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「ながら運転」について、警察が曖昧な回答をする理由。

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こんな記事が出ています。

「食べながら、飲みながら運転」は違反? 警察に確認すると…

実はこうした「ながら運転」。警察は、道路交通法第70条に定められている安全運転義務に違反する可能性があると指摘します。

米子警察署 交通第一課 野間陽介 課長
「交通の状況、他の車両、ご自身の車両の状況にもよりますが、食べながら、または飲みながら運転する行為というのは、車のハンドルであったり、ブレーキ操作を的確に行えない可能性がありますので、道路交通法に抵触する可能性があります

 

運転しながらハンバーガー食べるのは交通違反? 警察に確認すると… スマホホルダー使用にも注意点(BSS山陰放送) - Yahoo!ニュース
行楽シーズンを迎え、車でドライブするケースも増えるかと思いますが、運転中にハンバーガーやおにぎりを食べたり、お茶を飲んだり、運転手のそんなシーンを見かけることがあるかもしれません。実はこれ、法律違反

だいぶ曖昧な回答になっているので

いろんな人
いろんな人
結局違反なの?どっち?
現場の警察官次第で恣意的な取り締まりしてんの?

と、疑問に思う人もいるかと。
このような回答になるのには理由があります。

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安全運転義務違反

安全運転義務は道路交通法70条に規定されています。

(安全運転の義務)
第七十条 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。

この条文はかなりややこしい。
説明の前に具体的な判例からみていきましょう。

 

この判例は原付の運転者が左手に左官用の道具を持って片手運転したことについて、安全運転義務違反に問われています。

※現在は公安委員会遵守事項違反になるのですが、当時はその規定がなかった。

このように判断されています。

まっすぐ平坦で人や車両の往来も頻繁ではない道路での片手運転 人やクルマの往来も頻繁な交差点を右折する際の片手運転
安全運転義務違反ではない 安全運転義務違反

では具体的内容を。

法70条は現実の具体的な状況が一つの構成要件要素となつていることを考えなければならない。すくなくとも、右70条にいういわゆる安全運転義務に反したというためには、道路交通及び当該車両等の具体的な状況からみて、他人の生命、身体に危害を及ぼすような虞れが、現に存在した場合でなければならない。従つて、まつたく人車の往来のない道路で、いかに乱暴な危険な運転をしたとしても、それだけでは本条違反とはならないのであり、他人に危害を及ぼす虞れのある客観的な状況を必要とするのである。もつとも本条は、現実に他人に危害を及ぼしたことも、具体的な危険が発生したことも必要としない。このような意味で本条は抽象的危険犯ということができる。

 

本件犯罪事実を認定した各証拠によれば、被告人が運転した原動機付自転車の左ハンドルには、ライトの切替スイツチとその下方にホーンボタンの装置のみがほどこされている。いわゆるノークラツチのもので、当時の状況としては、これらの装置を使用する必要はなかつたと考えられる。そうであれば、被告人には右装置の操作懈怠はなく、この点に義務違反はない。そこで被告人の左手離し運転の状態をみると平衡を失したり、ぐらつき、ジグザクな走行になつたわけではなく、免許証取得の年数からみてもとくに運転技術が拙劣であることもなく、また左手に下げた左官用の手板、こても1キロ程度の重量しかなく、道路も比較的平坦な、また狭隘という程でもなく、本件交差点附近をのぞきかなりまつすぐな状態にあり、すくなくとも判示交差点にさしかかるまでは人車の往来もさして頻繁でなかつたのであるから、かかる状況のもとでは、被告人の右行為をもつて他人に危害を及ぼす虞れがあつたとすることはできない

 

ところが被告人はそのまま走行を続け、遠軽町大通り南四丁目附近の交差点を右折して、ここで当時交通違反者公開取締中の警察官の指示をうけ停止したのであるが、この交差点は、北見方面と紋別方面を結ぶ幹線と岩見通りと西町とを接続する道路とが変則的に交差する四叉路で、車の往来も頻繁であり、またこの交差点の附近には、信号機の設置されていない横断歩道が設けられていて、人の往来も頻繁である。被告人はこの交差点を判示のような状態で、約20キロの速度をもつて通過したのであるが、かような交通繁雑な路上では、同一方向の車両等、対向車両等および横断中の歩行者との近接の度合も一段と高くなるから、これら人車との接触回避を要する事態も容易に生じうべき状況にある。このような場合被告人としては、いつでも両ハンドルを把握できるような体勢をもつて進行しなければならない安全運転上の義務があつたのに、判示のような状態で原動機付自転車を運転したところに法70条の違反があつた。

 

遠軽簡裁 昭和40年11月27日

同じ「片手運転」でも、人やクルマの往来も頻繁ではない平坦なまっすぐ道を通行したのは安全運転義務違反ではないとし、往来が頻繁な交差点を右折する際に片手運転だったことは安全運転義務違反だとしている。

 

なぜこうなるかは条文にあります。

(安全運転の義務)
第七十条 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。

「道路、交通及び当該車両等の状況に応じ」なので、「その状況において」他人に危害を及ぼすおそれがある運転だったかになる。

 

人やクルマの往来も少ない平坦なまっすぐ道路を片手運転したところで、「他人」に危害を及ぼすおそれがない。
この規定ってこういう仕組み。

○道路or交通or当該車両等の状況を認定

○「その状況において」、「他人に」危害を及ぼすおそれがある方法or速度を認定

誰もいないし見通し最高のところで片手運転したところで、「他人」すらいないのだから危害を及ぼすおそれがない。
人やクルマがわんさかいる中なら、片手運転したら「他人」に危害を及ぼすおそれのある方法と言える。

 

同じ「片手運転」でも、状況によって違反になったりならなかったりする理由は、そういう規定だからです。
状況に合わせて空気読んで運転しろ!という規定ですから。

 

なので、「片手運転は違反なのか?」と聞かれても、状況次第としか回答できないのは「そういう条文だから」としか言えません。

あまり深いことは考えずに

要は「状況に合わせて安全運転しろ」というだけなので、状況次第で求められる慎重さが違うのは当然のこと。
慎重に行くべきタイミングで雑なプレイをしたら違反になるわけですが、例えば右折中にラーメン食べるアホはいないでしょ。
まあ、ラーメン食べながら運転はないか。

 

警察が曖昧な回答になる理由は、「どういう道路や交通の状況だったか」が確定しない限りわからないからですが、いかなるときも甘く見ないほうがいいのは間違いないかと。

 

なお、スマホの注視や通話については違反です。


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