PVアクセスランキング にほんブログ村
スポンサーリンク

ヘルメット着用義務がないトライクでも、ノーヘルは過失扱いになることも。

blog
スポンサーリンク

トライクって道路交通法上はクルマ扱いなので、交通法規上はヘルメット着用義務はありませんよね。

 

じゃあ事故が起きた際にノーヘルだったことが過失にならないかというと、それは別問題。

スポンサーリンク

トライクの「ノーヘル」を過失扱いした事例

判例は東京地裁 令和元年8月23日。
事故の態様は、加害者が路外右折、被害者(トライク)が対向直進。

 

特段争う要素がない事故に思えますが、一般的な基本過失割合は路外右折車が90%。
何を揉めているかというと、法的義務としてヘルメット着用義務がないトライクの「ノーヘル」を過失と認めるか?がポイントになってます。

 

結論からいうと、東京地裁はトライクの「ノーヘル」を過失として認めている。
以前も書いてますが、バイクのヘルメットが努力義務だった昭和の時代でもノーヘルを過失と認めた事例があります。

自転車ヘルメット努力義務化と、事故時の過失割合。
以前もチラっと書きましたが、令和4年改正道路交通法では、全年齢に対し自転車ヘルメットの努力義務が定められました。 これが事故時の過失割合に影響するのでしょうか? ヘルメットと過失割合 実はこれ、ノーヘルオートバイ(原付)については以下の判例...

ただしノーヘルが過失となるには、「ヘルメットをしていれば被害が小さくなったはず」という場合のみ。
被害者が足の骨折をしたのに、ヘルメット着用の有無は関係ありませんから…

 

この事例を挙げたのはちょっと理由がありまして。

道路交通法と民事の過失は別

民事の過失って道路交通法がベースにはあるものの、道路交通法違反がなくても過失になります。
要は別の概念だし、目的とするところも違う。

 

トライクに乗る人がヘルメットを着用してなくてもなんとも思いませんが、事故になった際にはノーヘル分の責任を負うことも。
自転車でもノーヘルだったことを過失と認めた判例があるにはありますが、

自転車ヘルメットの「努力義務化」は、事故時の過失割合に影響するか?判例から検討。
自転車ヘルメットの「努力義務化」によって、事故に遭った際にノーヘルが過失になる可能性があるという報道がいくつか出ています。 実際のところ既にいくつかの自治体では「ヘルメットの努力義務」が定められていますが、判例から検討してみます。 ノーヘル...

東京地裁 令和4年8月22日判決は被害者(自転車)がノーヘルだったことを過失と認定。
過失認定した根拠として以下の説示。

原告は、自転車横断帯を走行していたとはいえ、本件交差点を左折して自転車横断帯に進行してくる車両の有無、動静に注意して進行すべき義務があり、被告車両の動静を注視していれば、減速ないし停止することで本件事故を回避できたといえるから、これを怠った過失があるといえる。そして、ヘルメット着用の有無についても、条例上は努力義務に留まるものの、原告が、本件事故によって実際に頭部を負傷したことを踏まえると、ヘルメットを着用していれば、被害を軽減できた可能性も否定できず、原告の過失を考慮する際の事情といえる。

東京地裁 令和4年8月22日

ただまあ、ほとんどの判例では自転車のノーヘルは過失とは認定されていない。
なぜこの判例ではノーヘルを過失扱いしたか推測するに、この自転車がロードバイクだったことが考えられます。

 

ロードバイクではヘルメット着用はもはや当たり前ですから…
子供自転車の事例ではこのような説示になっている。

なお、原告は、本件事故当時ヘルメットを装着していなかったと認められるが、児童のヘルメット装着が定着しているとはいえない情勢に照らすと、この事情は過失割合の認定においては影響を及ぼさない。

大阪地裁 令和元年10月31日

自転車や歩行者の過失については、「その行為が定着しているか?」も過失認定のポイント。
それこそ逆走自転車の場合も、「左側通行が定着していないこと」を一つの理由に挙げている。

足踏み式自転車においては、左側通行が徹底されているとはいえない現状であること、足踏み式自転車においては通常速度がそれほど速くないことから、自己の進路上に対向する足踏み式自転車が存在したとしても、停止や回避の措置により衝突を回避することは極めて容易であることなどを考慮すると、本件道路のような狭路で自転車が正面衝突した場合、過失割合は、基本的には五分五分と考えるべきである。

大阪地裁 平成28年9月16日

道路交通法の義務のみが過失だという法律にはなってないし、道路交通法の義務違反があってもさほど考慮されないことすらありますが、道路交通法のみならずどのように扱われているかは知っておいたほうがよい。

コメント

  1. きゃばりーのらんぱんて より:

    3輪トライクとサイドカーでヘルメット着用義務が違う理由がわからない。。
    跨ってナマ身なんだから、危険度は同等だと思うのですが。
    単独事故以外だと簡単に相手が死亡事故の加害者にされそうです。
    個体数が少なすぎて、決め事作るのが面倒なんですかね。

    • roadbikenavi roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      自動車扱いか自動2輪車扱いかは免許区分の問題で緩和措置みたいにしたので、なかなか分かりにくいのです。
      とはいえ、民事ではどちらも危険性は変わらないということでノーヘルを過失扱いしてます。

  2. 元MTB乗り より:

    施行されてそんなに時間が経過していない法令はともかくとして、左側通行が定着していないとか、もう行政や警察の責任と思うんですけどね。三権分立の一角がそう判断するなら行政とか訴えたいですね。もしくは定着させられないなら規則として成立してないので法令から削除するとか。

    重箱の隅をつつくようなコメントで申し訳ございません。

    • roadbikenavi roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      重箱はつつくためにあります笑。
      まあ、いつになったら左側通行が定着するのか謎です。

タイトルとURLをコピーしました