先日ある記事にコメントを頂きました。
私はスポーツカーに乗っていて、偶に峠にドライブに行きます(法定速度を無視したスポーツ走行ではありません)。そこで良く出会うのがロードバイクです。
端に寄ったり、先に行けとジェスチャーをすることもなく左端から1/3くらいの部分をずっと走っています。10年以上運転していますが、譲られたことはありません。
私は別にイライラしたり危険な追い越しをするわけでもありませんが、他の車を見ていてかなり危険だと感じています。
そこで質問があります。
1.仮に後ろから来た車を譲る義務が無くとも、後ろから来た車にせっつかれている状態でストレスや危険を感じることはないのですか?
2.イライラしたドライバーがかなり危険な追い越し(ぎりぎりを通っていくような)をするのをよく見ます。ロードバイクを乗っている人はそのような追い越しをされるのを理解していて、隙間に止まったり一時的の歩道に上がって車をやり過ごすという事をしないのですか?
私自身早いバイクや車が後ろから来たら、安全に抜けられるところで先に行かせます。こちらが法定速度を守っていても、後ろからせっつかれたり煽られたりするのはいやなので。
「27条は自転車には適用されない」という内容の記事にコメントを頂いたので、若干誤解を生んだかなと。
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譲ると譲れ
うち、5000件以上の記事がある上に最近だと検索しても見つからないことすらありますが、
私の基本的な考え方としては、義務がどうのこうのではなく、先に行きたそうな車がいるなら行かせる派なんですね。
言わば「任意的に譲る」でしょうか。
上の状況下で後続車を先に行かせたところで私に何らデメリットがないばかりか、お互いにいいことが多いので。
ただね、常にそれができるわけじゃない。
というのも、間違っても「走行中にグレーチングやエプロン部に乗り上げてまで譲る」みたいな話なら、危険が伴うので無理です。
あくまでも任意的に譲るだけの話が、「自転車は譲れ」に変わることについては承服しがたい。
そこをハッキリさせておきたいだけなので。
コメントを頂いた方には返信を読んでご理解頂いたと思っているのですが、「任意で譲る」が「無条件で譲れ」になることはちょっと無理です。
あと、あえて突っ込まなかった点。
道路交通法18条1項でいうところの「道路(車道)の左側端」については、何ら明確な基準がないばかりか、罰則もありません。
正直なところ、特に峠道などでは左側端にガラス片や草木が散乱していたり、左側端の舗装状態が悪い、草木で隠れているけど蓋がない側溝があるなどの理由から左側端に寄れない場合すらあります。
こういう事情からも罰則を設けることが不適当という考えもあるわけで、「左端から1/3くらい」が必ず悪だとは思いません。
なお、18条1項についての判例はこちらに。
結局のところ、2輪車からみてリスクに感じることと、4輪車からみたらリスクに感じないことの「差」もあると思いますが、左側端ってゴミや砂が多いので必ずしも寄れないのです。
2輪車はスリップして転倒します。
たぶんですが
コメント頂いた方にはご理解頂いたと思っていますが、たぶん、こういう話だと誤解されたのかなと。
健康な男子なら、車道の左端ではなく真ん中近くをスピード出して走れば幅寄せされないし駐車車両避けるのも楽(後ろの車を最初から通せんぼしているので)、なんだけど、たまに鳴らされるクラクションガンを無視する神経とごくまれにいる前を全く見ていない運転手に遭遇しない程度の悪運は必要。 https://t.co/RbnGfUzezQ
— 大司教 (@SherlaneHalaran) June 29, 2022
わざと真ん中を走り後続車をブロックする自転車もいますからねぇ。
こういう輩の言い分って、「左側端に寄ると後続車がスレスレで追い抜きする」という面から、予め封じてしまおうという発想なのかと。
ただまあ、この考え方にはあんまり賛同できないというか、スレスレで側方距離を確保せずに追い抜きや追い越しすることは違反なことは大前提。
そういう違反行為で怖い目に遭わないように、真ん中に寄って予め追い越し追い抜きさせないという発想なんだろうけど、たまたまそういう自転車の後ろについた後続車からすればまだ追い抜きも追い越しもしてないわけで、自転車の違反(18条1項)がそこにあるだけなのよね。
追い越しや追い抜きした際に、側方間隔が近すぎて違反だろ危ないだろ!と怒るならまだわかる。
けど世の中、きちんと側方間隔を開けて追い抜きや追い越しするドライバーも普通にたくさんいるわけで、そういうドライバーからしたら、
まだ何ら違反をしてない後続車からすれば、チャリカスだと感じるだけなのよ。
既に違反している自転車と、まだ追い抜きも追い越しもしてない後続車。
それで「自転車を理解しろ」なんて言われた日には、普通の感覚でいうなら何様なんだと感じるのが人間。
悪循環に陥るだけだし、何ら解決にもならない。
先に行きたい車がいたら普通に行かせることにしてますが、必ずしも寄れない場面もあるし、きちんと側方間隔を開けて追い抜きや追い越しして頂きたいし、双方がそれぞれ義務を果たすしかないと思うのですが、たぶん最初に頂いたコメントからすると若干誤解を生んだような気がしましたので基本的な考え方は書いておきます。
なぜ27条から自転車が対象外?
以前も書いてますが、「追いつかれた車両の義務」は昭和39年道路交通法改正以前は軽車両も対象でした。
なぜ昭和39年道路交通法改正で軽車両が対象外になったかですが、
昭和39年以前は自転車の並走が許されていましたが、改正時に「原則禁止」に変更。
自転車が18条1項を遵守しているならば、それ以上譲る余地がなく、常時譲っていると解釈されるからです。
<並走が許されていた&追いつかれた車両の義務があった時代>
並走を原則禁止に変更し、18条1項を遵守してください限り、それ以上譲る余地がない。
けど、18条1項に罰則がなく、27条「追いつかれた車両の義務」がないことをフル活用して「わざと真ん中を走る」と宣言するアホも出てくるわけで。
ジュネーブ条約上は、自転車だろうと追いつかれた車両の義務の対象。
運転者は、行き違うとき又は追い越されるときは、自己が進行する方向に適応した側の車道の端にできる限り寄らなければならない。
追い越されるときは、自己が進行する方向に適応した側の車道の端にできる限り寄り、加速しないでいること。
まあ、自転車乗りでも考え方は人それぞれなので、好き勝手にする自転車もいますが、そういう奴らに限って好き勝手な法律解釈をするのもお約束。
まあ、道路交通法をきちんと理解している人が世の中に存在するのかすら怪しいけど、条文解釈と判例(実例)を紹介しているのは最低限の話でしかなくて、それだけで全てがうまく回るとも思っていないです。
例えば道路交通法38条1項は、横断歩道を横断しようとする自転車に対する一時停止義務がないと解釈されますが、
実態としては車が一時停止せざるを得ない。
一時停止義務がないことは、事故を起こしていい理由にはならないから。
事故が起きそうな蓋然性があるなら一時停止せざるを得ない。
道路交通法の規定通りで行くなら、明確に自転車が劣後しますが実情は逆転せざるを得ない。
法律通りで全てがうまく回るわけでもないけど、法律自体を知らないままだとお話にならない。
なので、法律解釈を解説した上でその先のほうが大切なんじゃないかな。
けど、自転車のルールなんてまともに知られてなくて、「自称道路交通法に詳しい自転車乗り」でも、これを信号無視ではないなどと妄言を語り出す。
自転車乗りよ、あんたらが誘発した事故だぞ。
手前が赤信号になるととたんに歩行者信号で通過、車道と歩道を自由自在に走る。
無灯火、二人乗り、完全に無秩序だよな。
いつも自分達に都合の良い解釈して走ってる結果がこれだよ。信号無視の自転車が青信号で進入してきた乗用車に激突する事故映像 pic.twitter.com/S5lqzzlgTD
— 358ちゃん♨️ (@max358japan2) October 21, 2022
余裕で信号無視になりますが、理由はリンク先へ。
こういうのを見ていると、ルール自体理解している人としてない人が混雑するほうがまずは良くない。
なのでルール解説にはこだわります。
Fulcrum – Wind 40 DB ロードホイールセット
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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