こちら。

記事の内容は「被告人車は特定小型原付なのに誤った法令適用をした」という意味ではなく、
処罰法2条8号の「通行禁止道路危険運転致死傷罪」は「全てのクルマと原付が一方通行規制されている道路」で逆走したことが要件なのだから、特定小型原付が逆走可能な道路では通行禁止道路危険運転致死傷罪の適用はできない、という意味です。
この話は以前も解説しているので多少省いて書いたのが誤解を生んだようで、申し訳ありません。
なおなぜこのように通行禁止道路危険運転致死傷罪の適用範囲を限定しているかについては、

ざっくりいうと、全てのクルマ・原付が一方通行規制されている道路では、他の通行者は逆走車両が存在しないことを期待して通行しており、その期待を裏切って逆走することが極めて危険かつ悪質だという理由。
逆にいえばたとえば一方通行(二輪を除く)の場合、二輪車は逆走可能なのだから、他の通行者は「逆走車がないと期待することは許されない」ことになり、二輪車が合法的に逆走してきたか、四輪車が違法に逆走してきたかは結果論に過ぎないともいえる。
だから通行禁止道路危険運転からは除外されている。
川口逆走暴走事故について検察が「通行禁止道路危険運転致死罪」での起訴を見送った理由は、当該道路には一方通行規制があるものの「二輪を除く」と補助標識があり、二輪の自動車と原付が逆走可能なため処罰法2条8号の要件を満たさないからです。
四輪車が道路交通法上、逆走禁止なのは当たり前ですが、処罰法の通行禁止道路の要件は満たさないことになる。
ただし川口逆走暴走事故については、補充捜査により「進行制御困難高速度危険運転致死罪」(2条2号)で起訴している。


で。
今回のモペット事故ですが、報道とGoogleマップを見る限り、「一方通行(自転車を除く)」に「通行禁止道路危険運転致傷罪」を適用した可能性が高い。
自転車を除くには特定小型原付が含まれる以上、当該道路には通行禁止道路危険運転致死傷罪(2条8号)は適用できないはず。
もし法令解釈を誤ったまま判決が確定してしまうと、非常上告して無罪になってしまうリスクがあるので、判決確定前になんとかしないとまずい可能性があるのですが…
もし懲役刑の執行後なら補償問題すら起きるし、とりあえず判決の詳細を知りたいところ。
判決確定前なら過失運転致傷の無免許加重+酒気帯び運転の併合に変更できる可能性があるけど、判決確定後の非常上告だと一事不再審の問題から無罪になってしまう可能性があると思うので、ちょっと心配しているのよ。
以前から指摘しているように、通行禁止道路危険運転致死傷罪(2条8号)の解釈は特定小型原付登場前後で変わってしまっているのですが、立法府がそれに気づいているのか疑問なのよね。
ちなみにこの事件の公判を傍聴した人の意見がネット上にありましたが、とりあえず150万被害者に支払っているらしい(ちなみに判決は懲役3年、未決勾留日数50日を算入)。
もちろんそれで足りるはずもないんだけど、この事件はもしかして通行禁止道路態様以外の危険運転致傷罪を適用したのだろうか?
とりあえず誤解を生んだようで申し訳ありません。
道路交通法の解釈と自動車運転処罰法の解釈は別なので、省かずに説明しないと誤解を生むことを再認識しました。
ちなみに別件ですが、特定小型原付の登場により信号の意味にバグが起きている。

この道路は一方通行(自転車を除く)なので、「自転車専用」の信号がある。
ところがややこしいことに、信号の「自転車専用」には特定小型原付が含まれないため、この方向に進行する特定小型原付には信号がないことになる(ただし見通しがきかない交差点の徐行義務などはある)。

バグですよね。
信号の標示板は施行令、標識の補助標識は標識令の管轄だから起きたバグですが、このバグに気づいた警察署の一部は自転車専用信号を廃止している。
特定小型原付の施行後にバグが起きている事例がいくつかありますが、危険運転致死傷罪の通行禁止道路の解釈もバグとしか思えない…
通行禁止道路態様ではない危険運転致傷罪を適用したならいいんですが、ちょっと嫌な予感。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。


コメント
牽引してる特定小型の扱いもバグってますよね
コメントありがとうございます。
そんなネタもありましたね笑