こちらの件。
このような道路を左折するとき白線(車道外側線)の中に入ってもイイ?ダメ? pic.twitter.com/3d9k3jOsFy
— ユズリアイ@教習指導員 (@yuzuriaiproject) July 24, 2025
正解は「指定通行区分」があるのだから、左折レーン内から左折しないと指定通行区分違反罪(35条1項)になるところ(つまり白線を越えたら違反)、
このように車両通行帯最外側線の外側が狭い場合にはわずかに指定通行区分をはみ出す程度なので、わずかに車両通行帯最外側線を越えたとしても可罰的な違法性はないでしょう。
けど、ホント34条と35条の関係を理解してない人が多いんだよなあ…

要はこれ。
第三十五条 車両(特定小型原動機付自転車等及び右折につき一般原動機付自転車が前条第五項本文の規定によることとされる交差点において左折又は右折をする一般原動機付自転車を除く。)は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により交差点で進行する方向に関する通行の区分が指定されているときは、同条第一項、第二項及び第四項の規定にかかわらず、当該通行の区分に従い当該車両通行帯を通行しなければならない。ただし、第四十条の規定に従うため、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のためやむを得ないときは、この限りでない。
左折に関係ない部分を割愛します。
第三十五条 車両(特定小型原動機付自転車等を除く。)は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により交差点で進行する方向に関する通行の区分が指定されているときは、前条第一項の規定にかかわらず、当該通行の区分に従い当該車両通行帯を通行しなければならない。
今回のテーマは「交差点の左折」なので、「道路標識等により交差点で進行する方向に関する通行の区分が指定されているとき」を左折に限定します。
第三十五条 車両(特定小型原動機付自転車等を除く。)は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により交差点での左折に関する通行の区分が指定されているときは、前条第一項の規定にかかわらず、当該通行の区分に従い当該車両通行帯を通行しなければならない。
「当該」とは「左折に関する通行区分が指定された」を意味するのは明らかなので、さらに置き換える。
第三十五条 車両(特定小型原動機付自転車等を除く。)は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により交差点での左折に関する通行の区分が指定されているときは、前条第一項の規定にかかわらず、左折に関し指定された通行の区分に従い左折に関し指定された車両通行帯を通行しなければならない。
「34条1項にかかわらず」を無視して独自論を語る人もいるけど、昭和45年に指定通行区分を新設した経緯も調べないのはどうかと思う。
現在も交通量が多い交差点では、道路に右折、左折、直進などが矢印で書かれてありますが、強制力がありませんでした。それを、右折しようと思ったら右側に寄れ、左折は左側へというように通行区分や右折・左折の方法を指定し、また、進路の変更禁止を義務づけました。
道路交通法改正の主眼点をめぐって(警察庁交通企画課長 藤森俊郎)、全日本交通安全協会、人と車、1970年6月
昭和45年以前から左折矢印や右折矢印が描いてあったけど、強制力がない法定外標示だった。
それに法的拘束力を持たせたのが指定通行区分。
公安委員会は、車両通行帯について、車両が交差点で進行方向による通行区分を指定できることとした(第34条の2第1項)
この通行区分の指定は、軽車両以外の車両について適用される。
公安委員会が道路の通行区分を指定したときは、緊急自動車に進路を譲るため又は道路の損壊、道路工事その他の障害のためやむを得ない場合を除き、左折又は右折方法の一般原則(第34条第1項、第2項及び第4項)によらず、当該通行の区分に従い当該車両通行帯を通行しなければならない(第34条の2第2項、関係罰則は第120条第1項第3号、同条第2項)。「道路交通法の一部を改正する法律」(浜邦久、法務省刑事局付検事)、警察学論集、1970年9月、立花書房
「左折車はここ」「直進車はここ」と通行する位置を指定することで円滑と安全を確保する趣旨。
ところで問題になるのは「34条1項にかかわらず」。
34条1項の義務を全て打ち消すわけではない。
第三十四条 車両は、左折するときは、①あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、②できる限り道路の左側端に沿つて(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して)③徐行しなければならない。
34条1項は3つの義務を課している。

| 条文 | 内容 |
| あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り | 交差点直前での通行方法 |
| できる限り道路の左側端に沿つて(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して) | 交差点内の通行方法 |
| 徐行 | 左折時 |
で。
指定通行区分は「交差点に至るまでの過程」でしかなく、通常は交差点直前(停止線)で指定通行区分が消滅する。

なので34条1項が指示する3つの義務のうち、35条により免除される対象は「あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り」だけになるんですね。
35条によって打ち消された状態に置き換えるとこうなる。
| 条文 | 内容 |
当該通行の区分に従い当該車両通行帯を通行しなければならない(35条1項) |
交差点直前での通行方法 |
| できる限り道路の左側端に沿つて(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して) | 交差点内の通行方法 |
| 徐行 | 左折時 |
なので指定通行区分がある場合でも、交差点内の通行方法と徐行は免除されない。
そうなると、ダブル左折レーンがあるときには交差点内の通行方法(できる限り道路の左側端に沿つて)が適用されるのではないか?と疑問が生じる。
しかし「道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して」としており、34条1項の道路標示として「右左折の方法(111)」が標識令にあるため、
交通法第三十四条第一項、第二項又は第四項の道路標示により、車両(特定小型原動機付自転車、軽車両及び右折につき一般原動機付自転車が交通法第三十四条第五項本文の規定によることとされる交差点において右折をする一般原動機付自転車を除く。以下この項において同じ。)が交差点において右折又は左折するときに通行すべき部分を指定すること。
ダブル左折レーンの場合、交差点直前までは「指定通行区分」、交差点内は「右左折の方法(111)」で指定される。
こっわ!ドライバー冷や汗なんてもんじゃ無かったろうなこれ
後に重機積んでたらもっとやばかったとおもう。
ロード乗りの方、そこ直進されたらトラックはきついよ
トラック側は直進左折可能帯です pic.twitter.com/1O7lVU631j— ぐ り@ZND Beans (@hiroguriko) June 8, 2020
ダブル左折レーンの第二通行帯から左折することは違反ではなく、交差点内の「右左折の方法」に従って左折することになる。
「左折又は右折方法の一般原則(第34条第1項、第2項及び第4項)によらず」その指定された通行帯を通行しろという規定なのに、立法趣旨をガン無視し、条文を切り抜きして「34条1項にかかわらず」をガン無視し、道路標識等も勘違いして解説しているのがこれ。

これの解釈って条文読んでもわかるわけがなく、執務資料に書いてある意味にしても昭和45年改正時の資料と照らし合わせてやっと理解できるし、
そもそも「あらかじめできる限り左側端による」(34条1項)の意図がなんなのか?まで調べてやっと理解できる。
あらかじめできる限り左側端によることを要求する理由は、立法者の説明によると「ウインカーのみならず行動で左折意思を示す」(条解道路交通法、昭和36年)なのでして、二輪車巻き込み防止はそれの結果論に過ぎず、目的ではない。
左折しようとする車両があらかじめ道路の左側によることとしているのは、その車両が左折しようとするものであることを他の車両や歩行者に十分認識させ、それによって交通の危険を防止し、交通の円滑を図るためである。
宮崎清文、条解道路交通法、立花書房、1961(昭和36年)
道路交通法34条1項が交差点における左折車に所謂左寄せ義務を課した所以は、原判決の説示するとおりで、その車両が左折しようとするものであることを同法53条で命ぜられた左折の合図をするだけでなく、その車両の準備的な行動自体により他の車両等に一層よく認識させようとするためであることは明らかなところ
福岡高裁宮崎支部 昭和47年12月12日
立法者が何を意図して規定したのかを知ることが解釈に役立つ典型例ですが、執務資料を一通り読んだ後は、古い解説書を探して立法者の説明をみると執務資料の理解度も上がると思う。
34条で「あらかじめできる限り左側端による」理由が「ウインカーのみならず左折意思を示すこと」にあるのだから、34条の特別規定にあたる35条では「左折レーンにいれば左折意思は明らか」なのよ。
だからあらかじめできる限り左側端による義務を免除している。
けど、左折方法すら揉めるくらいだから事故が起きるのも当然なのよね。。。
運転レベル向上委員会なんて警察庁の解説を論破するらしいけど、
「自分は詳しい人」だと勘違いしているのではないか?
自分は無知だという前提に立たないと、ちゃんと調べないまま独自論を語るだけになるのよ。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。



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