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踏み間違い事故は執行猶予無しの実刑判決に。

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昨年、整備工場から発進したクルマが歩道上の親子を跳ねるというあり得ない事故がありましたが、執行猶予無しの実刑判決だそうな。

東京地裁は19日の判決で、「ブレーキと間違えてアクセルを踏み込んでいて、的確に操作するという基本的な注意義務を怠った」と指摘。その上で、「突然命を奪われた母子2人の苦痛や無念さは計り知れず、目の前で妻子を失った遺族の喪失感や辛さはとても大きく結果は極めて重大」として漆原被告に禁錮3年の実刑判決を言い渡しました。

【速報】元自動車整備士の男(51)に禁錮3年の実刑判決 東京・杉並区の母子死亡事故 東京地裁(日テレNEWS NNN) - Yahoo!ニュース
去年、東京・杉並区の自動車整備工場から発進した車で歩道の親子をひき死亡させた罪に問われている男の裁判で、東京地裁は19日、男に禁錮3年の実刑判決を言い渡しました。元自動車整備士の漆原宏太被告は、

やや珍しいと思うのは、被告人は罪の成否を争っていないので「罪を認めていた」上に被害者遺族が強い処罰感情を持っていたわけではないけど執行猶予無し。

公訴事実について、被告は「間違いありません」と認めている。

(中略)

公判では、被害者遺族の意見陳述も、遺族側の代理人弁護士が代読するかたちで行われた。

亡くなった母子の夫、そして父である男性は、被告に対して「悔しさや残念な気持ちはあるものの、事故当初から憎しみや恨みはない」と言及。その上で、「事故を起こしたことは彼(被告)の本意でないにせよ、しっかりと罪に向き合って償ってほしい。その後はいち早く社会復帰して、少しでも世の中のためになる行動をしてほしい」と述べた。

杉並・母子死亡事故「踏み間違い」元自動車整備士に禁錮5年求刑 遺族「憎しみや恨みはない」 安全対策には強い疑問(弁護士JPニュース) - Yahoo!ニュース
昨年12月、東京都杉並区で歩道を歩いていた母子が、道路に面した自動車整備工場から急発進した車にひかれて死亡した。この事故で車を運転し、過失運転致死罪に問われた元整備士・漆原宏太被告(51)の初公判が

裁判所は整備工場が無保険であることや安全対策に強い関心を示していたそうな。

一方、出庫時に誘導員を配置していなかったことや、被告と勤務先の自動車整備工場が今回のような事故が起きた際の保険に入っていなかったことなど、安全対策への強い疑問も示された。

「他人の車を預かる以上、ミスがある前提で安全対策するべきだった。その備えであるはずの保険に入っていなかったことに驚がくしている。人通りの多い路面店で平気で車を預かり整備していた、そういう工場は他にもたくさんあるのではないか。国や自治体は、自動車整備会社の保険加入を義務化してほしい」

これらの安全対策については、裁判所も被告人に確認するなど、関心を示している様子だった。

杉並・母子死亡事故「踏み間違い」元自動車整備士に禁錮5年求刑 遺族「憎しみや恨みはない」 安全対策には強い疑問(弁護士JPニュース) - Yahoo!ニュース
昨年12月、東京都杉並区で歩道を歩いていた母子が、道路に面した自動車整備工場から急発進した車にひかれて死亡した。この事故で車を運転し、過失運転致死罪に問われた元整備士・漆原宏太被告(51)の初公判が

この手の事故に執行猶予がつくのはお決まりパターン化していて非難の対象にもなりますが、お決まり執行猶予理由は①反省しているか、②弁済される見込みがあるか(保険加入の有無)、③被害者の過失などが考慮されます。
今回は被害者に何ら過失がない事故です。

 

行為の悪質性という観点で考えるとちょっと前にあった「時速120キロ直進車」は禁錮3年、執行猶予5年(広島地裁福山支部 令和6年6月4日)で、なぜ執行猶予なのか疑問を持つ人が多いのでは?

本件は、被告人が、交差点を直進する際、指定最高速度を超過して交差点に進入し、交差点を右折進行しようとした対向車と衝突し、対向車の同乗者1名を死亡させ、対向車の運転手及び交差点付近に居合わせた者を負傷させたという事案である。
被告人は、最高速度を遵守して自動車を進行させるという自動車運転者としての基本的な注意義務を怠り、指定最高速度の2倍以上の速度で自動車を走行させたものであり、過失の程度は大きい。当時9歳の被害者1名を死亡させ、被害者2名に判示の重傷を負わせたという結果は誠に重大である。死亡した被害者の家族の悲しみは深く、その処罰感情が厳しいのも当然である。被告人には速度超過の交通違反歴もあり、交通規範意識が低いこともうかがわれる。これらの事情からは、本件は、実刑の選択も視野に入る事案であるといえなくもない。他方で、本件は、弁護人が指摘するとおり、交差点を右折するに当たり、対向直進してくる車両を十分に確認しなかったことなどの対向車側の事情も結果に影響を及ぼしているとみることができるから、被告人の過失に対しては厳しい非難は免れないとしても、被告人を直ちに実刑に処することは躊躇される。
これらに加えて、被告人が公訴事実を認めていること、任意保険による損害の填補が将来見込まれること、被告人の妻が証人として出廷して被告人の監督等を約束していること、被告人にはこれまでに前科がないことなどの事情を考慮すると、被告人に対しては、主文の刑を量定するとともに、法律上最長の期間を定めてその刑の執行を猶予するのが相当である。

広島地裁福山支部 令和6年6月4日

あまり知られていない気がするけど、右折対直進の「直進優先」は著しい速度超過の場合まで直進優先ではないので、右折車の過失はあっても軽微なんじゃないかと思われます。
事実、別事案ですが時速120キロ直進車と右折車の事故について、民事過失割合は直進車100%とした判例もある。

時速120キロ直進車と対向右折車の衝突事故、2つの判例から。
ちょっと前になりますが、時速120キロで交差点を直進し対向右折車と衝突した事故について、過失運転致死傷罪(執行猶予)とした報道がありました。スポーツカーで交差点を時速約120キロで走行し、衝突した軽乗用車に乗っていた9歳女児を死亡させたなど...

量刑の均衡を考えると、なぜ時速120キロ直進車は執行猶予なのか?と思う人が多いのではなかろうか。
踏み間違いという基本的な注意を怠ったことも当然「重過失」と言えますが、執行猶予無しにした理由が気になるところです。

 

まあ、整備工場の安全対策の不備や無保険については、被告人よりも整備工場の経営者が責められる問題だと思う。
被害者への賠償はどうしたのか疑問がありますが、整備工場の経営者が自腹で払ったのだろうか?

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