PVアクセスランキング にほんブログ村
スポンサーリンク

自転車赤信号無視で「自転車過失100%」、認められたのは13万…

blog
スポンサーリンク

先日取り上げたこちら。

10歳が乗る自転車が赤信号無視し、過失割合は自転車が100%。
なかなか興味深い記事が出ています。10歳児童が運転する自転車と乗用車の衝突事故で、過失割合は自転車が100%-。修理費用を巡る訴訟で、こんな判決が下された。幼児からお年寄りまで、幅広い年齢層に利用される自転車だが、道路交通法上はれっきとした...

赤信号無視の自転車(10歳)と青信号を徐行していたクルマが衝突し、ケガはなかったもののクルマの修理費を求め提訴した事件です。
簡裁案件(140万以下)と徐行していたこと、小学生にケガがなかったことを考えると、クルマの修理費は高額とは考えにくいですが、判決は13万だそうな(自転車過失100%)。

現場を取材すると…

【記者リポート】「事故があった交差点は歩行者用の信号はなく、車用の信号を見るしかありませんが葉っぱでとても見えづらくなっています」

一方、車側は…

【記者リポート】「青信号を確認して車がゆっくりと徐行しながら直進したところ、赤信号を無視してきた自転車とぶつかりました」

車は左側に「塀」があり視界が悪く、徐行して交差点に進入したということです。車はほぼ停止状態だったため、児童にけがはありませんでした。

裁判では、自転車側の過失が100パーセントという判決となり、児童側に13万円ほどの賠償金が命じられました。

10歳児童運転の自転車「過失100%」 自転車と車との事故 児童側に13万円の賠償金命じる判決(関西テレビ) - Yahoo!ニュース
自転車と車の事故でも、自転車の責任が100パーセントとなり、損害賠償を命じられるケースもあるといいます。 事故が起きたのは、兵庫県西宮市の交差点。当時、10歳の児童が運転する自転車と車が衝突しま

事故現場の画像もありますが、この判例のポイントはクルマが義務ではないものの徐行していた点。
通常、自転車の赤信号無視事案は自転車過失80%になりますが(自転車が加害者になるので児童修正はしない)、100%になった理由は報道にあるように徐行していたからでしょう。

 

で。
この事件は小学生には責任能力がないと考えられるため、保護者に支払い命令が出たと考えられる。

(責任能力)
第七百十二条 未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。
(責任無能力者の監督義務者等の責任)
第七百十四条 前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない

で。
クルマがほぼ停止状態で徐行していた点を考慮すると、クルマの過失が0%になるかせいぜい5%認めるかの争いにしかならなくて、13万の5%って6500円なのよ。
10%でも13000円。

 

そこを控訴、上告するメリットがよくわからんな…
明日別記事で取り上げますが、上告審(一審が簡裁なので高裁)がこの事件について口頭弁論を開く可能性は皆無に等しいので、訴訟費用を考えてもメリットがわからない。

 

争うメリットがあるとしたら、民法714条1項但し書きによる「免責」くらいしかない気がする。
理屈の上では、保護者が監督責任を果たしていたなら免責になりますが、監督責任を果たしていたとは言えないはず。

 

控訴手数料、上告手数料、せいぜい5%を認めるか認めないかの争い、上告審が破棄する可能性が皆無に等しい案件なので、誰か上告するのは止めてあげたほうが良かったのではなかろうか?
理屈の上ではおそらく控訴手数料が1500円(ただし全部取り消しを求めていたなら3000円)に予納郵券6000円、上告手数料が2000円(ただし全部破棄を求めていたなら4000円)に予納郵券6000円とかになるかと思われますが、免責の主張でもしてるのか?

 

謎が多すぎる…判決文を探しましたが見当たらず。

 

この事件、クルマのドライバーを讃えるべきだと思っていて、青信号で徐行義務がないのに見通しが悪いからほぼ止まっている程度に徐行していたわけでしょ。
そこまで注意している人がどんだけいるのだろうか?

 

ちなみに控訴審の内容からして「訴訟費用は自転車側」になっていると思われますが、訴訟費用とは手数料、郵券、交通費、口頭弁論期日の出廷費用(一回あたり3960円)など。
あまり知られていないと思われますが、口頭弁論を5回して「訴訟費用は相手の負担とする」となった場合、3960円×5を請求できます(手数料や交通費なども)。

 

ただまあ、訴訟費用を実際に請求する事例はかなり少ないらしい。
なぜなら、一審に対し「訴訟費用額確定処分の申立」という手続きをしなければならず、面倒なんですね。
私が行政訴訟したときはきっちり回収しましたが、訴訟費用額確定処分の申立は書記官も詳しくないらしく、計算についてはだいぶ苦労しましたが…

 

上告するメリットが全くわかりませんが、そもそも13万の事件なのか。
クルマのドライバーの運転態度を称賛すべきであって、判決自体はそうなるのは当然なのかと。
たぶん弁護士がついてない本人訴訟と思われますが、弁護士がついていたら上告は全力で止める気がする。

なお、仮にクルマのドライバーが自分の保険を使って修理したとしても、自転車側は提訴される可能性があります。
理由はシンプルで、保険会社がクルマのドライバーに支払った修理費分の損害賠償請求権を代位取得するので、保険会社が自転車側を提訴することはあり得る。

コメント

タイトルとURLをコピーしました