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横断歩道と道路標識。道路標示は省略化?

以前書いた記事について、読者様からご指摘を頂きました。

1)管理人様の2021年10月12日付「歩行者に優先権が無い横断歩道。」(https://roadbike-navi.xyz/archives/25540/ )の記事について。最後の方で「逆に道路標示は省略可能になっているので(令1条の2第3項2号)、これは横断歩道として
の規制効力があることになります。」と記載され、横断歩道の標識が1つだけ設置されている光景のYouTube動画が埋め込まれています。
ただ、施行令の当該条文により道路標示を省略する場合には、道路交通法施行規則第2条の2各号の規定により、(端的に言えば)横断歩道等の範囲の四隅に柱を用いて標識を設置することが必要ですから、規制効力の話としては不正確ではないかと思っています。
【もっとも、このお作法に則った横断歩道等の実例を見聞きしたことがありません。
そして、動画の事例は規制効力の要件は満たさずとも、通常以上の注意義務が課せられるのは当然でしょうが。】

ちょっといろいろ調べていて思ったこと。 この記事の内容は間違いを含みます。 詳しくはこちらを。 歩...

道路標示がない横断歩道

ご指摘の件。

まず施行令では

(公安委員会の交通規制)
第一条の二
3 法第四条第一項の規定により公安委員会が横断歩道又は自転車横断帯(以下「横断歩道等」という。)を設けるときは、道路標識及び道路標示を設置してするものとする。ただし、次の各号に掲げる場合にあつては、それぞれ当該各号に定めるところによることができる。
一 横断歩道等を設けようとする場所に信号機が設置されている場合 道路標示のみを設置すること。
二 横断歩道等を設けようとする道路の部分が舗装されていないため、又は積雪その他の理由により第一項の規定に適合する道路標示の設置又は管理が困難である場合 内閣府令で定めるところにより、道路標識のみを設置すること

このように規定があるので道路標示を省略し標識のみでも規制効力があると思っていましたが、確かに施行規則にはこのように規定もある。

(舗装されていない道路の部分等に横断歩道等を設ける場合における道路標識の設置)
第二条の二 令第一条の二第三項第二号の規定による道路標識の設置は、次に掲げる方法により行わなければならない。
一 道路標識は、歩道と車道の区別のない道路の部分に横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)を設けようとする場合にあつては当該横断歩道等の左右の側端上の当該道路の路端に近接した位置に歩道と車道の区別のある道路の部分に横断歩道等を設けようとする場合にあつては当該横断歩道等の左右の側端を当該車道に接する歩道上に延長した線上の当該歩道の車道寄りの路端に近接した位置に、それぞれ設置すること。
二 道路標識の設置には、柱を用い、かつ、その柱の接地部分が、前号の位置にあることとなるようにすること。
三 道路標識の標示板は、当該横断歩道等の左右の側端又はその延長線に沿い、かつ、その表面が当該横断歩道等の外方に向くこととなるようにすること。

ご指摘のように、道路標示を省略する場合には横断歩道等の四隅に道路標識を立てないと有効な横断歩道等とはならないことになります。

このように道路標識を設置した場合は、

道路標識で囲まれた部分が横断歩道等となります。
標識が横断歩道なら横断歩道だし、自転車横断帯を含むなら自転車横断帯と横断歩道になります。

そうするとこれ。

道路標識は一つしかなく、横断歩道としては何ら効力がないことになります。

その後返信がなかったのであれなんですが、私が送った資料は「一度適法に道路標識や道路標示を設置した後に、何らか理由で破損した場合」。

例えば道路標識と道路標示の両方があり、道路標識が破損し視認出来なくなったとします。

通説としては、法定要件を欠く場合には横断歩道等としての効力はないとされます。
ただし反対意見もあり、判例タイムズ284号「横断歩行者に対する保護(東京地裁判事 和田保)」では以下の見解を発表しています。

たとえば酔漢の悪戯で標識が破損された場合にも、道路標示のほうはゼブラ模様の標示であれば明確に認識できるはずであるから、それがわかっていて法38条所定の義務を怠った場合に、これを不可罰とするすこぶる疑問であると思う。要するに横断歩道であることが明示されていると客観的に認められれば足りるのではなかろうか。

判例タイムズ284号「横断歩行者に対する保護(東京地裁判事 和田保)

とりあえず言えるのは、こんなところでしょうか?

○公安委員会が適法に設置することが絶対条件
○設置後に破損した場合については、法定要件を欠けば横断歩道等としては無効という見解が強いものの、反対意見もある。

自転車横断帯の標識はあるが標示がない場合

なんかこんなのが話題の様子。

・道路標示→横断歩道
・道路標識→横断歩道と自転車横断帯

さてこの場合、自転車横断帯としての効力があるでしょうか?

管理人
管理人
有効なのは横断歩道のみです。
自転車横断帯は無いものとして扱います。

理由を。

①道路標示を省略できる場合は「横断歩道等を設けようとする道路の部分が舗装されていないため、又は積雪その他の理由により第一項の規定に適合する道路標示の設置又は管理が困難である場合」(令1条の2第3項2号)の理由が必要。
この場合、舗装されている上に、横断歩道の標示は何ら問題なく設置されている上、標示自体もキレイ(新しい)。
自転車横断帯の標示のみを省略できる「その他の理由」がない。

②道路標示を省略する場合、規則2条の2各号の規定により横断歩道等の四隅を囲うように標識を設置しなければならない。
しかしそのようには設置されていない。

以上の理由から、横断歩道のみが有効で自転車横断帯は存在しないことになる。

一つ疑問なのは、東京地裁判事の和田氏の指摘によれば、適法に設置された後に滅損した場合に無効とする考え方に疑問を投げ掛けてます。
それなら、最初から法定要件を満たさない横断歩道等でも客観的に横断歩道等と視認可能なケースと分けて考えるのもビミョーな気もする。

とはいえ、要件を欠く場合は無効との考え方が通説なので、結局Twitter動画には自転車横断帯は無いことになります。

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せっかく減速したのだからそのまま止まってしまえ、という考え方もあるだろうし。

なお「横断しようとする歩行者が明らかにいない」というのは、横断歩道の左右の見通しが悪ければ問答無用に義務が発生します。
このように横断歩道左側が石垣で視認不可能なら、「明らかにいない」とは言い切れないので減速する義務があり、仮に最終的に歩行者がいなかったとしても、減速義務を免れない。
なので歩行者がいなかったとしても、減速義務違反は成立します。





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