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左折する直前に自転車を追い抜きしてはならない。

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こういうの、いろいろ思うところはありますが。

https://twitter.com/ngmsnb/status/1608441371698036737
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左折する直前で追い抜き

この場合「道路外への左折」になりますが、左折する直前に追い抜きしたらこうなるわけで、自転車の後方で追従してから左折するのが正解

(道路外に出る場合の方法)
第二十五条 車両は、道路外に出るため左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、徐行しなければならない

25条1項に反したという点は間違いないのですが、その後については疑問です。

道路外左折車と直進車の関係性

なんでもかんでも「直進優先」だと勘違いする人もいますが、道路外左折車と直進車の関係性の場合、以下の規定が競合します。

(道路外に出る場合の方法)
第二十五条
3 道路外に出るため左折又は右折をしようとする車両が、前二項の規定により、それぞれ道路の左側端、中央又は右側端に寄ろうとして手又は方向指示器による合図をした場合においては、その後方にある車両は、その速度又は方向を急に変更しなければならないこととなる場合を除き、当該合図をした車両の進路の変更を妨げてはならない。
(横断等の禁止)
第二十五条の二 車両は、歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折をし、横断し、転回し、又は後退してはならない

先行左折車の左折妨害禁止(25条3項)、後続直進車の進行を妨害禁止(25条の2第1項)。
どちらが優先されるかについては、両者の距離感に依ることになる。

 

交差点で左折する場合もほぼ同様の規定があります(交差点の場合は26条の2第2項と34条)。

 

で、Twitterのケースでは先行左折車と後続直進車の関係が近いので、後続自転車が優先、つまり先行左折車は25条の2第1項の義務を負う。

(横断等の禁止)
第二十五条の二 車両は、歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折をし、横断し、転回し、又は後退してはならない

「他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるとき」とは以下のようなこと。

「歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるとき」とは、車両等の運転者が道路外の施設若しくは場所に出入するための左・右折、横断、転回又は後退するにあたり、歩行者や他の車両をしてそのための急制動、一時停止、徐行あるいは異常な進路変更等、従前からの運転方法を著しく変更させる措置をとることを余儀なくされるような場合をいう。

 

大阪高裁 昭和44年12月23日

具体的な判例です。

被告人車が道路外に出るため左折しようとして、被告人車の左側と道路左側端との間に約1.5メートルの間隔を置いてその準備態勢に入つたことは、前記入口付近の道路状況と被告人車の車体の構造からみて、これ以上道路の左側端に寄つたうえ左折することに技術上の困難が伴うため、やむを得ない措置であつて、道路交通法25条1項に違反するものではないといわなければならないが、本件のように、被告人車の左側に後方から来る二輪車が進路を変更することなく進入可能な間隔を残しており、しかも対向車の右折を待つため約10秒間停止したのちに左折を開始しようとする場合には、あらかじめ左折の合図をし、これを続けていても、右合図の趣旨や一時停止の理由が後進車両に徹底しないおそれがあるから、被告人車と後進車との優先関係を判断するにあたつては、当初の左折合図の時を基準として判断すべきではなく、被告人車が一時停止後左折を開始しようとする時点において、一時停止中に生じた後進車の進行状況をも含め、あらためて道路交通法25条3項と同法25条の2第1項とのいずれが優先的に適用されるべき場合であるかを決するのが相当である。この見地からみると、前記事実によれば、被告人車が左折を開始しようとした時点では、すでにA車はその左後方約30メートルないしそれ以下(被告人車の前部から)の近距離にあつたものと推認されるから、被告人車が左折を開始すればA車は衝突を避けるためその進路又は速度を急に変更しなければならなくなる(それでも衝突はほとんど不可避である)ことが明らかであり、したがつて本件は、同法25条の2第1項が優先的に適用されるべき場合であると認められる。即ち、被告人車がこの時点で左折を開始することは「他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがある」ことになるから、被告人車はA車の通過を待つたうえでなければ発進が許されなかつたといわなければならない。もつとも、A車は最高制限速度を約5キロメートル越えた速度で進行していたことが明らかであるが、本件の状況のもとで、一般に被告人車の左後方約30メートルに自動二輪車が間もなく併進状態に入る態勢で進行して来ているときは右の判断があてはまるから、右制限速度違反の点は右の判断に影響がない。
そうすると、被告人としてはさきの左折合図により後進車が被告人車の左折による進路の変更を妨害することがないものと信頼してはならず、後進車の有無及びその動静に注意を払い、特に左後方の安全確認をしたうえ左折を開始すべき注意義務があつたというべきである。

 

東京高裁 昭和50年10月8日

似たような事例について、後続原付が時速30キロ、距離が14mのときは左折車が優先するとした判例があります。(交差点での事例)

道路交通法26条の2の2項、34条5項の趣旨から考え、後進車は、すでに左折合図をしている先行車との間に適当な距離があつて、左折により自車の速度または方向を急に変更させられることがないときは、あえてこれを追抜きその左折を妨げることは許されないと解される

(中略)

左後方から追随してくる被害原付との間の距離は約14m、当時の被害原付の速度は時速約30キロメートル程度であるから、経験則上、被害原付の速度に照らして、必ずしも左折により同車の速度または方向が急に変更させられる関係にあつたとはいえない。

 

昭和50年11月13日 大阪高裁

で。
Twitter動画の件ですが、道路外左折車は明らかにミスっていることを自覚しているのか、左折前に自転車の進路を空けたまま一時停止している。
それに対し、自転車はそのまま直進する余地があるものの任意で停止しているので25条の2第1項でいうところの「他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるとき」に該当しなくなるのね

 

だって、自転車は一時停止して速度がゼロなので、速度ゼロの自転車の速度や進路を急に変えさせる恐れがないのだから。
そのまま空いている左側を優先通行することが可能だったにもかかわらず自転車が譲ったのと同じ状態になる。

「歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるとき」とは、車両等の運転者が道路外の施設若しくは場所に出入するための左・右折、横断、転回又は後退するにあたり、歩行者や他の車両をしてそのための急制動、一時停止、徐行あるいは異常な進路変更等、従前からの運転方法を著しく変更させる措置をとることを余儀なくされるような場合をいう。

 

大阪高裁 昭和44年12月23日

なので、お互いに一時停止した状態からは優先も何もないので、安全確認したら進行してもかまわない状態になる。

何を問題にすべきかというと

結局のところ、違反として成立しうるのは25条1項の「あらかじめその前からできる限り左側端に寄り」(25条1項)くらい。

 

「左折直前で追い抜きしたら危ないでしょ!」ならわかるけど、一応は自転車通行分の左側を空けて一時停止していたことも明らかなので、ここについては違反が成立する余地がない。

 

まあ、左折直前に追い抜きするとこうなる事例ですが、警察を呼んだところでそもそも違反にならない事案なので、違和感がある…と言いますか。

 

ただまあ、左折車が自転車の通行分左側を空けて一時停止したとしても、現実的には自転車も一時停止せざるを得なくなります。
理由はわりとシンプルで、「左折車の挙動を全面的に信用できないから」
左折直前に追い抜きするくらいなので、なおさら信用できる要素がない。

 

そうなると自転車は一時停止して様子見するしかないけど、そもそもは道路外左折車は「その前から」「できる限り左側端に寄り」(25条1項)すればお互いに何もなかったわけなので、左折したいなら先行自転車を追い抜きしないこととしか言えないかと。

 

指摘するなら、そもそも何が問題なのかを的確に指摘しないと何回も同じことを繰り返す。
要は「その前からできる限り左側端に寄る」を実行していれば、左折直前に追い抜き自体不可能なんで。

 

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左折する直前に自転車を追い抜きしてはならない②。
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