以前、読者様が自転車に乗っていたときに、小道から自転車に乗って飛び出してきた子供に衝突されリムが破損したそうですが、
問題なのは事故現場。
ここを「交差点」と捉えた場合、読者様が通行していた舗装路には優先道路がないため徐行義務(42条1号)があったことになる。
とはいえ、ここを交差点だと認識できるか?という問題があり、民事過失割合を考える上では「交差点事故」ではなく「路外から道路に進入した自転車との事故」とみなしたほうが適切な気がする。
類似判例がないか探したのですが、若干違いますが「交差点なのか?」「路外から道路に進入した事故なのか?」が争点になったものがある。
判例は東京地裁 令和元年5月17日。
原告が自転車に乗って道路を進行中に、マンション敷地の通路から道路に進入してきた自転車と衝突した事故です。
争点は「交差点事故」or「路外から進入した事故」のどちらなのか?
マンション敷地の通路は道路に比べ明らかに狭い。
裁判所はマンション敷地の通路について道路交通法上の「道路」(一般交通の用に供するその他の場所)だと認めた上で、通路が明らかに狭いことから事実上「路外から道路に進入した態様」とみなした。
被告は、マンション敷地内の本件通路から本件公道に進入する際に、見通しのきかない右方から本件公道を進行してくる車両の有無及び動静を注視して進行すべき義務を怠った過失がある。
本件通路は、その体裁及び利用状況に照らして道路(一般交通の用に供する場所)に当たると考えられるが、私有地内にあり、本件公道と比べて幅が狭く、本件通路から本件公道の見通しが悪いことを考慮すれば、本件通路から本件公道に進入するに当たっては、特に十分な安全確認が要求されるというべきである。東京地裁 令和元年5月17日
公道を通行していた原告自転車が10%、マンション敷地の通路から公道に進入した被告自転車が90%と認定。
あくまで「道路」と認めた上で、過失相殺の基準としては路外から進入した態様にしたとみていいのかと。
冒頭の読者様の事例にしても保険会社の提示は30:70だったそうですが、読者様は少額訴訟をして10:90で和解。
民事のいいところは、道路交通法をそのまんま適用して「交差点態様」に必ず当てはめるわけでもなく、実情を考慮する。
まあ、原告からすれば10%でも納得し難いのかもしれませんが…

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント