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原因をひたすら探る。

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原付って、3通行帯以上の交差点を右折するときには二段階右折するルールです。
ただまあ、国際免許に関するジュネーブ条約上は大問題。

ジュネーブ条約

12条
4 運転者は、左折し又は右折するに先立って、次のことを守らなければならない。
(d)第16条2に定める場合を除くほか、自己が進行する方向に適応した側とは反対側に右折し又は左折しようとするときは、できる限り車道の中央に寄ること
16条
2(d)第12条4(d)の規定は、国内法令に別段の定めがあるときは、自転車の運転者には、適用しない

ジュネーブ条約上、自転車以外の車両が右折するときには車道の中央に寄ることを求めているため、日本の道路交通法は条約違反になります。

二段階右折の歴史

原付の二段階右折のルールですが、こんな感じで推移しています。

右折方法 備考
昭和35年 二段階右折 道路交通法制定
昭和39年 小回り右折 ジュネーブ条約加入
昭和60年 3通行帯以上の交差点のみ二段階右折

ジュネーブ条約加入に従い、原付は小回り右折になっていましたが、昭和61年道路交通法改正で3通行帯以上の交差点は二段階右折に変更。
ジュネーブ条約に反してますが、どのように乗りきったのか?

本改正規定を定めるに当たって、まず問題になったのは、「道路交通に関する条約」(昭和39年条約第17号。いわゆるジュネーブ条約である。)との関係である。すなわち、同条約12条4(d)は「右折しようとするときは、できる限り車道の中央に寄ること」としており、原動機付自転車といえどもその例外とはなっていない。そのため、道路交通法を前述のごとく改正したならば条約と抵触するおそれがあった。しかし、いかに条約に加盟している場合であっても、自国民の保護のために条約に対する例外的規定を設けることは、その国の主権に基づいてなしうるところであると考えられ、例えば、同条約第1条や第34条にはその思想が表れていると解されるところである。本改正規定は、このような考え方に基づくものであり、条約違反には当たらないものと考えている。

 

「道路交通法の一部改正について」(警察庁交通企画課 池田克彦)、警察学論集、1985年8月、立花書房

ぶっちゃけ、条約1条や34条を確認しても例外的規定を可能にしているようには思えませんが、ゴリ押ししたのかもしれません笑。

 

まあそもそも、ジュネーブ条約上は自転車だろうと追い付かれた車両の義務は免除していませんが、

 

道路の真ん中を走るチャリカス対策なら、「自転車の並走」を認めれば解決する。
道路の「真ん中」を通行する自転車は当然違反ですが、なぜかいますよね。 時々。 ※ここでいう「真ん中」とは左側端以外の部分を意味します。 おかしな位置を通行する自転車を何とかすべき!という意見は時々聞きますが、実はこれ、取り締まる根拠がない。...

 

自転車の並走を原則禁止にし(19条)、自転車は車道の左側端と決めた(18条1項)以上、それ以上譲る余地もないので除外したというのが正解。
19条と18条1項を自転車が遵守している限り、自動的に追い付かれた車両の義務を果たしていることになりますから。
まあ、18条1項に罰則がないので道路の真ん中を通行するチャリカステロリストを誕生させる原因にもなりましたが、昭和39年の資料をみると、18条1項に罰則を設けなかった理由の一つとして「遵法精神に期待して」とあります。

 

まあ、チャリカステロリストからすれば罰則がないのでパラダイス化を招いただけかもね笑。

 

けど、条約違反があっても主権による例外的規定はゴリ押しして正当化するなら、条約はなんなのでしょう?笑

実証実験の電動キックボードは、特例により小型特殊自動車扱いなので、二段階右折は禁止です。
これに対する批判の声は多いですが、元はと言えば昭和60年に条約ゴリ押し解釈して、原付は3通行帯以上の交差点での二段階右折義務を作ったところに問題があるとも言えなくもない。

 

仮に昭和60年道路交通法改正時に、原付は小回り右折のままにし、最高速度が遅い原付に合わせて時速30キロ以下で交差点手前を通行しろというルールを作ることも不可能ではなかったと思いますが、そんな考えは当然なかったでしょうね笑。

 

速度を落として安全を確保する発想よりも、原付を二段階右折という「歩行者の横断に近い方法」に追いやるほうが交通の円滑なんでしょうから。

 

もちろん、その時代その時代で考えることは違いますし、それが間違いとは思いません。
時代が巡り、今になって考えると「むしろ原付並みに速度を抑えて交差点手前を進行して、原付の小回り右折の危険を減らす」という手法もなくはない。

 

まあ、今の時代でもそんな提案したら瞬殺レベルで反対者続出でしょうね。
電動キックボードの実証実験は時速15キロ。
個人的には、よく小回り右折で事故が多発しなかったなと感心しています。
ウェーイ系ドライバーがクラクション連打しながら電動キックボードの小回り右折を妨害しまくる未来も期待予想していたのでね。

 

おっと、口が滑って本音が出ちゃいました笑。

 

まあ、電動キックボードの小回り右折を撮影して批判するツイートは多々見かけましたし、ルールの周知はきちんとしないとおかしな批判を招くことは間違いないと再確認しました。
けど「原因を強引に探る」ならば、昭和60年に3通行帯以上の交差点における原付の二段階右折を採用しなかったならば(小回り右折のまま)、電動キックボードの小回り右折が批判されることは間違いなくなかったはず。

 

うーん、だいぶ無理矢理こじつけてみましたが、そもそも昭和60年に二段階右折を採用したときの警察庁の言い分もこじつけですからね笑。
「ジュネーブ条約違反の可能性はあるが、主権国家として自国民を守るならいいジャマイカ!」とゴリ押ししたのが警察庁です。

ところで

電動キックボード初の死亡事故について、「ヘルメット義務化論」はインターネット上でよく見かけますし、「事業者はなぜヘルメットを推進しないのだ?」という声もあります。

 

少なくともあの事故については、「酩酊状態」だったとされています。
飲酒運転は明確に禁止されていますが、ルール違反をする人に「ヘルメット被ろう!」とアピールしたところで被る人がいそうなんですかね。

 

無法者だけどヘルメットは被ります!という人が日本に存在するのか怪しいレベルなんですが、ヘルメットのアナウンスをしたところで、被る人がいそうな予感はしません。
つまり、無駄な取り組みになりそうな。

 

ちなみに、特定小型原付については、道路交通法上でヘルメットの努力義務が明記されています。

第七十一条の四
3 特定小型原動機付自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶるよう努めなければならない

努力義務なので何ら罰則はなし。
努力義務に罰則規定を作り、

いろんな人
いろんな人
君は本当に努力したのか!?本当に?

みたいな謎の取り締まりをすることは刑法的に無理があります笑。

 

「原因にアプローチする」ということがまず大切で、安易にヘルメット議論を出すよりも「飲酒運転するなや」というところを全面に出すべきでしょうね。
酒飲んでもヘルメットしてりゃ安心♪ではなくて、飲んだら乗るながまず先ですから。
そういう意味では実効性が高い方法を「今」選択すべきであって、アルコールチェッカーと同期させるのが最善なんですが。

 

酩酊状態で運転した可能性が高い。
先日の電動キックボードの死亡事故の件。 酩酊状態だった可能性が高いと。 警視庁によると、男性はビールを飲んだ後に運転していたとみられ、現場の状況などから、酩酊(めいてい)状態だった可能性が高いということです。 酩酊状態 ヘルメット議論に進む...

 

ヘルメット被れば、確かに飲酒運転して転倒しても死亡まで至らなかった「可能性」はあります。
ただまあ、飲酒運転による被害って「乗り手本人の怪我や死亡」だけでなくて、他人を巻き込むリスクがあるわけじゃん。

 

例えば。

飲酒により判断能力や前方不注視により、横断歩行者にぶつかりました。
ヘルメットを被っていたから、乗り手は打撲程度で済みました。
横断歩行者は転倒して頭を打ち、残念ながらお亡くなりになりました。

 

次は横断歩行者にヘルメット被せます?
違うよね。
最初の原因にある、飲酒運転を撲滅する施策を取らなければ意味がない。

 

飲酒運転によって起こりうる被害は、乗り手「だけ」ではないのだから。

 

結局、原因行為に対策しないと、次の時代に想定外の出来事が起きてしまうだけなんじゃないかな。
安易にヘルメット議論する前に、明確な問題に対する対策が必要でしょ。

まあ、電動キックボードが転倒時にリスクがあることは何ら否定しませんが、「今」問題として取り組むべき点は曖昧にしないほうがいいと思う。
ちなみに飲酒運転以外での転倒事故、実証実験でどれくらいあるんですかね。
結局、そういう実態も含めて考えないと、有効な対策にはならない。

 

問題をボヤっとさせるから、車止めの反射シールが悪いとか意味不明な問題提起をする人まで現れるけどさ、「今」飲酒運転を撲滅するシステムを整備したら今後に繋がると思うのだけど。

 

昭和60年にジュネーブ条約破りをゴリ押しせずに、むしろ他の車両の速度ダウンを規定していたら、どうなっていたんでしょうね。
まあ、ゴリ押しするのは政治や行政の得意技。
実証実験でもやや怪しい調査結果をゴリ押ししてますし。
免許保有者と非保有者の違反件数実験なんて、個人的にはゴリ押しだと思うけど笑。





コメント

  1. madlax81 より:

    自分は、親が助手席のシートベルトや、チャイルドシートの有無で警察官に注意されてるのを見てきた若輩者ですが、それよりさらに前の時代、車の飲酒運転を撲滅するために警察官が網を張り続けてきたと聞いています。
    同じように電動キックボード、自転車問わず、本気で飲酒運転や信号、一時停止無視、逆走による事後を防ごうと思うと、同じことをすれば実現可能でしょうか?
    現実問題不可能だとは思いますが。

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      少なくとも、電動キックボードについてはアルコールチェッカーを機体に装備して、アルコールチェッカーで合格しないと起動しないようなシステムは可能だと思いますよ。
      警察の人員に限りがあることは重々承知ですが、特定小型原付の保安基準がまだ発表されていない今だからこそ可能な手段かと思いますが。

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