FNNプライムオンラインが発信した動画と記事ですが、
【独自】車道の真ん中を逆走の電動キックボード「スピード落とさず…」車とわずか数センチの隙間縫って走り去る 東京・新宿区(FNNプライムオンライン(フジテレビ系))
「自転車を除く」と補助標識がついた通行禁止標識(一方通行)の意味がわからず、「電動キックボードが逆走!」と報じた件。
補助標識の「自転車」には特定小型原付を含むため、報道内容には誤りがあったことになる。
標識令には下記規定があるため、補助標識の「自転車」とは普通自転車と特定小型原付のことなのよね。
※補助標識の「自転車」とは普通自転車の略であることも標識令に規定がある。
FNNプライムオンラインは、特定小型原付が通行可能なのに通行禁止(道路交通法違反)だとして非難したことになる。
そのへんのYouTuberなみの間違い方をするマスコミの質についてもどうかと思うけど、個人的に思うのは二点。
①やはり特定小型原付のルールは、きちんと知られていない。難しい。
②間違えたなら謝罪して訂正し、正しいルールの啓蒙に繋げれば済む話なのに…
②から。
間違えたなら謝罪して訂正し、正しいルールの啓蒙に繋げれば済む話でしかない。
そしてそれは難しい話でもない。
きちんと調べずに発信するのもどうかと思うけど、むしろ事後処理のほうが疑問。
次に特定小型原付のルールが難しい件。
以下3つの事案について、特定小型原付が規制対象になるのはどれでしょうか?
A、一方通行の「自転車を除く」
B、一方通行の「軽車両を除く」
C、歩行者用信号の「歩行者・自転車専用」
D、「自転車専用」信号
実はこれ、Dについては特定小型原付に対する効力がないと考えられる。
理由は下記。

信号についた「自転車専用」は標識令の管轄ではなく施行令の管轄になりますが、施行令を見渡しても三灯式信号についている「自転車専用」に特定小型原付を含むとする根拠がないのよね。
普通自転車 | 特定小型原付 | 根拠 | |
![]() |
規制対象(逆走可) | 規制対象(逆走可) | 標識令 |
![]() |
規制対象(逆走可) | 規制対象(逆走可) | 標識令 |
![]() |
規制対象(歩行者用信号に従う義務) | 規制対象(歩行者用信号に従う義務) | 施行令2条 |
![]() |
規制対象(信号に従う義務) | 対象外(信号に従う義務がない) | 施行令 |
こんなもんわかるわけないじゃんね…
特定小型原付のルールはかなり難しいのが現実。
この件は改正の「穴」だと思っているのですが、理屈の上では下記交差点は、特定小型原付のみ「信号がない」ことになる(横断歩道を通行する特例特定小型原付は歩行者用信号の規制対象)。
従うべき信号すらよくわからないわけよ。
分かりにくいルールを大量投入した点が既にミスだったのかもしれませんが、マスコミの質なんていつの時代もこんなもんなのかも。
間違えたなら謝罪して訂正すれば済む話なのに。

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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