浜警察署管内では車両通行帯(一定区間)は初の指定になっている。
②対向車線も二車線あるが、片方向しか車両通行帯に指定されてない。
③車両通行帯指定されている約1100mの前後も二車線区間になっている

何のためにこの「約1100m」だけを車両通行帯にしたのか、意図がさっぱりわからない。
しかも片方向のみ笑。

 

昨年これを見たときに、Googleマップが更新されたら何らかの上乗せ規制が見つかるのでは?と考えて放置していました。
現状では特に何も見当たりません。

 

1の「福井市内の県道福井森田丸岡線」についても、理由はよくわかりません。
車両通行帯(一定区間)の指定番号は「28」になっています。
以前古い県報からいろいろ見た限り、福井市で一定区間になっている場所はバスレーンに指定されているのを何ヵ所か確認していましたが、全部は確認していませんでした。

 

このように、何のために車両通行帯にしたのかさっぱりわからない道路もあるにはあります。
このあたりの意図は、警察署に聞かないとわからないです。
そのほか、30キロくらいに渡って上乗せ規制がない車両通行帯もありましたが、なぜか片側のみ指定されていたりするので何目的なのかは知りません。

 

一応全国の交通規制一覧はこちらから確認できるそうです。

○交通規制のリストについて。すでにご存じでしたら釈迦に説法で申し訳ないのですが、日本道路交通情報センターで、オープンデータとして「交通規制情報」が提供されています。各警察本部の交通規制データベースが基になっているようで、確かに内容はとても充実しています。ただ、規制位置が住所ではなく緯度経度で記載されているので使い勝手の悪さはありますが・・・ 上手いことデータの記述形式を整えてやれば、エクセルの3Dマップ機能なりで表示できそうですが・・・ 私自身まだ全然このデータベースの使い方を理解していませんが、管理人様が求めているものの、ある程度の代用品にはなると思いますので、もしご存じでなければ是非一度お試しになってみてください。
【PCですと、日本道路交通情報センター(JARTIC)のトップページ(https://www.jartic.or.jp/ )左側の「JARTICのサービス」⇒「各種情報の提供(オープンデータ)⇒「交通規制情報」】

バイパスなどには車両通行帯の指定がある場合もありますが、なぜか片側のみだったりすることもあり意味不明です。

とはいえ

見分けがつかない問題なんですが、例えば小浜市の事例ですら指定番号が「1」。
ほとんどの複数車線道路が車両通行帯になっていない点は変わりませんし、仮に見分けがつかないとしても車両通行帯と車線境界線が混在している以上、軽車両は

・18条1項(車道の左側端)
・20条1項(第一通行帯)

この両方を満たす位置を通行するしかないので、そうなると「第一車線の左側端」を通行するしかないという点では何ら変わらなかったりします。
なので結論が変わるわけでもない。

 

明らかな車両通行帯である上乗せ規制があるなら、左側端である必要性はなくなります。

 

何のために車両通行帯の規制を掛けたのかは最大の謎です。
約1100m通行帯を設けたところで、市街地で通行帯違反を取るのか?と聞かれても…果てしなく疑問。

判例について

ほとんどの民事の判例では、複数車線道路=車両通行帯として扱われています。
これは理由がありまして、そもそも裁判は当事者間で争いがないことはそのまま認定されるだけだから。

 

例えばこんな道路で自転車に対し車がオカマ掘ったとします。

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原告の主張が例えばこうだとする。

1、原告は自転車に乗っている際に被告に衝突されたのであるが、本件道路は片側二車線の車両通行帯がある道路である。
原告は道路交通法20条1項により第一通行帯の中を通行しており、左側端に寄る義務はないのだから、自転車の通行位置は何ら違法ではない。

これに対して被告が認否するわけ。
「車両通行帯である」というところを「認める」と書けば、車両通行帯であることについては双方争いがない事実になるので、裁判所は車両通行帯であることを前提に判決を書くだけ。

 

間違っても裁判官が、下記のような判決は出せないのです。
裁判官が勝手に調べてきて判決に盛り込むこと自体が違法。

 

読者様
読者様
原告、被告ともに本件道路を車両通行帯であると主張するが、当職の調査によれば本件道路は車両通行帯ではなく、双方の主張は間違っていると言わざるをえない。

 

双方間違い!なんて判決出したら大問題です笑。
なので車両通行帯であることを争っていない判例のほうが多い。

 

車両通行帯か車線境界線かを争っている判例、探した限りはほとんどありません。

 

さらに詳しく知りたい人への車両通行帯の話。
ここまで何度も、一般道の場合は車両通行帯は限られた場所にしかないよという話を書いているのですが、警察庁が車両通行帯を設ける場所の基準を一応出しています。 この中で、【必ず】車両通行帯にせよとしている個所がいくつかあります。 ...

 

争っている判例の場合、車両通行帯だと主張する側に立証責任があります。

なお車両は車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて1番目の車両通行帯を通行しなければならない(道路交通法20条)が、本件道路について、車両通行帯(同2条1項7号)が設置されていることを示す証拠はない車線境界線は、直ちに車両通行帯になるわけではない)し、右折を予定していたことを踏まえると、ただちに左側寄り通行等の規制に反していたともいい難い。
そうすると、被告において第2車線を走行していたこと自体に何らかの過失を見いだすことも困難といえる。

 

名古屋地裁 平成26年9月8日

なお被告は亡Aに重大な過失の存ずる根拠の一つとして、原付自転車に登場していた同人が本件事故現場に設置されていた3本の通行区分帯中左端の第一通行帯を進行すべきであるのに(道交法20条1、3項、同法施行令10条1項2号)右端の第3通行帯を進行した旨主張するが、【証拠略】によれば本件事故現場に設けられている前記2本の白線は岡山県公安委員会が正式の車両通行帯として設置したものではなく、道路管理者たる建設省岡山国道工事事務所が通行車両の便宜を考慮して設けた事実上の車両境界線に過ぎないことが認められるから、両被告の主張はその前提を欠き理由がないものと言うべきである。

 

岡山地裁 昭和45年4月22日

本件事故現場は道路左側が2車線になっており、そのうち、少なくとも事故直前の時点にあっては、道路中央線から遠い車線、即ち道路左側から数えて1番目の車線(以下便宜「第1車線」という)上を被告のトラックが、道路中央線に近い車線、即ち道路左側から数えて2番目の車線(以下便宜「第2車線」という)の梢第1車線寄りの部分を原告が、いずれも同一方向に、殆ど近接した状態で併進したこと、被告は第1車線上の他車輛を追越すため後方を確認したが、その確認状態が杜撰で不十分であったため原告に気付かず、事故現場直前約13.8mの地点で第2車線に進路変更のための方向指示器を挙げて追越にかかり車体が約半分第2車線に出たところで直進してきた原告に接触したこと、しかし右の第1、第2車線は道路交通法第20条所定の車両通行帯ではないこと、即ち、右両車線の中央を仕切る境界線は道路標識、区画線及び道路標示に関する命令別表第四(区画線の様式)(102)所定の車線境界線であって、道路管理者である建設省において便宜表示した記号にすぎず、之と若干まぎらわしい記号ではあるが、同命令別表第六(道路標示の様式)(109)1(1)所定の、公安委員会が危険防止のため設定表示した車両通行帯境界線ではないこと

(中略)

各種車両の交通頻繁な箇所では、最高速度時速30キロメートルの原動機付自転車は、同法18条の立法趣旨を尊重し、軽車両同様できるだけ第一車線上の道路左側端を通行して事故の発生を未然に防止すべきである。

 

福岡地裁小倉支部 昭和48年1月19日

とはいえ、ご指摘頂いたように謎の車両通行帯が存在することも事実です。
とはいえ、そのような事例がゼロとは言わないけどほとんど無いに等しいわけなので、あんまり気にしなくていい気がします。

 

上乗せ規制がない車両通行帯は、現場の警察官がリストを頭に叩き込んで取り締まりしている…と思います?
見分けがつかない車両通行帯は、誰のために、何の目的で、何を規制したいのかさっぱりわからない。
実益はゼロとしか思えませんね。

 

あと、車両通行帯でもこういう判例も出てます(当事者間に車両通行帯であることの争いはなし。)。

 

車両通行帯でも自転車は左端を走ることが通常とする判例。
まあ、何度も書いているように一般道には車両通行帯なんてほぼ無いのですがw 車両通行帯は、交差点手前か、専用通行帯くらいしかありません。 そのことは置いといて、自転車と車の事故の判例がありました。 ...

 

原告(自転車側)の主張

(ア)自転車の走行は道路交通法にのっとったものであること

 

自転車は軽車両であり、原則として車道を通行しなければならず、第1事故現場は、車両通行帯が設けられた片側2車線の道路であるから、道路交通法上、自転車は、道路の左側端から数えて1番目の車両通行帯を通行するべきであるが、その際、左端に寄る必要はない(道路交通法17条、18条1項、20条1項)。したがって、自転車は、第1車線内であれば、どの位置を通行してもよく、第1車線内で多少ふらつき、又は第1車線内で左端寄りの位置から車線中央付近に位置を変更して走行したとしても、道路交通法にのっとった走行方法であって、何ら過失がない

 

(イ)被告車が追越しの際に第2車線に車線変更しなかったこと

 

道路交通法20条3項によれば、車両通行帯が設けられた道路で他の車両(自転車を含む)を追い越すときは、1つ右の車両通行帯を通ってそうこうしなければならないにもかかわらず、被告車は、自転車を追い越す際、第2車線に車線変更せず、第1車線を走行したまま追い越そうとしたから、この点に過失がある。

ここに関わる裁判所の判断です。

自転車は、後方から接近してくる被告車の動静に注意を払わず、何らの合図もなく、突然、斜め約45度の角度で右方向に進路変更して被告車の右前まで移動したのであるから、この点について、自転車にも過失が認められる。

 

この点について、原告は、道路交通法上、自転車は、第1車線のどこでも自由に通行することができるから、第1車線内での進路変更は過失に当たらない旨主張する。しかし、本件道路のような、高速で走行する自動車が多く、中央分離帯のある片側2車線の幹線道路を自転車が通行する場合、自動車と自転車の速度差は一般道よりもさらに大きく、自転車は、常に後方から進行してくる自動車に追い越されることになり、自転車が後方から直進してくる自動車の前に進路変更すれば、自動車と衝突する可能性は極めて高いのであるから、自転車は第1車線の左寄りの位置を通行するのが通常であり、これを前提にほかの車両も通行するものである。したがって、本件道路においては、自転車が第1車線内で右寄りに進路変更する際には、後方から高速度で走行してくる自動車の動静に注意しなければならないことは当然であって、これに対する注意を欠いたことは、自転車運転者の過失となるというべきであり、道路交通法上は走行方法が違法でないからといって、その過失を否定することはできない。

 

福岡地裁久留米支部 令和2年6月12日

※控訴棄却 福岡高裁令和2年12月8日

 

見分けがつかない=18条と20条を満たした位置を走るしかないことには変わりないのですが、「なぜその区間だけが車両通行帯?」という部分は理由を聞いてみたいですけどね。

 

昭和46年改正時に、車線境界線(区間線)を車両通行帯(規制標示)とみなす改正だけがなぜか見送りになっていますが(交通法2条2項、標識令7条)、理由はなんとなくわかりましたが明確な理由として記述された文献はみつかりません。
そこに何らかのヒントがあるはずなんですが。
民事は違法行為責任ではなく不法行為責任なので、違反ではなくても過失にはなり得ます。

 

なお、車の場合はイチイチ分けずに車両通行帯として教えますが、車って18条も20条もやることは変わらないので、分ける理由がないからだと考えられます。
元々18条1項と20条1項って考え方は同じで、遅い車両を左端にして右側から追い越しを促す点が根本的な考え方なので。




コメント

  1. blank MTB より:

    >この両方を満たす位置を通行するしかな>いので、そうなると「第一車線の左側>>端」を通行するしかないという点では何>ら変わらなかったりします。
    >なので結論が変わるわけでもない。

    雪国では車道外側線の左側が1.5m〜2mもある道路が結構あります
    だから両方を満たす位置は無いので車道外側線の外側を通行しています。

    • blank roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      自転車が車道外側線の外側を通行しても取り締まり対象ではないですし、広い場合はそのほうがベストでしょうね。