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自転車が横断歩道を横断中、38条2項違反のオートバイと衝突した場合の過失割合。

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道路交通法38条2項は、横断歩道直前で停止している車両の前に出るときには一時停止する規定。

(横断歩道等における歩行者等の優先)
第三十八条
2 車両等は、横断歩道等(当該車両等が通過する際に信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等により当該横断歩道等による歩行者等の横断が禁止されているものを除く。次項において同じ。)又はその手前の直前で停止している車両等がある場合において、当該停止している車両等の側方を通過してその前方に出ようとするときは、その前方に出る前に一時停止しなければならない

一方、横断歩道を横断する自転車は38条1項による優先がなく、25条の2第1項により正常な交通を妨害するおそれがあるときには横断してはいけない。

(横断等の禁止)
第二十五条の二 車両は、歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折をし、横断し、転回し、又は後退してはならない

では両者が衝突した場合の過失割合はどうなるでしょうか?

横断歩道を横断した自転車と38条2項違反のオートバイが衝突

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判例は大阪地裁 平成22年11月17日。
若干特殊な事情があります。

・「ノーカーゾーン」で許可車両以外は通行禁止
・加害オートバイは警ら中の警察官で、通行の許可を得ていた
・制限速度は20キロで、現場には「最徐行」と書いてある
・夜間で自転車は無灯火

過失割合はこのようになってます。

被害自転車 加害オートバイ
20 80

オートバイ側には38条2項の違反、自転車は左右の確認義務違反などを考慮しているようです。
なお、職務中の警察官が起こした事故なので国賠法上、警察官本人は賠償責任を負わず、賠償責任を負うのは「府県」になりますが(あえてボヤっとさせておきます)、「府県」の主張としては自転車:オートバイ=40:60。

38条2項の趣旨

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横断歩道直前で停止している車両がいる場合には、前に出る前に一時停止する義務があります(38条2項)。
停止している車両は横断歩行者を優先する目的(38条1項)で停止しているか、もしくは違法駐停車になるわけですが、両者の見極めは出来ないため停止車両があるときは問答無用に一時停止する義務を課しているとされます。

所論は、原判示の横断歩道直前に停止していた自動車は、一時停止していたものではなく、「駐車」していたものであるから、本件において、被告人は、道路交通法38条2項にいう「その前方に出る前に一時停止しなければならない」義務を負わないのに、その義務があるとした原判決の認定は失当であると主張する。しかし、被告人の立会のもとに作成された実況見分調書によつて明らかなとおり、原判示道路は、道路標識等によつて駐車が禁止されているし、原判示自動車の停止位置は、道路交通法44条2号、3号によつても停車及び駐車が禁止されている場所であるから、かかる場所に敢えて駐車するが如きことは通常考えられない事柄であるのみならず、同法38条2項にいう「横断歩道の直前で停止している車両等」とは、その停止している原因、理由を問わず、ともかく横断歩道の直前で停止している一切の車両を意味するものと解すべきであるから、本件の場合、被告人の進路前方の横断歩道直前の道路左側寄りに停止していた自動車が、一時停止による場合であると停車或いは駐車による場合であるとにかかわりなく、被告人としては、右停止車両の側方を通過してその前方に出ようとするときは、出る前に一時停止しなければならないのである。従つて、右措置をとらないまま横断歩道に進入した被告人に過失があるとした原判決に誤りはない。論旨は理由がない。

 

名古屋高裁 昭和49年3月26日

まあ、警ら中の警察官が守らずに事故を起こす程度に遵守されてないのですかね。
判決文によると、この警察官は罰金刑の略式命令と書いてありますが。

 

この規定は昭和42年道路交通法改正時にできたものですが、以下のように空気を読めずに突破する車両が事故を起こしまくった結果誕生した規定。

もともと横断歩道の手前の側端から前に5m以内の部分においては、法令の規定もしくは警察官の命令により、または危険を防止するために一時停止する場合のほかは停止および駐車が禁止されている(第44条第3号)のであるから、交通整理の行われていない横断歩道の直前で車両等が停止しているのは、通常の場合は、第38条第1項の規定により歩行者の通行を妨げないようにするため一時停止しているものと考えてしかるべきであるしたがって、このような場合には、後方から来る車両等は、たとえ歩行者が見えなくとも注意して進行するのが当然であると考えられるにかかわらず、現実には、歩行者を横断させるため横断歩道の直前で停止している車両等の側方を通過してその前方に出たため、その歩行者に衝突するという交通事故を起こす車両が少なくなかったのである。
そこで、今回の改正では、第38条第2項の規定を設けて、交通整理の行われていない横断歩道の直前で停止している車両等の側方を通過してその前方に出ようとする車両等は、横断歩道を通行し、または通行しようとしている歩行者の存在を認識していない場合であっても、必ずその横断歩道の直前で一時停止しなければならないこととし、歩行者の有無を確認させることにしたのである。車両等が最初から歩行者の存在を認識している場合には、今回の改正によるこの規定をまつまでもなく、第38条第1項の規定により一時停止しなければならないことになる。
「一時停止」するというのは、文字通り一時・停止することであって、前車が停止している間停止しなければならないというのではない。この一時停止は、歩行者の有無を確認するためのものであるから、この一時停止した後は、第38条第1項の規定により歩行者の通行を妨げないようにしなければならないことになる。また、一時停止した結果、歩行者の通行を妨げるおそれがないときは、そのまま進行してよいことになる。

 

警察学論集、浅野信二郎(警察庁交通企画課)、立花書房、1967年12月

※昭和42年当時は「横断歩道の前5m」が駐停車禁止。昭和46年改正で「横断歩道の前後5m」に改正。

 

この判例、ちょっと気になったのが被告側の主張。
何を主張しようと自由ですが、警ら中の警察官が違反して事故を起こしたわりには「自転車の過失は40%!」。
うーん、どうなんですかね。
行政って変なところをやたら強気に出る傾向にあると思ってますが…
38条2項の違反は重過失として評価してもいいような気もするし。

 

まあ、自転車も横断歩道では優先権がなく、25条の2第1項の趣旨からして左右を確認してから横断する義務があるわけで、自転車が横断歩道を横断すること自体は禁止されていないけど、降りて渡るほうがベターなんでしょうね。

 

ていうか、「府県」と濁しても裁判所名からバレちゃうよね笑。
そもそもなんですが、道路交通法の勉強が不足しているのは一般ドライバーだけじゃなくて、警察官も同じ。

 





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