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歩道を横切るときは「一時停止し、かつ、歩行者の通行を妨げないようにしなければならない」

初歩中の初歩だと思いますが、歩道を横切る際には「一時停止し、かつ、歩行者の通行を妨げないようにしなければならない」義務があります。

第十七条
2 前項ただし書の場合において、車両は、歩道等に入る直前で一時停止し、かつ、歩行者の通行を妨げないようにしなければならない

だいぶ前に読者様から聞いていた件がありまして、まあ、取り上げないほうがいいのかなと思ってました。
理由は後述します。

歩道を横切る時の義務

話のあらすじです。

○読者様がある動画について、「歩道を横切る際の一時停止義務違反」を指摘。

○動画主が、一時停止「かつ」歩行者を妨げないようになので、一時停止しなくても歩行者を妨げなければ違反ではないと弁解(両方怠れば違反という謎理論)

○読者様が「そんなわけないでしょ!」とツッコミ

○動画主から、「違反じゃないし、誰もそんなことしてないだろと反論を食らう」

うーん…

17条2項を再度確認します。

第十七条
2 前項ただし書の場合において、車両は、歩道等に入る直前で一時停止し、かつ、歩行者の通行を妨げないようにしなければならない

前項ただし書きというのは、歩道を横切り道路外に出入りする時のこと。
読めばわかるように、2つの義務を並列的に課してます。

「歩道を横切り道路外に出入りするときは」
①一時停止しなければならない
②歩行者の通行を妨げないようにしなければならない

「かつ」なので2つの義務を達成したら合法。
どちらかを怠るか、両方怠れば違反です。

①と②の両方しなさいという規定なので、どちらかを怠れば違反が成立。
そんなに難しい日本語とは思いませんが。
算数と理科の宿題しなさいと言われたなら両方やってクリアですしね。

ちなみに問答無用に一時停止を義務づけている理由を考察すると、植木等で見逃しやすいからでは。
横断歩道は車道の正面にありますが、歩道は横なのでかなり念入りに確認しないと子供とか見逃しやすいから。

けど、「誰もしてないだろ!」はさすがにアウト。
誰もしないから俺もしないという発想は、世の中では通用しないのでね。
17条2項は「歩道を横切るときは」という条件下では歩行者の有無を問わず一時停止しなければならず、歩行者を妨げないなら発車OKです。
横断歩道の38条1項の場合は「当該横断歩道を横断し、又は横断しようとする歩行者がいるときは」なので、前提条件が違います。

なんかいい判例があるかな?と考えてみたのですが、こんなところがわかるかな。

昭和38年~42年の間は、横断歩道と交差点についてこのような規定になっていました。

(歩行者の保護)
第三十八条 車両等は、交通整理の行なわれている交差点で左折し、又は右折するときは、信号機の表示する信号又は警察官の手信号等に従つて道路を横断している歩行者の通行を妨げてはならない
第七十一条
三 歩行者が横断歩道により道路の左側部分(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路)を横断し、又は横断しようとしているときは、当該横断歩道の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにすること。

※当時の71条3号は現在の38条1項で、当時の38条1項は今の38条の2。

横断歩道なら「一時停止かつ妨げないようにすること」。
横断歩道がない交差点なら「妨げてはならない」。

この当時、横断歩道がある交差点でも71条3号ではなく38条1項が適用されるのでは?という疑義がありました。
もしそうであれば、一時停止しなくても妨げなければ違反ではないことになる。

こちらの判例は交差点を右折した際に一時停止しなかったものの歩行者を妨げてないのだから、38条1項の義務を果たしていると主張し、71条3号の義務は課されていないと主張したものです。
結局71条3号の適用があるとして有罪ですが、

旧71条3号旧38条1項
義務①一時停止妨害禁止
義務②妨害禁止

当時の71条3号は「かつ」なので、読者様から聞いた話に則れば、一時停止と妨害禁止の両方を怠った場合のみ違反になることになる。
もちろんそんなアホな話はなくて、妨害してなくても一時停止を怠っただけで違反成立してますけどね(当たり前過ぎて失笑レベル)。

所論は、原判決は 被告人は福岡県直方市津田町交差点において普通貨物自動車を運転通行するに際し歩行者が横断歩道により道路の左側部分を横断しようとしているのにその直前で一時停止をしなかつたものであるとして、道路交通法第71条第3号、第119条第1項第9号の2を適用している。しかしながら、当時被告人は交通整理の行われていた右交差点を右折していたものであるから、同法第38条第1項に当るかどうかが問題である。けだし、同法第71条第3号は横断歩道における横断歩行者の保護という面では同法第38条第1項とその目的を一にしているが、同法第38条第1項は、特に車両が交差点で左折または右折する際の横断歩行者との関係を規定したもので、同法第71条第3号の特別規定であつて、交差点における車両と横断歩行者との関係については同法第38条第1項が適用されるべきものである。そして、被告人は当時横断歩行者の通行を妨げたことはなかつたものである。したがつて、原判決には法令適用の誤りがある、というのである。

そこで、検討するに、道路交通法第71条第3号は横断歩道(同法第2条第4号参照。)の横断歩行者と車両との関係を規定したものであるから、交差点またはその附近に横断歩道があるときはその横断歩道の横断歩行者と左折または右折する車両との関係も同条号によつて規制されるものであり同法第38条第1項は交差点またはその附近に横断歩道がない場合について道路の横断歩行者と左折または右折する車両との関係を規定したものである。したがつて、右両規定は所論のような関係にはない。そして、原判決挙示の証拠によれば、当時歩行者が横断しようとしていたのは横断歩道であり、被告人運転の自動車はその横断歩道の直前で一時停止しなかつたものであることが明らかであるから、被告人は道路交通法第71条第3号、第119条第1項第9号の2違反の罪の責任を免れない。原判決には所論の違法はなく、論旨は理由がない。

福岡高裁 昭和42年10月11日

当たり前だけど、一時停止「かつ」妨害禁止なので、妨害してなくても一時停止しなければ問答無用に違反成立します。

あとこれ。

車が道路外の施設から歩道を横切って車道に進入する際は、歩行者を妨げてはならない義務があります。 自転車は一応、歩道を通行するこ...

道路交通法違反ではなく過失運転致傷の判例ですが、歩道を横切る際に一時停止と確認を怠った結果、歩道を時速40キロで進行していた自転車と衝突した事故です。
この判例ですが、「本件歩道手前で一時停止した上,小刻みに停止・発進を繰り返すなどして,本件歩道を通行する自転車等の有無及びその安全を確認して進行すべき自動車運転上の注意義務を怠った」として有罪です。

歩道の見通しが悪い以上、一時停止だけでは足りず、一時停止とわずかに前進を繰り返すべきだったとしています。
時速40キロで歩道を通行する自転車もどうかと思うけど、「一時停止だけでは足りない」と判示している点は注目すべき点。

車が道路外の施設から歩道を横切って車道に進入する際は、歩行者を妨げてはならない義務があります。 自転車は一応、歩道を通行するこ...

そんなに難しいのか?

例えばこれ。

(踏切の通過)
第三十三条 車両等は、踏切を通過しようとするときは、踏切の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止し、かつ、安全であることを確認した後でなければ進行してはならない。ただし、信号機の表示する信号に従うときは、踏切の直前で停止しないで進行することができる。
①踏切の直前で停止しなければならない
②安全であることを確認した後でなければ進行してはならない

2つの義務を並列的に課しているので、どちらかを怠れば違反成立します。
停止することなく「確認したからOK」と考える人がいるとは思えませんが、停止しないだけで切符切られますけど笑。

それこそ38条1項もそうか。

(横断歩道等における歩行者等の優先)
第三十八条
(前段省略)
この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない
①一時停止しなければならない
②その通行を妨げないようにしなければならない

2つ達成したらクリアなので、どちらかを怠れば違反ですけど。

(緊急自動車の優先)
第四十条 交差点又はその附近において、緊急自動車が接近してきたときは、路面電車は交差点を避けて、車両(緊急自動車を除く。以下この条において同じ。)は交差点を避け、かつ、道路の左側(一方通行となつている道路においてその左側に寄ることが緊急自動車の通行を妨げることとなる場合にあつては、道路の右側。次項において同じ。)に寄つて一時停止しなければならない。
①交差点を避けなければならない
②道路の左側に寄つて一時停止しなければならない

両方達成したらクリアなので、どちらかを怠れば違反です。
両方怠って初めて違反になるなら、交差点を避けたけど左側に寄らずに一時停止もしないことが違反にならないという珍事を巻き起こすだけ。

(合図)
第五十三条 車両(自転車以外の軽車両を除く。次項及び第四項において同じ。)の運転者は、左折し、右折し、転回し、徐行し、停止し、後退し、又は同一方向に進行しながら進路を変えるときは、手、方向指示器又は灯火により合図をし、かつ、これらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない
①合図をしなければならない
②これらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない

両方怠って初めて違反なら、合図したなら継続しなくてもいいことになりますが、もちろんそんなことはありません。

「かつ」なので、片方を怠れば違反になります。
両方を満たす「義務」を定めていますから。

けどこれ、マジで語っているならかなりヤバイような。
あと「みんなやってないから俺も理論」はせいぜい小学生まで。

歩道を横切る際は

一時停止し、「かつ」妨げてないことの両方を求めていますので、当たり前だけどどちらかを怠れば違反になります。

これ取り上げるか迷った理由はいろいろあるのですが、その動画主さんの内容が支離滅裂過ぎるので、再生数をアシストするのは愚策という判断です。
なのでどの動画なのかは書きません。
良くも悪くもレベチなんで。

いろんなネタを持ち込みされる方がいますが、毎回失笑した後、悲しい気持ちになるしかありませんね。




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