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自転車を追い抜きする際に非接触事故。

こういう判例って、車道を通行するロードバイクとしてもちょっと気になる。
今回は白バイが自転車を追い抜きした際に、非接触事故のあったという判例です。

非接触事故

今回のケースは判決文が見当たらず、警察学論集(1972年9月)に掲載されていた警察庁の論評から引用します。
なので道路幅など詳しくは不明です。
判決は宮崎地裁昭和46年10月18日(一審で確定)。

だいたいの事故概要をイラスト化しました。

白バイが時速40キロくらいで進行中、道路左側端の非舗装部分を同一方向に進行する自転車を前方約27mに視認。
10mくらいまで迫ったときに、自転車が非舗装部分から道路中央にかけて進路変更。
白バイは軽くブレーキを掛けながら右に進路を変え、側方通過。

白バイがミラーで確認したところ、自転車乗りが倒れていたという事故です。

この事故、双方の言い分に食い違いがあります。

◯自転車→白バイに衝突され転倒した。
◯白バイ→自転車とは全く接触していないばかりか、十分な間隔を保って通過したから過失はない。

裁判所の認定は、「接触したとまでは認め難い」としながらも「生理的、心理的影響を受けて転倒した」として白バイの走行と事故発生の因果関係を認めています。
結論としては、自転車側の重大な過失として70%の過失相殺をしたという話です。
なお、事故の詳細については上で書いた内容以外は「不明」という扱いらしい。

よく言われるところの、「自転車がノールックで歩道から車道に」とか、「自転車がノールックで進路変更した」と言われるタイプの事故ですが、ぶっちゃけた話、至近距離まで迫っている状態では避けようがないことは普通にあります。
きちんと適正距離を保って通過したとしても、自転車が転倒(非接触)した以上は賠償責任があるという判例なわけで、まあまあ疑問はあります。

これさ、この判例では白バイだけど、車道を通行するロードバイクとしてもマジで恐怖なの。
なので他人事ではない。

若干違う事例ですが、側方間隔約1.2m開けて追い抜きしたものの、自転車が転倒(非接触)したために事故が起きた判例があります。

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下手すると、車道を適法に通行するロードバイクが大怪我ないし死亡するリスクがあるので、「進路変更前には頼むから確認してくれ」というのが本音です。

ノールックで歩道→車道の判例はこのあたりか。

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車道を通行していたのが二輪車だった場合、二輪車が事故回避のために転倒することも普通にあるわけで、ノールック進行は本当にやめてもらいたい。

非接触事故でも民事上の過失責任は問われます。
接触や衝突したならともかく、側方間隔を保ち通過しても過失責任を負うとなると、ロードバイクとしてはたまったもんじゃない。

ちなみに、非接触事故では必ず過失責任を負うわけでもありません。
衝突してない以上、揉めやすい気がしますが。

ノールック進路変更、ノールック車道降臨はマジでやめよう。
死ぬのは車道を通行している二輪車の可能性もあるのですよ。
ワンルック入れるだけでお互いハッピーなのに、なぜ見ないまま進路変更するのやら。

ところで

なんでこれが警察学論集に載っているのかについて。
ちょっとマニアックな話になるので、興味がない方はスルー推奨。

警察庁の論評なので警察寄りに書いてありますが、執筆者の意見としては請求根拠が国賠法なのか自賠法なのかにより立証責任が違う点について、訴訟指揮に不満がある様子。
というのも、国賠法であれば白バイの過失を立証するのは原告の責任。

第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

自賠法で無過失を主張する場合、無過失の立証は白バイ側になる。

(自動車損害賠償責任)
第三条 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずるただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない

自賠法により賠償責任があるという判決ですが、国賠法と自賠法の関係性を何ら示してない点に疑問があるみたい。

以下のように説示しているみたいですが、結局のところ事故詳細が不明なのに「接近していた」ことを前提にした判決な点などに疑問を投げ掛けています。

Xに過失がなかったといえるためには、Yの道路中央に向けての自転車走行が突然の飛び出しであって、事前に予測不可能な態様であり、Xにとってこれとの接触、接近を回避する方法が全く不可能なものであったことを要する。

宮崎地裁 昭和46年10月18日

警察学論集、1972年9月

接触した事実が否定され、それ以上確定的な証拠がなくても賠償責任を負う可能性があるわけですが、判決文にある「事前に予測不可能な態様」というのは民事責任上存在するのかすら怪しい。

接触は否定、それ以上は不明。
だけど、賠償責任を負うという判決なので。
自賠法により無過失の立証がなかったから過失責任を負うという枠組みなんでしょうけど。

自転車保険に入り、万が一の際に備えて自己防衛しておくしかないのかも。
車道を通行する自転車としては。

ノールックで進路変更やノールックで歩道から車道は、誰にとってもデメリットしかないので、本当にやめてもらいたいところです。






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