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リムブレーキは正義に反するのか?

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なかなか興味深い話を頂きまして。

ロードバイクがすべてディスクブレーキになった理由
>もっとも重要な「止まる性能」が不完全だったのです。
>ISO(国際標準化機構。国際的に通用する品質・規格を制定する機関)を含めた業界がそれを問題視し、「自転車の制動性能を向上させるべき」という動きが生まれました。安全性の向上は、乗り物としてスピードや軽さよりも重視すべき絶対的な正義です。

ENJOY SPORTS BICYCLE | ロードバイクがすべてディスクブレーキになった理由ロードバイクの選び方<8>
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[コラム] ディスクロードばかりになった理由 – サイクルショップ マティーノのブログ

後者は新規の取り扱いにディスクロードをやめたパナソニックがあることをどう考えているのだろうとも思いますがそれはともかく、安全性は絶対的な正義なのでこれに反するリムブレーキロードバイクやカンチブレーキのランドナー
137年前「ダルマ自転車」の旅再現 長崎→横浜、アメリカ人が挑戦

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こういうふるいタイプの安全性が微妙な自転車にのることは正義に反するので駄目な時代になってくるんでしょうか?

事故を起こすと、ディスクブレーキなら事故にならなかったといわれて民事の賠償責任や刑事の過失もより重く捉えられる時代になるということですかね?

うーん…
そもそもこの件、捉え方が違う気がする。

 

まず、法律上は自転車ブレーキに求められるのはこれ。

 

道路交通法施行規則

(制動装置)
第九条の三 法第六十三条の九第一項の内閣府令で定める基準は、次の各号に掲げるとおりとする。
一 前車輪及び後車輪を制動すること。
二 乾燥した平たんな舗装路面において、制動初速度が十キロメートル毎時のとき、制動装置の操作を開始した場所から三メートル以内の距離で円滑に自転車を停止させる性能を有すること。

そもそもなんですが、運転している車両の制動能力を理解した上でスピードコントロールするのは車両運転者の基本的な注意義務なので、制動能力が劣る(相対的に)のであれば、その制動能力を理解して停止できる速度で乗るだけのこと。
なのでディスクブレーキとリムブレーキで比較して後者の制動能力が劣るというならば、その制動能力の範囲内で乗るだけだし、逆に言えばディスクブレーキのほうがより速い速度で進行しても制動できるというだけなんじゃないですかね。

 

そもそも、タイヤの制動能力以上にはブレーキでどうにかなるわけじゃないし、ディスクブレーキ化によりタイヤが太くなったことによる恩恵のほうが大要素に思える。

 

ちなみにこれ。

読者様
読者様
事故を起こすと、ディスクブレーキなら事故にならなかったといわれて民事の賠償責任や刑事の過失もより重く捉えられる時代になるということですかね?

これを言い出すと、制動能力が低いママチャリをどう評価するか疑問。
ママチャリで事故を起こした人が「ディスクロードなら事故の回避が可能だったからママチャリに乗っていたのは重過失」と言われる…わけもない。

 

過失(注意義務違反)って、その注意義務が社会的に認知されてある種の常識的な話と言えるかも関係します。
例えば自転車ヘルメットの装着は義務とはなってませんが、未装着を「注意義務違反」と言えるかについて以下の判例がある。

本件においては、双方に過失が認められるが、本件事故が横断歩道上の四輪自動車と自転車の事故であること、原告が本件事故当時8歳であったこと、原告が横断歩道の横断を開始する時点で被告自動車が同横断歩道に入っていたと考えられること等の事情を考慮し、原告の過失を10%とするのが相当である。なお、原告は、本件事故当時ヘルメットを装着していなかったと認められるが、児童のヘルメット装着が定着しているとはいえない情勢に照らすと、この事情は過失割合の認定においては影響を及ぼさない。

大阪地裁 令和元年10月31日

児童・幼児の保護責任者に対し、なお、道路交通法63条の11(本件事故当時は平成25年法律43号による改正前の同法63条の10)は、努力義務として、当該児童・幼児のヘルメットの着用を定めているにすぎないし、本件事故当時、児童・幼児の自転車乗車時のヘルメット着用が一般化していたとも認められないから、ヘルメットを着用していなかったことを不利に斟酌すべき過失と評価するのは相当でない。

神戸地裁 平成31年3月27日

「リムブレーキは社会悪」という常識が形成されているなら別かもしれないけど、電動キックボードLUUPはすでに「社会悪」みたいなムードになっている。
だからといってLUUPが事故を起こしたときに「LUUPだから」という理由で過失を加重することはなくて、信号無視なら信号無視、前方不注視なら前方不注視として過失認定するわけで。

 

リムブレーキだから過失が加重されることはないでしょう。

 

そもそも、このようなカーブがあるときには、自分が運転する車両の制動能力を理解した上で安全に通行できる速度で進行することになりますが、

仮にリムブレーキだと曲がりきれない速度で進行して事故ったなら、悪いのはブレーキではなく、減速不十分で漠然進行した行為なのであって…
「制御できる速度で運転するのは当たり前だし、歩行者の飛び出し事案」でもディスクブレーキなら回避可能なケースがあるとは思えない上、飛び出しするほうにも問題があるのだから自転車の重過失というのも不思議なんですよね。

 

それが横断歩道なら「減速不十分なお前が悪い」でしかないし。

コメント

  1. まさ より:

    コメント失礼します。
    この安井さんのコラムは私も読みました。極端な意見だなと思ってモヤモヤしていました。
    リムブレーキの安全性が…と言うなら、管理人様のおっしゃる通り制動力は貧弱なのに、パワフルな電動アシストで、前後に子どもを乗っけて重たくて止まりにくいママチャリの方がはるかに問題視されるべきです。
    ディスクブレーキはレースで勝つためには必要なのだと思いますが、多くの一般ライダーは性能的にはリムブレーキでも十分だと思いますし、それより大切なことは安全に対する意識と技術だと思います。
    個人的にはディスクブレーキの普及はメーカーや業界のビジネス上の都合の方が大きいと思っています。

    • roadbikenavi roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      ディスクのほうが安全性は高いと考えますが、じゃあ「リムブレーキは危険」となるかは別問題なのです。
      そのあたり整理できないまま安易に語るからおかしくなる気がします。

  2. クセル より:

    失礼します
    ありがとうございます。仮にダルマ自転車で事故を起こしたとしても、安全型自転車より危険だから重過失にとらえるわけではない。道路交通法施行規則等の法律の基準を満たしたならば、それに見合った自分の技能と車両の制動能力を理解した上で安全に通行できる速度で進行すれば特に問題はない。そんな理解で大丈夫ということですかね。多分それは明治でも令和でも変わらない

    • roadbikenavi roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      「それに見合った自分の技能と車両の制動能力を理解した上で安全に通行できる速度で進行すれば特に問題はない」が全てで、そこが過失なのです。

  3. チャンス より:

    コメント失礼します。今買うならディスクしかないのですか?
    ディスクの方が止まるのは事実だと思いますが、その後のメンテとかは結構お金かかりますか?

    • roadbikenavi roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      リムブレーキはまだありますが、今後を考えたらディスクのほうが無難です。
      メンテナンス費用はディスクのほうが掛かります。

  4. チャンス より:

    ディスクの方がかかるんですね?一回点検してパッドとかを変えてもらったら一万ぐらいですかね?

    105と105di2も後のメンテはちがいますか?

    • roadbikenavi roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      パッドとローター代はピンキリですが、油圧のオイル交換工賃がそれなりにするかと。
      Di2はワイヤー交換が不要なのでその意味では定期的なワイヤー交換代が不要ですが、いざ故障したときは高くなります。

  5. カモがネギしょってる より:

    >乾燥した平たんな舗装路面において、制動初速度が十キロメートル毎時のとき、制動装置の操作を開始した場所から三メートル以内の距離で円滑に自転車を停止させる性能を有すること。

    ロードバイクの速度域を考えると、このママチャリ用の規格では不十分なのも事実ですし、車のように運動性能に見合うブレーキを付けるというのも一理あるとは思います。飛び出しを急ブレーキで回避する場合はブレーキ性能だけが頼りですし。それを言い出すとタイヤの性能も問題になりますが…

    • roadbikenavi roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      自分が使っているタイヤやブレーキの性能を理解した上でスピード調整して乗るのが本来求められていることなので、要は「タイヤやブレーキが低質ならそれに見合った速度で乗りましょう」にしかならないと思うんですね。
      唯一、このような事故については「もしディスクだったなら」と言える気がしますが

      https://roadbike-navi.xyz/archives/28045

      ディスクじゃなかったとしても、補助レバーがあったなら制動できていた可能性もある。
      ディスクのほうが優れているのは認めますが、「ディスクのほうが優れている」=「リムブレーキは危険」は違うと思うんですね。

  6. ランド より:

    う~ん…参考元の記事を読みましたが「安全性の向上」が正義と言ってるんであって「安全性が微妙な自転車に乗ること」が正義に反するなんて言ってないと思うんですよね…

    「安全性が微妙な自転車」の定義がリムブレーキではなくブレーキの整備不良車っていうのならば賛同できるんですけどね~

    • roadbikenavi roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      その通りですよ。
      要は「ディスクのほうが安全」を、「リムブレーキは危険」と読み替えてしまう人がいることを危惧して書いたまででして。
      その発想がさらに進むと「リムブレーキは正義に反する」として非難する人すら出てくるのがオチでして、過去にもそのようなネタを投入して炎上していた事例があります。

  7. きゃばりーのらんぱんて より:

    雨のレース、目前で落車があって、ブレーキレバーがハンドルバーにぶつかるまで握っても、車輪が2回転くらいしてからでないと効かないリムブレーキは、確かにディスクに比べてレースでは不利でしょう。
    レースは雨では中止にはならないからディスクなんですが、レースに出ない、雨には乗らないなら、リムブレーキでもほぼ無問題。
    油圧ディスクは確かに高性能でタッチも軽くて良いのはわかるけど、自分でメンテするにも機材とスキルが無いので、一生リムでいいと思ってます。

    • roadbikenavi roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      現実的にはディスクのほうが安全ですが、それがいつの間にか「リムブレーキは危険」にすり変わるのも不思議です。

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