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「飛び出しても車の過失100%」←??

こういう人って、違法行為と不法行為の違いを理解してないのでは。
判例とかも、本当に見ているのかな。

<追記>

刑事責任に過失「100%」などという概念はありませんし、凄い言い訳だなあ。
刑事は有罪か無罪かの話でしかないので。
%表示(割合)されるのは民事のみですし、刑事判例で「過失100%である」などということは見たことも聞いたこともない。
「過失が100%」と書きながら民事ではないというのはちょっと驚き。
なお歩行者ではなく自転車が被害者の判例ですが、自転車横断帯に接する横断歩道上で事故に遭ったものの過失運転致傷が無罪になったものもあるので(東京地裁平成15年12月15日、差戻し後の一審)、刑事でも100%(?)とは言い難い。
100%とは何なのかわからないけど、裁判の「過失100%」が民事ではないとはちょっと考えられませんね。

過失100%?

横断歩道(信号無視除く)で歩行者と車が衝突した場合、「基本」過失割合は歩行者:車=0:100。
ところが、以下のケースでは過失相殺することがあります。

・歩行者が容易に事故発生を避けられた場合
・直前横断、直後横断
・夜間、幹線道路など

実際のところ、テキトーに判例を探してみると、こんな感じです。
もちろん全判例なんて検索不可能なのでごく一部。

状況高齢者等歩行者過失
広島高裁S60.2.26横断歩道前で車両の状況を確認し、すぐに横断せずタバコに火をつけ確認せず横断開始10%
神戸地裁H8.5.23夜間、小走り高齢者5%
大阪地裁R2.9.25昼間、直前横断10%
東京地裁S46.4.17左折時※20%
大阪地裁H28.2.3死角高齢者5%

※東京地裁昭和46年4月17日判決は、二審で無過失になったかのような要旨あり(判決文不詳)。

例えばこのような事故態様について、

被害者が高齢者であることを考慮して過失5%です(大阪地裁 平成28年2月3日)。
子供や高齢者以外なら、10~15%くらいか。

横断歩道で直前直後横断が禁止されていないにもかかわらず民事で過失になる理由は、僅かな注意を払えば事故を回避できたと評価されるからです。
ただし、直前横断で過失がつくのは、かなり至近距離まで迫っていたケースが多いような。

管理人
管理人
違反がないことと、民事の過失は必ずしも一致しません。
「裁判」と語っているけど、本当に判例とか調べてから語ってるのかな?
道路交通法違反(刑事)と民事責任の違いを理解してないよね。

民事の損害賠償の請求根拠は、自賠法3条と民法709条。

不法行為による損害賠償
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

違法行為責任ではなくて、不法行為責任です。
道路交通法違反は違法行為。
不法行為は必ずしも違法行為のみじゃないのね。

歩行者が道路交通法違反しなくても、民事は過失になるから。
そもそも横断歩道で歩行者ができる違法行為って、信号無視くらいか?

他人に対してツイートを消すように迫りながらも、ご自身も間違っているのはさすがに痛々しい。

ところで、このような2つの高裁判例があります。

横断歩道であつても信号機の設備のない場合歩行者は左右の交通の安全を確認して横断すべき注意義務(事故を回避するための)があることは多言を要しない。

広島高裁 昭和60年2月26日

歩行者が横断歩道を横断する際には、左右の交通の安全を確認して横断すべき注意義務があるとしている。
一方下記判例は、歩行者にとって危険な横断方法でも「禁止されていない」「何ら制限を設けていない」とある。

交通整理の行なわれていない横断歩道においては、横断歩行者はきわめて強い優先権を有し、いつ横断を開始してもよいと同時に、その横断のしかたに関しても、必ずしも通常の速度でのみ歩行しなければならないものではなく、走る方法で横断することも―それが現在の交通の実態からみて当該歩行者にとり危険なときもあることは別として―別に禁ぜられているところではなく、現にそのような横断も往々にして行なわれているのであるし、ことに小児の場合、走つて横断することの多いことは、好むと好まざるとにかかわらずわれわれの経験上明らかなところである。そして、このように横断歩道上における歩行者の自由な横断を許し、歩行者にきわめて強い優先権を認めることは、そもそも横断歩道なるものが歩行者の安全かつ自由な横断と車両の円滑な交通との調節点として案出されたものであつて、横断歩道が設けられた場合には法はその附近で歩行者の横断を禁止する反面、横断歩道によつて横断する場合には車両の直前または直後で横断してもよいこととし、その他横断の方法につきなんら制限を規定せず

東京高裁 昭和46年5月31日

刑法と民法の違いを理解してないと、なぜこのような判例が出るのかわからないでしょう。
広島高裁は歩行者の注意義務があるとし、東京高裁は「自由」だとする。
広島高裁は民事、東京高裁は刑事。
道路交通法上(刑事)、歩行者が横断歩道を横断する際には信号遵守義務以外には特に課されていないので、歩行者が飛び出ししようと犯罪にはならない。
民事は違法行為責任ではなく不法行為責任。

道路交通法38条1項から民事の「基本」過失割合は0:100。
歩行者が容易に事故発生を避けられた場合や、夜間、幹線道路、直前横断や直後横断は過失になります。
民事は刑罰じゃない。

ただまあ、交通事故のほとんどは裁判じゃなく示談交渉。
車のドライバーも被害者が望む形で示談することが多いだろうから、「基本」過失割合は0:100。

こういう人って、自ら裁判を語りながら本当に判例とか見ているのか不思議です。
左右未確認の飛び出しについては、判例では歩行者に過失つけてるのは普通にあるし。

「判例」では。

とはいえ

他人にツイート削除を迫りながらも雑だよなあと思うけど、Twitterの世界らしいと言えばその通り。
そもそも、違法行為と不法行為の違いを理解してない人が多いのでは。

よくある自転車トラブルでも「道路交通法違反はない!」とか語っている奴とかいるけど、それが民事の過失割合に必ずしも関係しないし。

この違いを理解しないと、なんでそうなるのかわかんないと思う。

自転車と車の関係も同じ。
例えば路上駐車をパスするために自転車が合図無しノールックで進路変更して事故が起きた場合。

基本過失割合は20:80くらいか。
車のほうが過失は大きい。

けどさ、道路交通法違反で見るなら、自転車は26条の2第2項の違反。
車のほうは前方注視義務(安全運転義務)の中で、自転車が路上駐車を避けて進路変更することは「予見可能」だということや、優者危険負担の原則を加味して過失割合はこうなる。

これもさ、純粋に道路交通法違反で比較したらこうなる。

自転車
進路変更違反(26条の2第2項)安全運転義務違反(70条)?

合図無し(53条1項)

安全運転義務違反が成立するかは怪しいけど、道路交通法のみで見れば自転車のほうが悪い。
しかし後続車からみて容易に予見可能なところが過失と評価されてこうなる。

逆にこのような判例もあります。

ロードバイクに乗っていて注意しなければならないのが路線バスの存在。 バス停で停車していた路線バスを自転車が追い越そうとしたときに、路線バス...

原告と被告の過失割合について検討すると、道路交通法31条の2の趣旨を考慮しても、進路変更するに当たり、原告自転車が間近に迫っていたのに、右後方の安全確認を十分しないで原告自転車を見落とした被告の過失は大きいというべきである。

しかしながら、(中略)、原告がブレーキを掛けるなどして本件事故を回避することは容易であったというべきである。にもかかわらず、原告は、漠然と追越しを行っている。
以上によれば、本件事故の主たる原因は原告の過失にあるというべきであり、原因と被告の過失割合は、本件事故が自転車対四輪車の事故であることを考慮しても、原告70%、被告30%と認めるのが相当である。

東京地裁 平成23年12月5日

バスが発進する際の後方確認不足の程度が著しいとしながらも、事故はロードバイクがブレーキングすれば容易に避け得たとして、ロードバイクに過失70%としています。
危険発生から5秒もあることを考慮すれば、事故発生は回避可能。

違反行為があったことと、事故発生が必ずしも同じなわけもないので。

よくある手法の一つで、「どっちのほうが悪い?」という議論を都合よく刑事判例と民事判例を使い分ける人。
道路交通法違反の話をしていたのに、民事の基本過失割合を持ち出して「○○のほうが悪い」という。

民事って「どっちが悪い」を道路交通法違反のみで判定してないわけですが、これの理由としては「違法行為責任」ではなく「不法行為責任」だからかと。

まあ、勉強したり調べたりすることは大切ですね。
ちなみに横断歩行者事故の民事判例って、過失割合ではなく賠償総額を争っているものもまあまあ見かけます。

横断歩道で歩行者が飛び出すことは、歩行者側の犯罪(道路交通法違反)とはならないが、民事過失責任を負う可能性がある。
民事の過失には「不注意」も含まれます。





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