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危ないのは歩道なのか?運転なのか?

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ちょっと前にも取り上げましたが、

 

これは酷いな…ヘルメット関係ないじゃん。
今朝書いた件。 被害者はヘルメットをかぶってなかったと報道がありましたが、そもそも損傷部位は報道されてない。 しかしさ、 「たとえあの日ヘルメットをかぶっていても、今回の事故はヘルメットが死亡理由じゃないので。死因は外傷性ショックで、右のあ...

 

歩道を通行していた自転車と、道路外に左折したクルマの事故の話。

 

「危ない歩道」とのタイトルで記事が配信されていますが…

危ない歩道”を追跡 なぜ自転車の33歳女性は亡くなったのか?歩道に潜む“死角”とは

 

“危ない歩道”を追跡 なぜ自転車の33歳女性は亡くなったのか?歩道に潜む“死角”とは | 富山県のニュース|チューリップテレビ (1ページ)
今年1月、富山市で歩道を自転車に乗っていた33の女性が、軽乗用車に巻き込まれ亡くなった事故。私たちは死亡事故にいたった“危ない歩道”を追跡してきました。事故の原因を取材すると、軽乗用車の運転手の不注意… (1ページ)

危ないのは歩道なのか?
それとも運転なのか?

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危ないのは歩道?運転?

まず思うのですが、やたらと「死角」を報道してますよね。

事故の原因を取材すると、軽乗用車の運転手の不注意に加えて、歩道に“死角”が生まれかねない状況が浮かんできました。

 

“危ない歩道”を追跡 なぜ自転車の33歳女性は亡くなったのか?歩道に潜む“死角”とは | 富山県のニュース|チューリップテレビ (1ページ)
今年1月、富山市で歩道を自転車に乗っていた33の女性が、軽乗用車に巻き込まれ亡くなった事故。私たちは死亡事故にいたった“危ない歩道”を追跡してきました。事故の原因を取材すると、軽乗用車の運転手の不注意… (1ページ)

歩道に死角が生まれる場所なんて、いくらでもあると思うのね。

そういう場所全てに「一時停止を明認した看板」とやらを立てる気なのでしょうか?
そもそも一時停止の看板を立てたところで遵守されるのかすら怪しいところですし。

(通行区分)
第十七条 車両は、歩道又は路側帯(以下この条において「歩道等」という。)と車道の区別のある道路においては、車道を通行しなければならない。ただし、道路外の施設又は場所に出入するためやむを得ない場合において歩道等を横断するとき、又は第四十七条第三項若しくは第四十八条の規定により歩道等で停車し、若しくは駐車するため必要な限度において歩道等を通行するときは、この限りでない。
2 前項ただし書の場合において、車両は、歩道等に入る直前で一時停止し、かつ、歩行者の通行を妨げないようにしなければならない

正直なところ17条2項の一時停止義務って驚くほど遵守率が低い。
強制的に一時停止義務を課す理由を考えると、停止して確認させないと危険だからでしょう。

このように左後方は死角になりやすい上、歩道の構造から死角ができてしまう場合もあるから、強制的に一時停止させて「確認させる」ところに意味がある。
看板立てたところで意味があるのかは知りませんが、根本的な話で言えば17条2項の遵守率が低いところに問題があるわけで、これを守るように促して行かないとダメ。

 

下手すりゃ看板があるところは一時停止、看板がないところは一時停止しなくてもいいかのような誤解に繋がります。

 

警備員を配置するにしても、じゃあ警備員がいないところはどうするんだ?となるだけなので、結局は「一時停止義務」をきちんと守るようにアナウンスしていくしかないのよね。

しかし、永森さんの家族が当時の防犯カメラの映像を確認したところ、車は一時停止しないまま左折して、自転車の前輪に衝突。そのまま倒れた永森さんに乗り上げたといいます。

 

“危ない歩道”を追跡 なぜ自転車の33歳女性は亡くなったのか?歩道に潜む“死角”とは | 富山県のニュース|チューリップテレビ (2ページ)
今年1月、富山市で歩道を自転車に乗っていた33の女性が、軽乗用車に巻き込まれ亡くなった事故。私たちは死亡事故にいたった“危ない歩道”を追跡してきました。事故の原因を取材すると、軽乗用車の運転手の不注意… (2ページ)

そもそも、「危ない歩道」とやらはここだけに限った話ではない。
「危ない歩道」とやらを全てピックアップして看板立てたり、警備員配置するのですかね。

 

歩道が危ないのではなく、運転者がルールを守らないから「危ない状況を創作している」の間違いではなかろうか。

 

ただし、明らかに見通しが悪いところにはミラー設置などがあったほうがいいとは思いますが、ミラー設置しても一時停止と確認をしなければ無意味でしかない。

繰り返しますが、「一時停止では足りない」とした判例

こちらでも書きましたが「歩道を横切る前に一時停止では足りない」とした判例が令和になってから出ています。

 

歩道を通行する自転車と、路外に出るために左折するクルマ。
このような事故は悲しいところですが、 県道を走っていた車がこちらの駐車場に入ろうと左折したところ走ってきた自転車と衝突したということです 要は歩道通行自転車と、路外に出るために左折したクルマが歩道上で衝突した事故になります。 一時停止 歩道...

 

判例は広島高裁 令和3年9月16日。
過失運転傷害被告事件です。

 

上の報道とは異なり、道路外から歩道を横切り車道に進出する際に、歩道通行自転車と衝突した事故

 

事故概要。

道路外のガソリンスタンドから進出する際に、歩道左側には高さ2.5mの壁があり左側が見えないにもかかわらず、徐行進行した。
そこに歩道通行する自転車(時速39.6キロ)が衝突した事故になります。

 

この判例については異常とも言える高速度で歩道を進行した自転車もどうかと思うけど、一審は「歩道を横切る際に一時停止を怠った過失」として有罪。

 

一審が認めた「罪となる事実」がこれ。

被告人は,平成30年7月10日午後1時30分頃,普通乗用自動車(以下「被告人車両」という。)を運転し,広島市a区bc丁目d番e号所在のガソリンスタンド(以下「本件ガソリンスタンド」という。)敷地内からその北方に接する歩道(以下「本件歩道」という。)を通過して車道(以下「本件車道」という。)へ向け進出するに当たり,本件歩道手前で一時停止し,本件歩道を通行する自転車等の有無及びその安全を確認して進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り,本件歩道手前で一時停止せず,本件歩道を通行する自転車等の有無及びその安全確認不十分のまま漫然時速約5kmで進行した過失により,折から本件歩道を左から右へ向け進行して来たA(当時41歳)運転の自転車(以下「A自転車」という。)に気付かず,A自転車右側に自車右前部を衝突させてAを路上に転倒させ,よって,Aに入院加療150日間を要する脊髄損傷等の傷害を負わせた。

ところが広島高裁は「是認できない」として一審判決を破棄します。
破棄した理由がこちら。

原判決は,その説示に照らし,本位的訴因の内容を⑴で当裁判所が理解したのと同様の趣旨で捉えた上でこれを是認し,そのとおりの犯罪事実を認定したものといえる。しかしながら,以下の理由からこの判断は是認することができない。

 

ア 被告人車両の進路に沿って本件ガソリンスタンド敷地内から本件歩道に進出しようとする場合,左方の見通しが不良であったことは原判決も説示するところである。4のとおり,本件においては,高さ2.5mの壁が本件ガソリンスタンド敷地の西端に南北方向に設けられ,本件ガソリンスタンド敷地と本件歩道との境界線上まで及んでいるのみならず,その北端付近には看板等も設置されている。加えて,被告人車両においては,車両先端からルームミラーまでの距離が約120cm,同じく運転席の背もたれまでの距離がおおよそ160cmであるから,本件歩道手前の地点に被告人車両を停止させた状態では,運転者である被告人は,本件歩道と本件ガソリンスタンドの境界線から1m以上手前(南側)の地点にいることになる。記録によれば,同地点からは,上記壁等遮へい物の存在により,本件歩道上の左方の状況については,視認することが困難な状況にあったものと認められる。
そうすると,被告人が仮に本件歩道手前の地点で一時停止をしても,左方から来るA自転車について視認することは困難であるから,本件歩道手前の地点で一時停止をして左右等の安全確認を行ったとしても,左方から来るA自転車を発見,視認して衝突回避措置を執ることはできなかったことになる。
したがって,本位的訴因において本件過失の根拠となる注意義務として行うべきとされた本件歩道手前の地点での一時停止及び左右等の安全確認措置は,本件事故の回避を可能ならしめる有効な措置とはいえず,本位的訴因における上記注意義務及びその違反は,被告人に過失責任を問うことのできないものであったといわざるを得ない。
原判決は,このような過失責任を問うことのできない注意義務を設定した本位的訴因をそのまま是認した点において,その事実認定は,論理則,経験則等に違反した不合理なものといわざるを得ない。

イ また,原判決は,本位的訴因における過失行為と本件結果との因果関係を肯定し,本件結果を本位的訴因における注意義務違反,つまり,本件歩道手前の地点における一時停止及び安全確認の各義務違反に帰責しているが,この判断についても是認することはできない。
すなわち,本件においては,上記のとおり,被告人には,本位的訴因に係る本件歩道手前の地点での一時停止義務及び安全確認義務を課すことはできず,本位的訴因における被告人の行為に,本件結果を帰責することは許されない。
また,仮に,被告人が,本位的訴因における本件歩道手前の地点での一時停止及び左右等の安全確認の各措置を執ったとしても,A自転車が左方から進行して来ることに気付くことができず,ひいては,本件結果を回避することができる有効な措置を執ることができなかったものと認められ,原判決は,当該各措置を履行したとしても,予見することも有効な回避措置を執ることもできないまま発生した結果を被告人に帰責するものであって是認することができない。
この点,原判決は,被告人が本件歩道手前の地点で一時停止をしていれば,被告人車両が本件衝突地点に到達する前にA自転車が同地点を通過し終えていることになるため,本件事故は発生しなかったことを指摘し,これを主たる根拠として,本件歩道手前の地点における一時停止及び安全確認義務違反と本件結果との因果関係を肯定している
しかしながら,上記のような理屈によって,本件において,被告人が本件歩道手前の地点に到達した時点で一時停止をしていたら,その分だけ本件衝突地点への到達が遅れ,本件結果を回避することができたとはいえるとしても,それゆえに,被告人に対し,本件歩道手前の地点での一時停止義務を課し,同義務違反と本件結果との間の因果関係を肯定することは許されない。
すなわち,本位的訴因にいう本件歩道手前の地点での一時停止義務は,飽くまで,本件歩道に進出するに当たって,本件歩道を通行する自転車等の有無及びその安全を確認するために課されるものであり,本件歩道上を左方から進行して来る自転車等との本件衝突地点における衝突を避けるために本件衝突地点への到達を遅らせることを目的として課されるものではない。後者の目的のために本件歩道手前の地点での一時停止義務を課すのであれば,本件歩道上を左方から進行して来る自転車等がいつ本件衝突地点に到達するか予見可能である必要があるが,本件において,本件歩道手前の地点からは本件歩道上の左方の見通しが不良であるため,そのような予見は不可能であるから,後者の目的のために本件歩道手前の地点での一時停止義務を課すことはできないというべきである。また,原判決がいう理屈で本件歩道手前の地点での一時停止義務違反と本件結果との因果関係を肯定することは,結局のところ,一時停止により本件衝突地点への到達が遅れることによって時間差が生じ,偶然に結果を回避できた可能性を根拠として被告人に本件結果を帰責することになり,ひいては,A自転車が本件衝突地点に到達した時点がいつであったかという偶然の事情によって結論が左右されることになって,妥当性を欠く。

そもそも壁で歩道左側が見えてないのだから、一時停止したとしてもやはり見えない。
一時停止したら「偶然」事故を回避できたかもしれないけど、そもそも見えてないのだから一時停止しても事故を回避する有効な方法にはならないとしている。

 

一審判決を破棄してますが、二審は新たに過失認定した上で有罪。
そこで新たに認定された注意義務違反がこちら。

本件ガソリンスタンド敷地内からその北方に接する本件歩道を通過して本件車道へ向け進出するに当たり,本件ガソリンスタンドの出入口左方には壁や看板等が設置されていて左方の見通しが悪く,本件歩道を進行する自転車等の有無及びその安全を確認するのが困難であったから,本件歩道手前で一時停止した上,小刻みに停止・発進を繰り返すなどして,本件歩道を通行する自転車等の有無及びその安全を確認して進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り,本件歩道手前で一時停止せず,本件歩道を通行する自転車等の有無及びその安全確認不十分のまま漫然時速約4.2kmで進行した過失により,折から本件歩道を左から右へ向け進行して来たA(当時41歳)運転のA自転車に気付かず,A自転車右側に自車右前部を衝突させてAを路上に転倒させ,よって,Aに入院加療150日間を要する脊髄損傷等の傷害を負わせたものである。

 

広島高裁 令和3年9月16日

一時停止したあとに、「小刻みに停止・発進を繰り返すなどして」安全を確認して進行すべき義務を怠った過失として有罪です。

一審 二審
本件歩道手前で一時停止せず,本件歩道を通行する自転車等の有無及びその安全確認不十分のまま漫然時速約5kmで進行した過失 本件歩道手前で一時停止した上,小刻みに停止・発進を繰り返すなどして,本件歩道を通行する自転車等の有無及びその安全を確認して進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り,本件歩道手前で一時停止せず,本件歩道を通行する自転車等の有無及びその安全確認不十分のまま漫然時速約4.2kmで進行した過失

一時停止しても死角があり「確認」できないのだから、

一時停止後にわずかに前進して停止して、確認。

さらに一時停止後にわずかに前進して停止して、確認。

死角がある以上、歩行者がいるかもしれないしジョギングしている人がいるかもしれないし、自転車がいるかもしれない。
見えないということは結局何がいるのかわからないのだし、少しずつ見える範囲を増やして確認する義務を認めた判例です。

 

一時停止せずに漠然進行すれば、偶然何にも衝突しない可能性もありますが、何かに衝突する可能性も当然ある。
それを確認するまでは歩道を横切ることは許されない。

 

結局、こんな感じで死角がある歩道なんてたくさんあるわけで、それらを探しては看板立てたり警備員を配置するのか?という疑問があるのです。
まずは運転者のルール遵守が先なんじゃないですかね。

 

なお当該判例は自転車が異常なスピードで通行していたことになりますが、仮に死角から出てきたのが歩行者なら、当然加害者になります。

歩道を猛スピードで走る自転車も当然なんとかしなきゃならない。

こんな事故は

こんな事故は報道されてなくてもまあまあ起きています。
死角だから「危ない歩道」なんじゃなくて、やるべきことをしないから「歩道を危なくした」のほうが正解なんじゃないかとすら思うのですが。

 

漠然進行するから「歩道が危なくなる」のであって、歩道が危ないわけじゃないように感じてしまいますが、いろんなところに死角があることを理解して注意しなければいくら看板を立てたりしても、違う歩道で事故が起きるだけなのではないでしょうか。

 

そのたびに看板立てたり警備員配置するのですかね。
植木で見づらいからカットする…みたいな話ならわかりますが、冒頭の事故現場って遮る構造物はないと思うのね。

 


コメント

  1. 通りすがり より:

    ブログを拝見させていただいたしがない自転車乗りですが、自転車の安全な乗り方に対しては共感するところが多いです。自身の身の安全の確保は、結局の所自分でするしかないというのが私見です。自身が法令や優先権等を遵守した上でも、事故に合わない確率は0にはなりません(法令違反等してもかまわないという主張ではありません。)。
    自転車対自動車で事故にあえばほぼ確実に自転車側がただではすみません。自転車乗りが自動車側の危険運転や法令違反を挙げる事がありますが、法令は事故時の衝撃から身体を守ってはくれません。自転車乗りには法令の理解と共に、危機察知能力を磨く必要があると考えております。
    君子危うきに近寄らずではないですが、例えば追い越したそうな自動車が後方に着いたら道を譲る、狭い・見通しが悪いといった危険なルートを避ける、避けられない場合は徐行する等といったことです(徐行したらロードの高速性がとか考える方もいらっしゃるかもしれませんが、ロードの本質は競技自転車であり、日常の道路事情とは根本的には相容れない存在と考えてます。)。また、自身が加害者になる確率も低減させられます。

    自動車だけではなく、逆走、一時停止違反、無灯火、ながらスマホ等の法令違反や、信号待ち自動車に対する無理なすり抜け等の悪質な自転車運転をする方も数多く見てきました。そういった光景を目にするたびに、危険と思うと同時に命が惜しくないのか?と思います。上記の一時停止〜等の内容は、法律であると共に、従えばより安全に通行できるものです(手信号等はちょっと現実に即してないなとは感じますが)。
     違反・危険行為は老若男女、ママチャリ、クロス、ロードも関係ないというのが実体験です。このような事がまかり通っているのは、幼少期の自転車乗りはじめの周囲の環境が大きいのではと考えます。お恥ずかしい話ですが、10代の自分を振り返ると数々の危険行為を犯し、かつ事故にもあっております。自身が自転車の安全運転を見直すきっかけは大学生時のロード購入と自動車免許取得となります。私にできることといえば、身近な人間に交通ルールを教えることとそれを遵守する姿見せるだけぐらいですが、少しでも事故が減らせればとはと思います。

    過去の記事に対して拙い感想、長文失礼いたしました。

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      法令を守ると必然的に防衛運転になると考えてますが、自転車の場合は法令がおかしい点が多いので、問題意識を持っていただき法改正を目指しています。

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