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「逆走自転車」と「一時不停止自転車」が衝突した判例。

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逆走自転車は正しく左側通行している自転車からみても脅威ですが、逆走自転車と順走自転車が衝突した場合の過失割合は

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が基本線。
逆走自転車と一時不停止自転車が衝突した場合、どのような過失割合になるのでしょうか?

逆走自転車と一時不停止自転車が衝突

判例は東京地裁 平成6年10月18日。
幅員が狭い生活道路で、原告(赤自転車)側には公安委員会が設置したものではないですが「止まれ」と書かれた看板があります。

 

被告(青自転車)は歩行者を避けるため右側通行。
双方向は見通しがいいわけではないようです。

 

イメージ(正確性は保証しません)

公安委員会が設置した「止まれ」の場合はこのような正規の標識になりますが、

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公安委員会が設置したものではない「止まれ」の看板の場合、道路交通法上は一時停止義務がありません。

 

さて過失割合。

原告(赤、一時不停止) 被告(青、逆走)
75 25

右検討の結果によれば、本件事故は、原告が交差点の手前で減速して本件交差点に進入し、曲がり切つた後ペダルを踏み込んだ時に原告自転車の前輪が被告自転車の前輪右側に衝突し、その結果、原告が前かがみで被告自転車の前輪を覆うようにして倒れた結果生じたものであると認めるのが相当である。なお、本件事故時の被告の行動は、大袋駅からの道路の右側を減速しながら通行し、原告を発見して直ちにブレーキをかけ、被告自転車が停止した途端に原告自転車と衝突したものであると認めるのが相当である。そして、被告は、本人尋問において「大袋駅方面から道路の左側を自転車で通行し、本件交差点で停止した上で右折して恩間方面に向かう方法をとれば、交差点での停止時に後続の自転車による追突を受けるので、内回りのほうが行い易い」と供述していることから、本件事故時において、歩行者をよけようとして大袋駅からの道路の右側を通行することになつたものの、右側通行を自ら容認して走行したものと推認される。右認定に反する原被告の各供述は前示検討の結果に照らして採用しない。

 

そうすると、本件事故は、被告が大袋駅からの道路を通行するに当たり、左側を走行すべきところを右側を走行し、本件交差点も右側から進入したことのため、原告自転車との衝突を招来したものであつて、被告の右義務違反による過失責任は免れない。

 

他方、原告も、直線道路に進入するに当たり、「止まれ」と大きく書かれた看板にもかかわらず、減速をしたのみで本件交差点に進入し、その後、前方の道路事情の確認を不十分のままペダルを踏み込んだものと言わざるを得ず、このような停止義務違反、前方注視義務違反も本件事故の原因となつていることは明らかである。

 

そして、被告の過失と原告の過失の双方を対比して勘案し、また、前認定の本件交差点付近の自転車や歩行者の通行状況も斟酌すると、被告は明示で主張はしていないが、本件事故で原告の被つた損害については、その75パーセントを過失相殺によつて減ずるのが相当である。

 

東京地裁 平成6年10月18日

任意標識の「止まれ」

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道路交通法上の一時停止義務は、公安委員会が設置した正規の道路標識の場合のみ有効です。
道路に「止まれ」と書いてあっても標識がなければ効力はありませんし、正規の標識ではない場合にも一時停止義務はない。

 

ただまあ、いわゆる「任意表示の止まれ」については、従わなかった場合に過失とみる判例と過失とは認めない判例があり、民事上の責任は何ともいえません。
義務の有無よりも、注意義務はあるわけなので。

 

読んだ印象として。

・「任意表示の止まれ」をそれなりに評価している。
・被告側が先に停止していて、原告が加速した点を過失とみている。
・生活道路でそれなりに歩行者が多かった道路状況を加味している。

逆走が必ずしも重過失と見なしていないようにも取れます。
このあたりは、歩行者や自転車の交通量や道路幅なども検討しての話になるので、幹線道路の逆走とは分けて考える必要がある。

 

逆走自転車との衝突事故の判例って、どっちが過失割合として高くなるかは事故態様次第です。
左側通行していてもこういう過失割合になるので、なかなかツライところではありますが。

 

なお、逆走自転車の過失をゼロ評価している判例もあるので、ご注意を。
まあ、ゼロになった理由はちょっと特殊かもしれませんが。

 

逆走自転車と衝突したのに、順走自転車が過失100%??
ちょっと前に取り上げた件。 この記事で取り上げたブログさん、ほかにも判例について解説(?)をしているようなのですが、逆走自転車と順走自転車が衝突した事故で、順走側に過失100%を付けている判例を紹介していました...

 

令和の時代でもナチュラルかつカジュアルに逆走をキメてくる自転車はいますが、このような生活道路に自転車道を作れるわけもなく。
自転車道が出来ると、「誰も」逆走しなくなるという大言も見たことがありますが…
そんなパラダイスが本当に来るなら、今すぐ作ってください。

 

逆走自転車がいなくなることを「パラダイス」と感じる時点で終わっているんですけどね笑。
当たり前のことを履行することがパラダイス…

 

事実上徐行して通行するような生活道路だと思いますが、逆走自転車と衝突したときにどっちの過失が大きいかはまあまあビミョーです。

 

自転車同士の事故って、こんな判例多い気がします。
警視庁は逆走自転車に赤切符を切る運用を始めたのは報道の通りですが、

 

警視庁が自転車の違反に対し「積極的に」赤切符運用を開始。
警視庁が自転車の違反に対し、「積極的に」赤切符を切る運用を始めるそうな。 自転車の交通違反による事故が相次いでいることから警視庁が今月下旬にも特に悪質で危険な違反に対して積極的な取り締まりに乗り出す方針を固めたことがわかりました。 ...

 

生活道路の逆走のほうが脅威かもしれません。
かといって幹線道路の逆走も勘弁ですが。

 

なお、このような事故でも原告の請求額は約7339万。
認容額は過失相殺後で約786万。

 

結構な重大事故ですね。
ちなみにGoogleマップで見る限り、今は「任意表示の止まれ」が確認できませんでした。

 

そういや以前、判決文には「横断歩道」としか書いてないにも関わらず、「自転車横断帯もある」と主張していた人がいた気がしますが、どうやって30年前の状況を調べたのか最後まで教えてくれなかったことがあった気がしますw
最近の状況をGoogleマップで見たところで何の役に立つのかさっぱりわかりませんが、事実の誤りがあろうとちゃんと主張しないとおかしな認定になるのが裁判です。

 

判決文上で「自転車道」と認定されている判例の中には、実際には「普通自転車通行指定部分(歩道)」のことすらありますが、ちゃんと主張しないとおかしな認定になります。
事実と真実は必ずしも一致しませんから。




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