高校生などがレースに出るとき(草レースは除く)、大会規定でギア比の制限があります。
該当する選手はこれを守らないと失格処分になってしまうのですが、スプロケをジュニア用に変えればOKと思うほど単純な話ではありません。
なので高校生以下に要求される【ギア比制限】について解説します。
ギア比制限
一般的に【ギア比制限】と言われますが、これは厳密には間違っています。
UCI競技規則で決まっているのは、【どのスプロケにしなくてはならないか】ではありません。
あくまでも【一番重いギアでペダルを一回転させた時に、どれだけの距離を進むか】を規定しています。
【一番重いギアでペダルを一回転させた時に、どれだけの距離を進むか】と書きましたが、それはスプロケとフロントチェーンリングの大きさだけで決まるんじゃね?と思うかも知れませんが、タイヤサイズによりタイヤの直径は違います。
23cよりも25cのほうが、タイヤの直径は大きいのです。
またタイヤメーカーによって、同じ25cでもタイヤ周長は違うので、単純にギア比だけで決めるわけにもいかないのです。
UCI規定ではこうなっています。
カテゴリ | ペダルを一回転させたときに進む距離 |
ジュニア(17、18歳) | 7.93m |
U17(15,16歳) | 7.01m |
U15(13、14歳) | 6.10m |
U13(12歳以下) | 5.66m |
年齢は競技規則の条文に書かれている通り、登録年の間に達する年齢で区分されます。よって登録時(4月)に16歳である8月生まれの競技者は、カテゴリ上ジュニアと区分されます。
注意点としてはカテゴリの適用期間は1/1~12/31でありますが、JCFのライセンス登録期間は4/1~翌年3/31となっているため、翌年1/1以降はカテゴリが変わってしまう可能性があります。また、早生まれの競技者は学年とカテゴリが一般的なイメージとずれるため(例:早生まれ大学1年生はジュニアカテゴリ)、わかりにくいことがあります。
(出典:全日本実業団自転車競技連盟 http://www.jbcf.or.jp/news/20160520_id=8677)
さて、ギア比とタイヤ周長から考えてみましょう。
タイヤ周長とギア比
まず、一般的に言われているタイヤ周長はこちら。
23c | 2096mm
(2.096m) |
25c | 2105mm
(2.105m) |
28c | 2136mm
(2.136m) |
これはあくまでも期待値であり、タイヤのメーカー、空気圧でも誤差が出ます。
次にギア比。
フロント(チェーンリング) | リア(スプロケ) | ギア比 |
53 | 14 | 3.785 |
52 | 14 | 3.714 |
50 | 14 | 3.571 |
46 | 14 | 3.285 |
53 | 15 | 3.533 |
52 | 15 | 3.4 |
50 | 15 | 3.333 |
46 | 15 | 3.066 |
53 | 16 | 3.312 |
52 | 16 | 3.25 |
50 | 16 | 3.125 |
46 | 16 | 2.875 |
フロントで46なんてあるの?という話になりますが、現行モデルだとアルテグラR8000のクランクに、46-36というクランクがあります。
これは元々はシクロクロス用とされてきましたが、ジュニア選手で使ってダメというものではありません。
シマノ FC-R8000 46X36T 170mm 11S IFCR8000CX66
売り上げランキング: 53,020
6800アルテグラにもあります。
11速スプロケの場合、同じくアルテグラに14-28Tというジュニアカセットがあります。
シマノ CS-R8000 11S 14-28T 45678901358 ICSR800011428
売り上げランキング: 23,088
11速用ジュニアカセットは14-28Tしか選択肢がありませんが、10速スプロケにはもうちょっと種類があります。
SHIMANO(シマノ) アルテグラ カセットスプロケット CS-6600(ジュニアサイズ) 10段 14-25T
売り上げランキング: 123,056
SHIMANO(シマノ) アルテグラ カセットスプロケット CS-6600(ジュニアサイズ) 10段 15-25T
売り上げランキング: 271,100
SHIMANO(シマノ) アルテグラ カセットスプロケット CS-6600(ジュニアサイズ) 10段 16-27T
売り上げランキング: 161,935
ただしトップ15Tとか16Tは、フレームによっては入りません。
これは現物合わせするしかないでしょう。
ジュニア選手に求められるギア比
タイヤ周長を上に書いたような期待値で計算するなら、こうなります。
タイヤ周長 × ギア比 = ペダル一回転で進む距離
ここから計算してみるとこうなります。
フロント(チェーンリング) | リア(スプロケ) | タイヤサイズ | ペダル一回転で進む距離 |
53 | 14 | 23c | 7.934m |
25c | 7.968m | ||
28c | 8.086m | ||
52 | 14 | 23c | 7.785m |
25c | 7.818m | ||
28c | 7.933m | ||
50 | 14 | 23c | 7.485m |
25c | 7.517m | ||
28c | 7.628m | ||
46 | 14 | 23c | 6.886m |
25c | 6.916m | ||
28c | 7.018m | ||
53 | 15 | 23c | 7.405m |
25c | 7.437m | ||
28c | 7.547m | ||
52 | 15 | 23c | 7.266m |
25c | 7.297m | ||
28c | 7.404m | ||
50 | 15 | 23c | 6.986m |
25c | 7.016m | ||
28c | 7.120m | ||
46 | 15 | 23c | 6.427m |
25c | 6.455m | ||
28c | 6.550m | ||
53 | 16 | 23c | 6.943m |
25c | 6.972m | ||
28c | 7.075m | ||
52 | 16 | 23c | 6.812m |
25c | 6.841m | ||
28c | 6.942m | ||
50 | 16 | 23c | 6.550m |
25c | 6.578m | ||
28c | 6.675m | ||
46 | 16 | 23c | 6.026m |
25c | 6.051m | ||
28c | 6.141m |
いわゆる高校生のカテゴリの場合(17、18歳)、フロントが53Tはギア比制限に引っ掛かります。
フロント52T、リア14Tがせいぜいですが、28cタイヤを使うとギア比制限に引っ掛かる可能性があります。
25cタイヤでも外径が大きいメーカーだったりするとギア比制限に引っ掛かる可能性もあるので、正確には自分で測るしかないと思います。
結構分かりすらいポイントとして、実年齢ではないというのもポイントです。
もう一度全日本実業団自転車連盟の記載を見ると、
年齢は競技規則の条文に書かれている通り、登録年の間に達する年齢で区分されます。よって登録時(4月)に16歳である8月生まれの競技者は、カテゴリ上ジュニアと区分されます。
注意点としてはカテゴリの適用期間は1/1~12/31でありますが、JCFのライセンス登録期間は4/1~翌年3/31となっているため、翌年1/1以降はカテゴリが変わってしまう可能性があります。また、早生まれの競技者は学年とカテゴリが一般的なイメージとずれるため(例:早生まれ大学1年生はジュニアカテゴリ)、わかりにくいことがあります。
(出典:全日本実業団自転車競技連盟 http://www.jbcf.or.jp/news/20160520_id=8677)
こうなっているため、問題となりやすいのは早生まれの高校一年生でしょうか。
早生まれの高校一年生の場合、カテゴリ上はU15に入ってくることもポイントですね。
U15カテゴリの制限値は【7.01m】なので、フロント46×リア14、もしくはフロント50×リア15などの組み合わせ以外ではギア比制限に引っ掛かると思いますが、リア15T以下のスプロケは11速用はありません。
なので10速コンポで運用するという手もありますが、トップ15Tのスプロケはフレームによっては入らないので、現実的にはフロント46Tに組み替えでしょうか。
カテゴリが変わるたびにクランクを買い替えると高くつくので、現実的にはチェーンリングだけの交換になるかもしれません。
SHIMANO(シマノ) チェーンリング FC-6800 46T-MB Y1P498050
売り上げランキング: 117,324
ただし、アウターとインナーのチェーンリングには相性があり、53-39、52-36、50-34、46-36以外の組み合わせにすると劇的に変速性能が落ちることがあるので、注意が必要です。
http://roadbike-navi.xyz/archives/943
大人でもあえてフロント46Tやジュニアカセットを使う人もいる
大人でも、重すぎるギアを排除して使いやすくしている人もいます。
現実問題として、リアのトップ11Tとか12Tは、ほとんどの人が下り坂以外では使わないはずです。
そうするよりもあえてジュニアカセットを使うことで、中盤のギア構成を重視している人もいます。
フロント46Tにしている人は正直あまり見かけませんが、46Tクランクはインナーが36Tです。
なのでヒルクライム用というよりは、ツーリング目的などでも使いやすいかもしれません。
SHIMANO(シマノ) FC-R8000 46×36T 170mm ULTEGRA クランクセット 46X36 IFCR8000CX66
もう一点注意事項。
R9100やR8000のクランクは、従来のもの(9000や6800など)に比べてアウターリングとインナーリングの間隔が広がっているため、公式的にはR9100、R8000、5801のFD以外では使えないとされています。
http://roadbike-navi.xyz/archives/2154
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント