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正常な交通を妨害する「おそれ」。

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先日の記事ですが、

 

何の違反になりうるか?
たまにこういう自転車いるよね笑。 問題なのは、何の違反なのか。 何の違反? まず疑わしいのは25条の2第1項。 (横断等の禁止) 第二十五条の二 車両は、歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、道路外の施設若しくは場所...

 

読者様
読者様
正常な交通を妨害する「おそれ」なので違反になるのでは?

 

とご意見を頂きました。
これね。

強いて言うなら

動画を見る限り違反にはならないと思いますが、「正常な交通を妨害するおそれ」とはこのように解釈されてます。

「歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるとき」とは、車両等の運転者が道路外の施設若しくは場所に出入するための左・右折、横断、転回又は後退するにあたり、歩行者や他の車両をしてそのための急制動、一時停止、徐行あるいは異常な進路変更等、従前からの運転方法を著しく変更させる措置をとることを余儀なくされるような場合をいう。

 

大阪高裁 昭和44年12月23日

(横断等の禁止)
第二十五条の二 車両は、歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折をし、横断し、転回し、又は後退してはならない

下記のうち、どちらかがあれば違反になり得ます。

①二輪車がすり抜け中で、横断自転車により妨害された場合
②自転車が横断中に、車道の信号が青に変わった場合

①について異論はないと思いますが、②についてはやや微妙。
信号が青になれば、前後左右後方を確認してから進行しますが、一般的にはこのような位置を横断する自転車はいないので、車列間横断だとビミョーに死角になるので。

 

「おそれ」をあまり広く解釈すると、それこそ直進車が道路外右折車に「譲った場合」でも解釈がおかしくなるし。
停止車両を妨害するおそれというと、信号待ち車両の側面にわざと衝突しに行くみたいな絵しか浮かびませんが、わざとやれば単なる器物損壊。

 

「正常な交通」についてはこのような判例も。

本件国道を道路外の施設に入るために右折しようとした上告人バスの運転者には、直進対向車が法定の最高速度を時速10ないし15キロメートル程度超過して走行している可能性のあることを予測にいれたうえで右折の際の安全を確認すべき注意義務があり、未だ無過失とはいえない、とした原審の判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。

 

最高裁判所第三小法廷  昭和54年7月24日

正常な交通を妨害するおそれの中に停止車両を含ませるのは無理がありますが、強いて言うなら停止車両が動き出すことが予想できる場面では違反になり得ます。
ちなみに上の最高裁判例の原審は、以下を一審判決に加えた上、

本件事故現場付近の道路には速度制限の指定はなく、従つて最高速度は法定の時速60キロメートルであつた。ところで、本件事故現場のように、交差点の外観も具えておらず、右折車の数が甚だ少いのに対し直進車が極めて頻繁で、その大部分が法定の速度を時速10ないし20キロメートルを超える高速度で走行している場合には、右折しようとする車両の運転者は、直進者が法定の速度を時速10ないし20キロメートル超過して走行していることをも予測したうえで、右折の際の安全を確認する義務があるというべきである(最高裁昭52・12・7判例時報875号参照)。

 

広島高裁松江支部 昭和53年11月22日

以下の理由をつけています。

道路交通法25条の2第1項は、車両は、他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、道路外の施設若しくは場所に出入するための右折をしてはならない旨規定しているところ、本件のような国道においては、車両が法定の最高速度を時速10ないし15キロメートル超過して進行することは通常予想しえないことではないから、右折車両の運転者としては、直進対向車が法定の最高速度を時速10ないし15キロメートル程度超過して走行している可能性のあることを予測にいれたうえで、右折の際の安全を確認すべき注意義務があるということができる。

 

広島高裁松江支部 昭和53年11月22日

最高裁昭52・12・7判例時報875号は、交差点で右折するときの37条に関する判例。
道路外に右折するのも横断するのも原理としては同じ。
なので、交差点右折時の注意義務に準じた扱いで見ているのかなと思われます。

 

それ以外だと道路外左折時の25条の2に関する判例はあります。
車両の横断については、さほど判例もなくなんとも言い難い。

 

ただしTwitterのような横断をキメて警察官が現認した場合、間違いなく注意の対象。
ていうか、片側一車線の道路でコンビニから出て横断後に右折をキメたら、なぜかパトカーに止められて身分証出せといわれ、「横断歩道を使え」と怒られたことがありまして。
もちろん、車両が来てないのを確認しての話。

 

警察官もイマイチ何をしたいのかわかりませんが、何の違反なのかはさておき横断歩道を使って欲しいそうです。

 

「自転車に優先権はないのに」

 

25条の2についての他の判例。

判例 種別 状況
東京高裁S50.10.8 道路外に左折(有罪) 左側端1.5m空けて道路外に左折。後続二輪車の位置は左折開始時に30m後方。
東京高裁S36.11.9 転回(違反なし) 転回開始時に、前方50mに対向車
福島地裁S33.1.21 転回(違反なし) 転回開始時に後続車は37.3m後方

 

被告人車が道路外に出るため左折しようとして、被告人車の左側と道路左側端との間に約1.5メートルの間隔を置いてその準備態勢に入つたことは、前記入口付近の道路状況と被告人車の車体の構造からみて、これ以上道路の左側端に寄つたうえ左折することに技術上の困難が伴うため、やむを得ない措置であつて、道路交通法25条1項に違反するものではないといわなければならないが、本件のように、被告人車の左側に後方から来る二輪車が進路を変更することなく進入可能な間隔を残しており、しかも対向車の右折を待つため約10秒間停止したのちに左折を開始しようとする場合には、あらかじめ左折の合図をし、これを続けていても、右合図の趣旨や一時停止の理由が後進車両に徹底しないおそれがあるから、被告人車と後進車との優先関係を判断するにあたつては、当初の左折合図の時を基準として判断すべきではなく、被告人車が一時停止後左折を開始しようとする時点において、一時停止中に生じた後進車の進行状況をも含め、あらためて道路交通法25条3項と同法25条の2第1項とのいずれが優先的に適用されるべき場合であるかを決するのが相当である。この見地からみると、前記事実によれば、被告人車が左折を開始しようとした時点では、すでにA車はその左後方約30メートルないしそれ以下(被告人車の前部から)の近距離にあつたものと推認されるから、被告人車が左折を開始すればA車は衝突を避けるためその進路又は速度を急に変更しなければならなくなる(それでも衝突はほとんど不可避である)ことが明らかであり、したがつて本件は、同法25条の2第1項が優先的に適用されるべき場合であると認められる。即ち、被告人車がこの時点で左折を開始することは「他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがある」ことになるから、被告人車はA車の通過を待つたうえでなければ発進が許されなかつたといわなければならない。もつとも、A車は最高制限速度を約5キロメートル越えた速度で進行していたことが明らかであるが、本件の状況のもとで、一般に被告人車の左後方約30メートルに自動二輪車が間もなく併進状態に入る態勢で進行して来ているときは右の判断があてはまるから、右制限速度違反の点は右の判断に影響がない。
そうすると、被告人としてはさきの左折合図により後進車が被告人車の左折による進路の変更を妨害することがないものと信頼してはならず、後進車の有無及びその動静に注意を払い、特に左後方の安全確認をしたうえ左折を開始すべき注意義務があつたというべきである。

 

東京高裁 昭和50年10月8日

「正常な交通」側は、横断や転回などをする車両が適切な行動を取ることを期待してかまわないわけですが、見通しが悪く他の車両が進出することが予想される場面では減速など注意義務があるとされます。

 

死角を通行する車両と、道路外から進入する車両の関係性。
先日の件。 もちろん、対向右折車は25条の2第1項により、正常な車両の進行を妨げるときには道路外に右折することは違反です。 では仮に対向右折車も2輪車で、対向2輪車が怪我をした場合には「正常な交通である2輪車」は過失責任を問われるのでしょう...

 

しかして、原審で取調べた関係各証拠によれば、被告人は自動二輪車を運転し、新潟市ab番地先県道(幅員7.25mで道路中央部分に白破線のセンターラインが設けられている)上センターラインの左側部分(以下進行車線という)を三菱ガス化学方面より国道7号線方面に向け進行中、進路左側の同番地土建会社甲組正門通路から県道に進入し、対向車線に入るため被告人の進行車線を右斜めに横断中であつた被害者乙運転の原動機付自転車と、右正門前県道上において衝突したことが認められる(被害者の甲組正門通路か
ら県道上への進出が交差点内への進入ではなく単なる横断であることは、右正門から甲家の屋敷内に通ずる幅員約4mの通路が道路交通法2条1項1号にいう道路に当たらない
旨原判決が正当に説示したところから明らかである)。したがつてこの場合、原則的には所論のとおり、車両を運転して県道を横断しようとする者は、歩行者または他の車両等の正常な交通を妨害しないようにする安全確認義務を負う(道路交通法25条の2第1項参照)のであつて、県道上を進行する被告人としては、特段の事情がない限り、横断車両が右安全確認義務を遵守することを信頼して自車を運転すれば足り、この義務を怠つてその進行車線を横断しようとする車両のあり得ることまで予想すべき注意義務はないものといえるであろう。
しかしながら、本件においては、原審で取調べた各証拠並びに当審で取調べた検証調書及び証人丙の尋問調書を総合すれば、以下の事実が認められる。すなわち、被告人が自動二輪車を運転して県道上を前示甲組正門付近に差しかかつた際、同正門手前の進行車線左側端に正門の方から普通貨物自動車(パネル車)、大型貨物自動車(8トン車)の順序で2台の車両が相接して駐車していたこと(2台の車両の順序については、もし認定とは逆の順序で駐車していたとすると、実況見分ないし原審及び当審の検証の際における被告人の指示説明どおり、被告人が「2」地点において「A」地点の被害車両を最初に発見することができるためには、大型貨物自動車は極端に道路左側端に寄つて駐車していたとみなければならず、不合理である)、被告人は同正門手前で右駐車車両を認めたが、そのまま進行すればこれに追突することは確実であり、またこれに遮ぎられて同正門前はもとより進行車線前方の道路状況を見とおすことは全く不可能であつたこと、そこで被告人は、漸次、自車の速度を従前の時速約60キロメートルから45ないし50キロメートルに減速するとともに、自車をほぼセンターライン寄りに移行させて自車の進路を変更したうえ、駐車車両の右側方を通過しようとしたところ、大型貨物自動車の右後方(前示「2」地点)において、前方23.3m位の地点(前示「A」地点)に、甲組正門通路から県道に進入し、前示のように、被告人の進行車線を右斜めに横断中であつた被害者乙運転の原動機付自転車を発見し、急拠、ハンドルをやや右に切ると同時に、急制動したが間に合わず、自車を右原動機付自転車に衝突せしめたこと、被告人は自動二輪車等を運転して同所をしばしば進行していたもので、前示駐車車両の前方に甲組正門及び同正門から甲家屋敷内に通ずる通路があり、仕事関係の車両または歩行者が、日頃、同正門を通つて通路から県道に出たり、県道から通路に入つたりしているのを知つていたことが認められる。そして、同正門通路から被告人の進行車線を横断しようとする者にとつても、右のように、同正門右側に相接した2台の駐車車両があると、横断の際は歩行者または他の車両等の正常な交通を妨害しないようにする安全確認義務を負うとはいえ、被告人において駐車車両に遮ぎられて、同正門前はもとより進行車線前方を見とおすことが不可能であつたと同様、横断開始に先き立ち同正門通路のところに車両を停止させた位置から右方の交通の安全を確認することは、駐車車両に遮ぎられて全く困難であつたから、右車両の中には、右方の交通の安全を確認するため、同正門から県道内に横断を開始し、被告人の進行車線上、駐車車両に妨げられずに右方を見とおせる地点まで進出する車両のあり得ることはもちろん、その際、右方の交通の安全を十分確認することなく、漫然、横断を開始し、駐車車両の陰から、突如、対向車線に入ろうとする車両(本件被害車両がその例であることは原審で取調べた各証拠から明らかである)のあり得ることも、現在のわが国の道路交通の実情からいつてあながち否定できないところである。しかも、被告人は同正門から県道に出入する車両等のあり得ることを知つていたというのであるから、これら車両の中には、右で説示した本件被害車両のごとき車両のあり得ることも十分予見可能であつたはずであり、且つ、被告人が、警音器吹鳴義務はともかく、原判示の減速徐行義務を尽しておれば、本件衝突を回避することも十分可能であつたと思われる。したがつて、以上の諸事情のもとでは、駐車車両の側方を通過しようとする被告人において、横断車両が、横断開始に先き立ち、前示安全確認義務を尽すであろうことをあてにしても、右信頼は社会的に相当であるとは認められない。
右諸事情は、前示信頼の原則の採用を否定すべき特段の事情に当たるというべきである。論旨は理由がない。

 

東京高裁  昭和50年12月11日

先日の報道

こちら。

 

自転車が直前横断?横断歩道を使え?
なかなか不思議な報道が出ていますが… なんすかこれは? 次の瞬間、右側の車線を走ってきた車と接触。態勢を崩した自転車の女性は、車の運転手に2度軽く会釈すると、そのまま車道を走り道路を渡っていきました。 (中略) 道路交通法では、横断歩道や信...

 

読者様
読者様
押し歩きで歩行者扱いになる事にも触れて、降りた状態で横断歩道を使えば法的には瑕疵のない安全な横断になることを説明しないと、自転車の横断としては横断歩道を渡ろうが渡るまいが、どっちも義務的には一緒じゃないのかなあ

Yahooニュースに熊本放送の取り締まり情報があるんですけど、歩行者妨害の説明がどうも横断歩道の自転車と歩行者を同一視してるぽいんですよね

 

実際のところ、横断歩道を横断する自転車には優先権がないので、降りて渡るほうがベター。
ただまあ、警察官がさっぱりわかってなくて間違った取締りをしている話はそこそこ聞きます。

 

自転車の横断方法についてもそもそもわかってない人が多い気がしますが、事実上は横断歩道を使って渡るほうがベターです。
ただし、クルマからしたら一時停止義務はないので、事故ったときに自転車に過失がそれなりにつく事例もある。
なのでベターなのは降りて押して渡ることになります。

 

自転車と横断歩道の関係性。道路交通法38条の判例とケーススタディ。
この記事は過去に書いた判例など、まとめたものになります。 いろんな記事に散らかっている判例をまとめました。 横断歩道と自転車の関係をメインにします。 ○横断歩道を横断する自転車には38条による優先権はない。 ○横断歩道を横断しようとする自転...

 

一応、青信号で横断歩道を横断した自転車に過失100%にした判例もありますか、一般的には10~40%程度。
押して渡るなら基本はゼロだし。


 

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