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なぜそのように解釈する?

先日の記事について。

日本の道路交通法では、自転車が並走することは禁止されています。 (軽車両の並進の禁止) 第十九条 軽車両は、軽車両が並進することとなる場...

読者様
読者様
本日の記事「自転車の並走と違反。それ本当に違反ですか?」https://roadbike-navi.xyz/archives/32601/を見させていただきました。

そこで疑問に思ったことがあります。
17条4項は通行すべき所についての話であって、19条には車道において等の場所については書かれていないので、歩道上2台や1台が路側帯上でも並進していたら違反なんじゃないかなと思いました。
歩道や路側帯が元々自転車が通行してはいけないなら話も分かるのですが。。。

17条4項をもって車道での並走を禁止する趣旨と解釈する理由をご教示下さいませんでしょうか?

もし可能であればよろしくお願いいたします。

考え方としては

19条は「第三章 車両及び路面電車の交通方法」の中にありますが、車両のルールなので、どの規定についても「道路において」と読み替える趣旨だと解釈されているからです。

それに加え、17条4項では、

道路(歩道等と車道の区別のある道路においては、車道。以下第九節の二までにおいて同じ。

歩道等と車道の区別がある道路では車道のことと読み替えることになっています。
なので、19条も「道路において(歩道等と車道の区別がある場合は車道)」と読み替えることになります。

38条1項についても、「車両等は、横断歩道等に接近する場合には」とありますが、「道路(歩道等と車道の区別がある場合は車道)を進行して」と読み替えないと、歩道から横断歩道に接近する自転車は、横断歩行者がいたら一時停止義務が生じてしまいます。

法律の条文って、立法趣旨解釈をする条文はいくつもあります。
19条についても、「立法趣旨解釈としてそのように決まっているから」と考えたほうがよいです。
強いて言うなら、自転車の歩道通行が解禁される前にできた規定なので、そもそも歩道の並進とか考える必要がなかったからなのかもしれません。

このあたりは確か執務資料道路交通法解説にも書いてあったはず。


なので歩道での並走や、路側帯と車道に1台ずついる並走は19条の違反とはなりません。
ただし、歩道や路側帯では歩行者の通行妨害することは禁止されているので、並走した結果として歩行者を妨げれば違反になります。

立法趣旨と経緯から解釈

立法趣旨と経緯から解釈する条文はいくつもあります。
例えば、自動車運転処罰法の危険運転致死傷も同じ。

なかなか凄いニュースだなぁと。 一般道で時速194キロで右直事故(加害者直進)について、危険運転致死罪ではなく...

ちょっと前に報道でも出てましたが、高速度危険運転の解釈。

(危険運転致死傷)
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為

「その進行を制御することが困難な高速度」をどう解釈するのか?という点について、あくまでもコースの逸脱であり、直線道路をまっすぐ進行していたなら、何キロだろうと該当しないと解釈されてます。

これは立法当時からそのような説明がなされていて、裁判所も同様の判断なので覆る可能性はゼロに近い。
その結果、時速200キロ弱でまっすぐ進行していた事件を過失運転致死でしか起訴できないことになりますが、法の不備であって検察官が悪いわけじゃない。
けど、あんな報道の仕方をしたら検察官を非難する人が続出する。

ジャーナリストの問題提起の仕方としては、ちょっと違うんじゃないの?と疑問に思いますが。
批判すべきは検察官ではなく法そのもの。

道路交通法38条についても、立法趣旨解釈をしないと横断歩道を横断しようとする自転車まで優先する規定だと読めてしまうし、信号の有無が書いてないので赤信号無視した歩行者も優先する規定かのような錯覚に陥る。
なぜ横断歩道と歩行者、自転車横断帯と自転車と読むのかについても、38条が存在する理由と歴史を見ないとわからないのです。

先日の記事についてなんですが、 と何名かの声を頂きました。 どこかに書いた気がしますが、きちんと理解...

38条は旧71条3号の、今でいうところの前段の義務が規定される前から赤信号無視の歩行者を優先する規定ではないと解釈されてました。
信号の有無なんて書いてないけど、赤信号無視する人を優先する規定を作るわけもない。

(運転者の遵守事項)
第七十一条
三 歩行者が横断歩道を通行しているときは、一時停止し、又は徐行して、その通行を妨げないようにすること。

昭和46年改正時に前段の義務が規定され、前段の除外事由として「当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者等がないことが明らかな場合」が追記されました。
これの解釈として、

①歩行者等に向けられた信号機の信号が赤であって、その赤の現示時間中に車両等が横断歩道等を通過することが明らかな場合
②横断歩道等およびその周辺が十分見渡せる場合で横断しようとする歩行者及び自転車か見当たらないとき

どちらかを満たせば義務がないとすることに決めただけ。
このあたりは当時の資料を読めば明らかなんだけど、条文をそのまま読んで

読者様
読者様
200m手前で赤信号無視した歩行者を発見した!

とか意味不明な解釈をする奴まで現れることになりましたが、要は立法当時の昭和35年から赤信号無視した歩行者は対象外だという当たり前の解釈を継続しただけに過ぎない。
こういうのも、条文一つだけ読んで解釈しようとするからワケわからん話になる。
なぜ38条1項に信号の有無が書いてないかについても、昭和24年の道路交通取締法時代から条文を並べて、改正履歴と改正した意図まで確認しないと理解できないのです。

このあたりは、警察学論集での解説(警察庁交通企画課)が納得しやすい。

なんかグダグダ言ってる奴がいますが、話の流れ上、横断歩行者妨害について調べた内容をまとめておきます。 横断歩道を横断する歩行者...

現行の38条の2は元々は信号の有無により分けていたのですが、分けていた理由、分けることを廃止した理由も含めて考えないと、なぜ38条1項に信号の有無が書いてないのかもわからなくなります。
結局、「なぜそのように解釈しているのか」については改正の歴史から全部調べないとさっぱりわからない。
条文読んだだけでは理解できない規定があることも問題なんですが…

この改正内容の第二点は、従来の第一項および第二項の区別を廃止したことである。改正前の第38条は交差点における交通整理の有無によって第一項と第二項を分けて規定していたが、車両等の義務の内容としてはいずれも「歩行者の通行を妨げてはならない」ことを規定していた。したがって、規定をこのように分けていた実益は、交通整理の行われている交差点において優先の適用を受ける歩行者を「信号機の表示する信号または警察官の手信号等に従って横断している」歩行者に限っていたことにあると考えられるが、本来このような優先の規定は適法な歩行者にのみ適用になると解するのが当然のことであるので(注2)、今回の改正を機にこの区別を廃止したのである。

(注2)この点については、改正前の第71条第3号すなわち改正後の第38条第1項の規定についても、信号無視の歩行者に優先権を与えたものでないのは解釈上当然のことであると考えられていた

警察庁交通企画課 浅野信二郎、警察学論集20(12)、p37、立花書房、1967年12月

38条2項がなぜ対向車線の状況を適用外にしているのかについても、関係する改正履歴を確認しないとみえてこない。

道路交通法38条2項は、横断歩道手前に停止車両があるときには、一時停止して確認してから進行せよというルールです。 2 車両等は、横断歩道等...

横断歩道前後の駐停車禁止規定から見ていくと、38条2項を作った昭和42年当時は対向車線の横断歩道の見通しまであまり考えていなかっただけなんじゃないかとすら思えます。

なので道路交通法の規定の中には、条文読んだだけではわからんものが普通にあり、解説書や判例など引っくるめて検討するしかありません。
19条の並走禁止規定も、「道路(歩道等と車道の区別がある場合は車道)において」という隠された前置きがあるということになります。

わからない笑

要は法律って、条文読んだだけではわからんものが普通にあるという話です。
それがいいのか悪いのかはわかりません。
ただね、条文読んでもわからないものがある結果、検察官まで間違っているのはちょっとどうかと思う。
横断歩道が赤信号でも、38条1項の義務があるかのような主張をしたみたいね。

検察官は、その趣旨は必ずしも判然としないものの、論告において、被告人又は被告人車両には、道路交通法38条1項が適用されることを前提として、先に述べた以上に特に高度の注意義務が課されるかのような主張をしているため、この点について念のため付言しておく。
道路交通法38条1項は、「当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合」を除外しているところ、この「歩行者等が無いことが明らかな場合」には、歩行者等に向けられた信号機の信号が赤色を表示しており、その赤色の現示時間中に車両等が横断歩道等を通過し終わることが明らかな場合が含まれると解される。本件における被告人車両は、この除外事由に該当するといえるから、道路交通法38条1項が適用はない。仮に、検察官の主張するように、被告人車両について道路交通法38条1項が適用されるとしたならば、信号機により交通整理が行われている交差点において、自社の対面信号機が青色を表示しており、横断歩道等の歩行者等に向けられた信号機の信号が赤色を表示している場合であっても、特にその道路幅が広ければ広いほど、自動車の運転者は、常に横断歩道等の直前で停止できるような速度、すなわち、横断歩道等に接近しながら徐々に速度を落とし、横断歩道等の至近のところでは徐行に近い状態の速度で進行しなければならないことになるが、このことが結論において不合理であることは明らかである

徳島地裁 令和2年1月22日

私が行政訴訟をしたのは、ある法律に書いてあるたった5文字の解釈についてでした。
単語だけが記述されているけど、その単語の定義は法律にはない。

定義がないから拡大解釈可能と考えた行政と、拡大解釈したら矛盾ばかり生じるから取り消せと訴えた私。
もうね、立法当時の国会議事録とか関連する様々な法律まで検討することになり、最悪でしたよ笑。
最終的には明治時代まで遡りましたが…国会図書館にも存在しない書物を持っている大学があって、無理を言ってコピーさせてもらったり。

歴史クイズをしているような争いでした笑。

行政訴訟は絶対に勝てないとか言われますが、要は行政側は多数の人員を動員し、一般公開されてないような行政通達なども調べることができます。
しかも都合が悪いものを見つけても、法廷に出さなきゃいい。
対する一般人は、情報収集能力では絶対に行政には勝てない。

道路交通法の解釈についても、なぜそうなるのか?が不明なものはあります。
昭和30年台の立法当時にどう考えていたのかを知りたいなら、注解道路交通法(いわゆる宮崎注解)や註釈道路交通法(いわゆる横井註釈)あたりが詳しく書いてあります。
改正時にどういった意図で改正したのかについては、警察学論集とか。

なぜそうなるのか?まで知りたいならそういう古いモノを検討するしかありませんが、ぶっちゃけマニア以外は不要だと思います笑。
執務資料にしても、載せている判例がビミョーなものもあるし、最新の判例には対応してない。
判例見たいなら「道路交通関係実例判例集」とかが詳しい。

なぜそうなるのか?まで知りたいなら遡るしかありません。
けど、マニア以外はオススメしません。




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