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自転車同士の追い越し、追い抜き時事故の過失割合。

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自転車同士の追い越し、追い抜きでの接触事故が起きた場合、過失割合がどのように考えられているかについていくつか判例を見てみました。

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岡山地裁笠岡支部 昭和59年9月5日

まずは状況から。
青自転車が14m先を進行する赤自転車を見つけ、左側から「追い抜き」しようとしたところ、

両者の距離が3mに迫ってから、赤自転車が合図もなく左折。
赤自転車が死亡した事故です。

青自転車 赤自転車
40 60

自転車はその構造上いつその方向を転換するかもしれない性質を有するから、これを追い抜く際は、その動静に十分注意し、接触しないだけの十分な間隔をとるは勿論、進路幅員の狭いような場合には適宜ブザーを鳴らしまた速度を調節して、衝突事故の発生を未然に防止する注意義務があり、加害者の前記追い抜きの方法には右注意義務に違反した過失があるというべきである。

(中略)

被害者にも左折の合図、左後方の安全確認をしないまま、急に左折しようとした落度があり、前記損害のうち60パーセントは被害者自身の右落度に起因するものとして、これを控除するのが相当である。

 

岡山地裁笠岡支部 昭和59年9月5日

東京地裁 平成29年3月7日

この判例は原告が青自転車(追い越し)。
被告が赤自転車(横断開始)。
事故現場は片側1車線、歩道と車道の区別あり、歩道には柵があります。

 

先行自転車がいわゆる「ノールック横断」したような形。

 

青自転車 赤自転車
40 60

証拠及び弁論の全趣旨によれば、①被告が、被告車を運転して、本件道路の下り坂になる南西方向に向かって車道の左側を走行し、道路を横断するため、被告車を右斜め前に進行させたこと、②その際、被告は進路変更の合図をしなかったこと、③原告は、原告車を運転して、被告車の右斜め後方を走行していたが、被告車の速度が遅かったことから、被告車を追い越そうとして、被告車の右側面を通過しようとしたこと、④原告車と被告車の前輪同士が接触し、原告が路上に転倒したことが認められる。
上記認定事実によれば、被告には、被告車を運転して直進走行していた状態から右斜め前に進行するのであれば、後方を十分に確認して後続車の有無やその動静に注意し、合図を出して進行すべき義務があるのにこれを怠り、後方の安全を十分に確認しないまま、被告車の右側方を進行してきた原告車に被告車を接触させた過失が認められることから、被告は、民法709条に基づき、原告に生じた損害の賠償責任を負う。
他方、原告は、前方を走る被告車の動静に十分注意して進行すべき注意義務があるのにこれを怠った過失がある
本件事故態様や双方の過失の内容に鑑みれば、原告の過失割合を4割、被告の過失割合を6割とするのが相当である。

 

東京地裁 平成29年3月7日

東京地裁 平成13年9月28日

まずは事故の態様から。
赤自転車は停車後に降りましたが、

青自転車が約50センチの至近距離で追い抜きし、左に斜行した際に接触し転倒。

青自転車 赤自転車
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東京地裁 平成19年12月17日

まずは事故の態様から。
赤自転車を追い越ししそのまま歩道に上がるために左に進路変更。
その結果、赤自転車が怪我をした事故です。

青自転車 赤自転車
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自転車同士の追い越し、追い抜き

自転車同士の追い越しや追い抜きによる事故の場合、

自転車にはミラーがない

自転車にはミラーがないため後方に対する注意義務が車やオートバイよりも小さくなるのかなと思われます。
従って、先行自転車が進路変更したことが事故の原因ではない限り、過失相殺されない傾向にあるのかもしれません。

 

基本的には追い越しや追い抜き時の注意義務は、後続自転車がほとんどの責任を負うことになります。

 

逆に言えば、先行自転車が進路変更する際には後方確認義務があるわけなのですが、残念ながらいわゆる「ノールック横断」「ノールック進路変更」は自転車のお家芸。
私も一度、先行自転車のノールック横断により死にかけましたが、カジュアルに横断をキメてくる自転車が平然と道路上にはいるので、信用しないほうがいい。

こんなプレイはまあまあ多いので、自転車同士の追い越しや追い抜きは慎重にせざるを得ないわけです。

 

あまりよろしくはないけど、明らかに不穏な動きをする自転車を追い越しするときには警音器を吹鳴する注意義務違反を認めた判例は普通にあるので、

 

車が自転車を追い越すときに、クラクション(警音器)を鳴らすのは違反なのか?
先日書いた記事で紹介した判例。 自動車運転者が自転車を追い越す場合には、自動車運転者は、まず、先行する自転車の右側を通過しうる十分の余裕があるかどうかを確かめるとともに、あらかじめ警笛を吹鳴するなどして、その自転車乗りに警告を与え、道路の左...

 

自転車への側方間隔はどれくらい空けるべき?判例を検討。
先行する自転車を追い越し、追い抜きするときに、側方間隔が近すぎて怖いという問題があります。 これについて、法律上は側方間隔の具体的規定はありません。 (追越しの方法) 第二十八条 4 前三項の場合においては、追越しをしようとする車両(次条に...

 

後続自転車のほうに注意義務が大きいということになります。

 

上の判例全てに言えますが、本来やるべきことをしていれば容易に事故は回避できる話。
追い越し直後に歩道に向けて進路変更すりゃぶつかるのは誰でもわかる話でしかないし、ノールックで横断開始したら偶然事故に遭わない可能性はあるけど、普通に衝突する。

 

やるべき注意義務を怠れば余裕で事故が起こります。
ノールック横断系だけは予測不可能なのでお願いだからやめてね



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