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横断歩道(自転車横断帯)からどのくらい外れていたら横断歩道(自転車横断帯)を通行したと認められないか?

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読者様から質問をいただきました。

読者様
読者様
自転車横断帯から外れた横断歩道を横断する自転車は、38条1項の優先対象になりますか?
「横断歩道等から5~10m程度は横断歩道等とみなす判例が出ている」というツイートを見掛けて気になってます。

横断歩道(自転車横断帯)からどのくらい外れていたら横断歩道(自転車横断帯)を通行したと認められないか?

まず思うのですが、判例があると主張する人に直接聞くことをオススメします。
「判例がある」と言いながらも判決年月日も裁判所名も答えられないなら、ガセネタ扱いで構わないので。

 

私が知る限りはこんな感じ。

判例 対象 状況 裁判所の判断
最高裁H18.7.21 自転車 自転車横断帯から0.8m外れた横断歩道上 自転車横断帯を横断した自転車と同視
神戸地裁 R1.9.12 自転車 横断歩道から6.2m外れた位置 横断歩道を横断した自転車とは認められない
名古屋地裁H28.8.10 自転車 横断歩道から6.3m外れた位置 横断歩道を横断した自転車とは認められない
神戸地裁伊丹支部H30.11.27 自転車 自転車横断帯から外れた横断歩道上 自転車横断帯を横断したと同視
神戸地裁S62.9.29 歩行者 横断歩道西端から2m外れた位置 横断歩道を横断したと同視

 

車両等は,自転車横断帯に接近する場合には,当該自転車横断帯を通過する際に当該自転車横断帯によりその進路の前方を横断しようとする自転車がないことが明らかな場合除き,当該自転車横断帯の直前で停止することができるような速度で進行しなければならず,この場合において,自転車横断帯によりその進路の前方を横断し,又は横断しようとする自転車があるときは,当該自転車横断帯の直前で一時停止し,かつ,その通行を妨げないようにしなければならない(道路交通法38条1項)。
被害者は,本件事故の際,自転車横断帯に接する横断歩道上を自転車に乗ったまま横断していたものであるが,その横断していた所は,自転車横断帯の北側表示線の中心からわずかに約0.8m離れた所で,かつ,横断歩道上であることからすれば,被上告人において被害自転車の通行を優先させて安全を確保すべき前記義務を免れるものではないというべきである。

 

最高裁判所第二小法廷  平成18年7月21日

本件衝突地点をもって、原告が横断歩道を横断する歩行者と同一の保護範囲内にあるということはできないし、本件衝突地点が横断歩道の直近であるということもできない。

 

神戸地裁 令和元年9月12日

 

自転車と横断歩道の関係性。道路交通法38条の判例とケーススタディ。
この記事は過去に書いた判例など、まとめたものになります。 いろんな記事に散らかっている判例をまとめました。 横断歩道と自転車の関係をメインにします。 ○横断歩道を横断する自転車には38条による優先権はない。 ○横断歩道を横断しようとする自転...

 

原告は本件道路を横断歩道を利用して横断する予定はなく、南北道路東端の路側帯から、同じく南北道路東端の歩道へまっすぐ横断する予定であったのであり、その進路では、横断歩道から離れる形になる上、本件事故直前、横断歩道に向かう本件道路の歩道上にすら移動していなかったのだから、本件道路を横断歩道等により横断しようとする者には当たらない。

 

平成28年8月10日 名古屋地裁

 

自転車による優先道路進行妨害。
以前、横断歩道を横断した自転車を「優先道路進行妨害(36条2項)」とした判例は紹介していますが、他に似たような判例を。 自転車による優先道路進行妨害 判例は平成28年8月10日、名古屋地裁。 交差点の状況はこんな感じで、東西道路は優先道路。...

 

本件事故当時、横断歩道からはずれて横断していたものであるが、当該横断歩道は商店街と隣接し、往来が多く、しかも同女は、横断歩道西側から僅か2mの場所を横断していたのであるから、横断歩道上の横断と同視してよいものというべきである。

 

神戸地裁 昭和62年9月29日

ただまあ、一般的には「1~2m」だと思います。

 

ちなみに横断歩道と自転車横断帯か併設された場所の場合、自転車が横断歩道上を通行しても基本的には38条1項の対象です。
理由はシンプルで、車道を通行する車両の立場からすれば横断歩道の歩行者、自転車横断帯の自転車を優先するために両者の存在に注意しなければならないわけで、横断歩道上の自転車だからといって発見が困難になるわけでもない。
併設された場所ではあくまでも自転車と歩行者のそれぞれが安全性を確保するために便宜的に分けているだけなので、車道を通行する車両からすれば関係ないのね。

 

ただし、過失運転致死傷の成立については、左折車が注意義務を尽くしても自転車の発見は不可能として無罪にした判例があります。
東京地裁平成15年12月15日ですね(差戻し後の一審)。

 

左折進行車両が起こした「対自転車事故」について、過失を否定した判例。
道路交通法38条は、横断歩道を横断する歩行者と、自転車横断帯を横断する自転車を優先する規定です。 横断歩道と自転車横断帯が併設されたところを横断中の自転車と、交差点を左折進行した大型車の事故について、ドライバーの過失を否定した判例があります...

 

道路交通法違反の成立と、過失運転致死傷の成立は別なので。

横断歩道等から少し外れた位置で横断待ち

ところで、「横断歩道から少し外れた位置で車道に正対する歩行者に対し一時停止義務があるか?」という疑問がありますが、以下の二点から解決できます。

 

①あくまでも「横断歩道を横断しようとする歩行者」

外れた位置に立っていたとしても、横断歩道を横断しようとする歩行者になるため一時停止義務がある。
結果的に横断歩道を横断したかどうかは関係ない。

 

②「減速接近義務」と「安全運転義務」は免れない

仮に横断歩道から5mくらい外れた位置で車道に正対する歩行者がいた場合、「横断歩道を横断しようとする歩行者」とみなすのは無理があるが、「横断しようとする歩行者がいないことが明らか」とは言えない以上は減速接近義務(38条1項)は免れないし、車道に正対している以上はそのまま横断することは予見可能。

 

従って「そのまま横断」に備えて歩行者を注視し、事故を回避する義務がある。

 

何メートルまでが「横断歩道を横断しようとする歩行者」なのかは難しいけど、事故の可能性がある以上は一時停止する必要がある場合も多い。

エア判例

判決年月日も裁判所名も言えないのに「判例がある」というのは、私は一律でエア判例扱いしてます。
ていうか、答えられないなら検証不可能なので。

 

第三者が検証可能にするために判決年月日や裁判所名を伝えるのが当たり前。
議論にすらならないし。

 

エア判例があると主張されても。

 

けど、ネット上ではエア判例を持ち出す人はいるので、注意が必要かと。




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