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なぜ警察は違反者に「ドラレコ」を見せないのか。

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こちらについて思うのですが。

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なぜ警察が違反者に「ドラレコ」を見せないのか?

これは理由がありまして、イチイチ違反者の要望に応えていたらキリがなく、「迅速に解決する」趣旨に合わないから。

 交通反則通告制度は、車両等の運転者がした道路交通法違反行為のうち、比較的軽微であつて、警察官が現認する明白で定型的なものを反則行為とし、反則行為をした者に対しては、警察本部長が定額の反則金の納付を通告し、その通告を受けた者が任意に反則金を納付したときは、その反則行為について刑事訴追をされず、一定の期間内に反則金の納付がなかつたときは、本来の刑事手続が進行するということを骨子とするものであり、これによつて、大量に発生する車両等の運転者の道路交通法違反事件について、事案の軽重に応じた合理的な処理方法をとるとともに、その処理の迅速化を図ろうとしたものである。

 

最高裁判所第一小法廷  昭和57年7月15日

最近の最高裁判決。

しかしながら,上記の事実経過のとおり,被告人は,警察官らが交通反則告知書の記載内容及び交通反則通告制度について説明をした際,赤色の灯火信号を看過した事実を否認して交通反則告知書の受領を拒否したのであるから,道路交通法130条2号に該当する事由があることは明らかである。なお,被告人が赤色の灯火信号を看過したことを示す証拠である本件車載カメラ映像の提示を求めたことに対し,それが存在するにもかかわらず,警察官らがそのようなものはないと述べたことがあったとしても,交通反則通告制度においては,同号該当性を否定する事情とはならないというべきである。したがって,第1審裁判所が不法に公訴を受理したものということはできない。

 

最高裁判所第一小法廷 令和元年6月3日

なお、令和元年6月3日には補足意見がついてます。

交通反則通告制度は,道路交通法に違反する罪に当たる行為のうち一定の軽微なものについて,警察官による告知及び警察本部長による通告により,反則者に反則金納付の機会を与え,これに応じて任意に反則金を納付した者は,当該行為について公訴を提起されないこととして,事件の簡易迅速な処理を図ろうとする行政上の措置として設けられたものである(最高裁昭和55年(行ツ)第137号同57年7月15日第一小法廷判決・民集36巻6号1169頁参照)。
このような制度であることから,警察官は,反則者があると認めるときは,その者の居所又は氏名が明らかでない場合等を除き,書面により,反則行為となるべき事実の要旨,反則行為の種別等を告知すべきものとされ(道路交通法126条1項),同書面には,交通反則通告制度の手続を理解させるため必要な事項を記載するものとされている(同条2項)が,その交付に当たり,上記の範囲を超えて,反則者の求めに応じて反則行為となるべき事実を証する資料・証拠等を提示ないし教示することは求められていない。また,同事実及びその犯人の確定は同法違反の罪についての捜査として行われるものであるが,捜査の手続上,司法警察職員としての警察官が被疑者である反則者に収集された証拠等を提示ないし開示する必要があるとする理由を見いだすことはできない。その他,当審弁護人が指摘する警察法等の関係法令を検討しても,上記提示等を必要とする法的な根拠があるということはできない。
そうすると,本件の事実経過の下において,被告人が赤色の灯火信号を看過したことを示す本件車載カメラ映像の提示を求め,それが存在するにもかかわらず,警察官がそのようなものはないと述べたことがあったとしても,交通反則通告制度の手続について誤解を招くようなものでもなく,警察官は,道路交通法の上記規定に従い,被告人に交通反則告知書の記載内容等を説明してこれを交付しようとしたところ,被告人が反則行為となるべき事実を否認して受領を拒否したというのであるから,同法130条2号にいう「書面の受領を拒んだ」場合に該当することは明らかであり,これを否定すべき事情はないということができる。

警察がドラレコを見せる法律上の義務もなければ根拠もないし、迅速に取締りする上ではイチイチ違反者の要望を聞いていたら仕事にならない。
なので「違反してない」と言い張り争いたいなら

 

「法廷でお願いシャス!以上っす」

 

こういうシステムだからですね。

自信があるなら

争う権利を保証した制度ですし、違反してない自信があるなら法廷に行くしかないシステムです。
まあ、不起訴がオチですが。

 

なお、以前も書いたように、令和元年6月3日最高裁判決は「信号無視してない!」と主張しドラレコを見せろと要求した被告人に対し

 

「ドラレコ?そんなもんねーよ」(警察官)

 

と語ったことから最高裁まで行った珍しい事件です。
検察官の取り調べで初めてドラレコを見た被告人が

 

「やっぱり違反認めます!反則金でお願いシャス!」

 

と言ったものの、検察官はサクっと起訴。
一審は当然有罪ですが、大阪高裁が画期的判決を下してしまう。

2 原判決は,被告人が交通反則告知書の受領を拒んだのは,本件車載カメラ映像が存在するにもかかわらず,そのようなものはないと言って提示を拒否した警察官らの不誠実な対応が一因を成しているというべきであるからそのことを棚に上げ,一旦交通反則告知書の受領を拒んだ以上その効果は覆せないなどとして,道路交通法130条2号に当たると解するのは,信義に反するものであり,被告人が本件車載カメラ映像を見せられた後,速やかに交通反則告知書受領の意思を示した本件のような場合は,被告人が一旦交通反則告知書の受領を拒むという事態があったとしても,同号に当たらないと解するのが相当であるとする。

ドラレコ見せない警察官が悪いヨ!そんなの信義に反するヨ!」と大阪高裁が語り始めたもんだから、大騒ぎになった事件です。
もし最高裁が大阪高裁の判決を是認したら、今後は違反者が「ドラレコ見せろ」と言ってきたら見せないと問題になっていました。

 

まあ、最高裁がガッツリ否定しましたが笑。

 

赤信号無視で最高裁まで行くなんて、いろいろ不思議ですよね。

 

なので「ドラレコ見せて」というだけ無駄な気がします。
迅速な解決を目指す制度ですから。
見たいなら検察までどうぞというシステムですが、検察まで行ったなら既に反則金では解決できない仕組みです。

コメント

  1. カモがネギしょってる より:

    見せずに揉めて時間を取られるくらいなら、見せてしまった方が迅速に話が終わると思うのは私だけでしょうか?

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      それが正論な気もするのですが、それを言い出すと後になってから「やっぱり見せて」みたいな事例が増えて面倒なんじゃないですかね。
      一律で見せない対応に決めてしまうしかないのだと思いますが。

      • カモがネギしょってる より:

        交通違反だと、何で停めたか分かりますか的なやり取りから、信号無視です。そんなはずはない。確かにギリギリだったけど、黄色で通ったでしょ。ハッキリ見ていました。みたいなやり取りが大なり小なりあると思うので、何で停めたか分かりますか?は意識付けの意味もあるので必要かもしれませんが、「信号無視です。これを見てください。」ってドラレコの動画を直ぐに出せるシステムを作る方が効率が良いと思いますけど、どうでしょうか?

        • roadbikenavi より:

          正直なところ、そのほうが早いと思いますよ笑。

          けどそれをやりだすとキリがないという話なので、行政が得意とする「一律お断り」なんだと思います。

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