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どっちが悪い論。

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今はただ、回復を祈るばかりですが…

 

横断歩行者と事故の動画

 

どっちが悪い論

事故現場を知っているのでアレなんですが、こういう事故が起きたときに、

 

いろんな人
いろんな人
横断禁止なのに横断した歩行者が悪い!
読者様
読者様
過失割合は車のほうが大きいのだから車が悪い!

こういう議論をしだす人は多いよね。

 

こういう議論のときに、そもそも評価軸が違うまま議論するから噛み合うことはないのですが、

 

過失割合の大小って、そもそも「いい・悪い」を現している数字なんかな?

 

過失割合=民事ですが、金銭による賠償システムは道路交通法違反とは必ずしも連動してない上、自動車運転者は無過失の立証がない限りは賠償責任を負うシステム。
過失責任ではなく無過失責任ですから。

ただまあ、現場は横断歩道まで30~40m程度のはずなんで、「横断歩道の付近」に該当する可能性があり、一応は幹線道路なので被害者側の修正要素がまあまああると言えばあります。

 

ところで以前も少し取り上げましたが、「歩行者横断禁止」の道路を横断した事故の場合、第一次倉田試案では歩行者過失が80%だったそうな。

 

「歩行者横断禁止」と責任。
読者様から質問を頂いたのですが、「歩行者横断禁止」の規制がある道路で、禁止規制を破って横断する歩行者と事故が起きた場合は過失責任がどうなるの?という話。 民事責任でいうなら、「歩行者横断禁止」の場所で歩行者が横断して事故になった場合、歩行者...

 

「歩道橋は明らかにヒューマニズムに反する」。
古い判例って、時々凄いな。 歩道橋は反ヒューマニズム 判例タイムズの解説にチラっと掲載されている判例なのですが。 判決年月日はなぜか書いてありません。 事件番号は大分地裁 昭和43年(わ)423号です。 事案の概要。 歩道橋を使わずに道路を...

 

横断禁止は赤信号と同じという考え方が根底にあったようですが、昭和40年代は安易に歩道橋を建設して横断歩道を廃止し、横断禁止規制を敷こうとした動きが強かった。
ただまあ、横断禁止規制を敷いて歩道橋に行くよう促しても、車椅子の人や高齢者などはどうやっても歩道橋を使えない。
そういう事情やあくまでも被害者保護の観点から見ると、歩行者横断禁止だからといって赤信号と同等の歩行者過失80%に設定することは好ましくないという意見が裁判所内で多く、今の形になったらしい。

 

古い判例ですが、こういうのがあります。
判例は大分地裁 昭和43年(わ)423号。
業務上過失傷害とひき逃げ、飲酒運転(道路交通法違反)、歩行者は身体障害者、横断禁止規制あり。

「交通事故の増加という重大問題に対処するため為政者および警察関係者は例えば「歩道橋」の設置等による安易な方法での解決を考え、人間が自から作った自動車から身を守るため、自動車が人間を避けて通るのならいざしらず、人間が自動車に遠慮してそれを避けて通らなければならないという全く道理に合わない方法で(問題)解決を考えているが、「歩道橋」は明らかにヒューマニズムに反しているものであることを、為政者らは、人間性を取りもどしたところの一市民として、いま一度考え致さなければならない問題ではなかろうか。」と述べ、更に右被害者が身体障害者であって、歩道橋を利用することが肉体的心理的に苦痛であるため(平面)道路を横断しようとしたことも事故の一因をなしているとしたうえ、「前叙のような反ヒューマニズム的なものの設置等による安易な事故防止の考えに深く反省を求めたい。」と結んでいる。

 

判例タイムズ284号(歩行者の通行-その規制と保護など-)、東京地裁判事 久米喜三郎、p145

歩道橋乱立の時代に安易に「歩行者横断禁止」にして横断歩道を廃止しまくる政治家に対し、刑事訴訟の判決の中で批判しています。
そういう事情から、「歩行者横断禁止」って民事の過失割合の中ではかなり小さな扱いでしかない。

 

この事故の場合想定される違反。

被害者 加害者
横断禁止(13条2項) 交差点安全進行(36条4項)
横断歩道使用義務(12条1項)

直前直後横断や速度超過などはわからないので評価しようもないですが。
ちなみに38条の2はあくまでも適法に横断する歩行者に対する規定なので、歩行者横断禁止がある以上は適用されません。

 

まあ、報道だけみて「どっちが悪い」なんて判断できる人がいるはずもない。
こんな少ない情報だけで「どっちが悪い」なんて判断した人がいたら、単なる妄想レベルなのでね。

それぞれの義務を果たすとしか

仮に民事の過失割合が決まったとして、数字が小さいほうが遡って道路交通法の義務を免除されるわけじゃないので、結局は他人がどうこうの前に「自分の義務は自分で果たせ」としか言いようがない。

 

例えばさ、こちらの判例。

 

横断歩行者に過失100%をつけた珍しい判例。
横断歩道がなく、かつ横断禁止ではない道路の場合、民事上では車にもかなりの過失がつきます。 目安は歩行者:車=20:80。 ところが、横断歩行者に過失100%とした珍しい判例もあります。 横断歩行者に過失100% ※画像と事故現場は関係ありま...

 

夜間、横断歩道ではないところを横断した歩行者と車の衝突事故ですが、刑事は不起訴、民事はドライバーが無過失(歩行者過失100%)。
車は10キロちょっとの速度超過です。

 

歩行者過失100%になったからドライバーの速度超過についても「法定速度遵守義務」まで消し去るわけじゃなくて、それはそれ、これはこれ。
事故発生と速度に因果関係がないだけであって、遡って法定速度遵守義務まで免責になるわけではない。

 

法定速度で通行していても回避可能性がないと判断されただけで、法定速度遵守義務自体はあるのだから。

 

結局、それぞれに課された義務を普通にこなすだけなのな。
そうじゃないと、「違反があっても事故さえ起きなきゃセーフ」みたいな結果論でしか話せない奴になるから。
結局のところ、事故とは何らかの義務を果たさなかった結果に過ぎない。
果たすべき義務を果たすとしか言えないわな。

 

轢かれそうになりました(我は歩行者なり)。
先日のこと。 轢かれそうになりましたが。 歩道と車道の区別がない、狭い生活道路です。 自販機でコーヒーを買い飲んでいたときのこと。 いきなり車がこっちに向けてハンドル切ったのね。 まあまあのスピードですよ。 びっくりしたのだけど、私の前で車...

 





コメント

  1. ランド より:

    こういう報道を見て思うのは歩行者としてはこういうリスクのある横断はしないようにしよう、運転手側なら渋滞中に歩行者飛び出しに気を付けよう(常に出来てる自信無いですが…)って自身の行動を見直す事ですね
    どっちが悪い(過失割合)を決めるのは裁判所が行うことで自分みたいな知識の無い素人が考えてもしょうがないですし
    とにかく過失が低かろうが自身の身体も命も一つなんですから事故に会わない努力をすることが大切かと

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      自分は自分、他人は他人なので、自分は自分で義務を果たすだけなんですよね。
      どっちが悪い以前に、どっちが悪いという状況を作らないことが大事かと。

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