PVアクセスランキング にほんブログ村
スポンサーリンク

過失割合とは「割合」なのです。

blog
スポンサーリンク

なんか凄まじい間違い解説動画を見たのですが、優先道路/非優先道路の出会い頭事故は、四輪車同士なら10:90ですよね。

 

解説動画によると、過失修正「非優先道路側の一時不停止」として「+10%」し、「優先道路側の速度超過」を「+10%」すると20:100になるとする。
その場合、総和の120に対するパーセンテージに補正することになり、17:83になると解説している。

非優先道路 優先道路
基本過失割合 90 10
一時不停止 +10
速度超過 +10
100 20
補正 83 17

馬鹿馬鹿しくて話にならないんだけど、過失修正として一方に「+10%」するということは、相対的に相手方を「-10%」するのでして…

非優先道路 優先道路
基本過失割合 90 10
一時不停止 +10 -10
速度超過 -10 +10
90 10

そもそも優先道路/非優先道路態様で非優先道路側に一時停止規制があることは過失修正しないのですが、

 

過失「割合」、つまり割合なのね。
一方に加算修正することは、相手方を減算修正することになるのは誰でもわかる話だと思ってましたが、

 

このレベルになると、だいぶ心配としか言えない。
彼が謎の独自論を発表しまくる動機はわかりかねますが、そんな姿勢だから弁護士に「弁護士でもない人の独自見解」と一蹴されたのではなかろうか。

 

なお実務上は90:0みたいな形にすることもあり得ます(示談交渉の場合)。
ワケわからん計算をすれば民事過失相殺(民法722条)の基本である「公平」にそぐわない。
なぜなら、この謎計算式だと基本過失割合が高いほうが結果的に減算されることになり、不合理なのよね。

 

例えば横断歩道で対歩行者の事故が起きた場合、基本過失割合は車両が100%。
夜間修正として歩行者に+5%したとして、クルマが高速度だったことを+10%したとすると、この珍説によると

110:5

になる。
それを補正すると96:4程度になりますが、

 

夜間修正として歩行者に過失を加重する理由は、車両のライトの存在で歩行者からすれば回避可能性が上がる一方、車両の運転者からするとライトで照らされてない範囲は視認困難という事情による。
つまり夜間修正は街灯で明るい場合には適用されない。

横断歩道上での事故に、「夜間修正」として歩行者不利に修正するのは真実か?
読者様から質問を頂いていたのですが、これについてはそもそも「夜間修正」の意味を理解する必要があると思う。確かに、横断歩道上での基本過失割合は車両が100%。一方、夜間は歩行者に+5%する修正要素があります。なぜ?夜間に被害者不利に修正する理...

一方車両の速度超過として加算修正する理由は、ざっくりいえば車両がかっ飛ばしたことで自ら回避可能性を減退させているからです。
逆にいえば、車両の速度超過は歩行者からすると回避可能性が減る。

 

それを考えたら、夜間修正として歩行者に「+5%」されても速度超過分「+10%」で相殺され、結局車両が100%になるのが筋に思えるところ、

 

彼の謎理論だと歩行者に過失がつく結果になる。
しかし判例はそのような考えをしない。
歩行者に夜間修正を適用すべきに思えるにしても、それ以上に過失修正した結果は「過失相殺しない」なのよね。

平成15年10月28日午後5時40分ころ、被告は直線道路を時速約60キロメートルで南から北進していたが、信号機の設置されていないT字型交差点において、左方道路の安全確認に注意を奪われ、前方注視を怠ったため、東から西へ道路を歩行横断中のAの発見が遅れ、急制動の措置をとる間もなく、同速度のまま走行し、自車右前部を同人に衝突させ、右前方路上に転倒させた。

(中略)

上記一で認定した事実を前提に過失相殺について判断するに、事故当時、日没後で雨も降っており、街灯はあるものの明るくはなかったという状態からすると、車からは歩行者を発見するのは容易ではないのに対して、歩行者からはライトを点灯している車の発見は容易であり、Aが左右の安全を確認すれば、Y2車に気付いて事故を回避できた可能性は否定できない。

しかし、交通整理の行われていない横断歩道にあっては、車は、横断歩行者がいないことが明らかでない限り、当該横断歩道の直前で停止することができるような速度で進行しなければならず、横断中あるいは横断を開始しようとする歩行者があるときは、当該横断歩道の直前で一時停止し、その通行を妨げてはならない。それにもかかわらず、被告は、左方道路の安全確認に注意を奪われ、前方注視を怠った上、減速することなく横断歩道を走行しており、被告側に著しい過失が認められる以上、過失相殺は認められないというべきである。

神戸地裁 平成19年2月28日

そりゃそうですよね。
基本過失割合が100:0で、被害者の軽度な過失として5%修正したとしても、加害者に重過失があれば被害者の軽度な過失を打ち消すと考えるのは当然。

横断歩行者 加害車両
基本過失割合 0 100
夜間修正 +5 -5
加害者の重過失 -10~20 +10~20
0 100

被害者に過失があることを認めつつも、加害者の重過失がオーバーライドして「過失相殺しない」。
過失相殺(民法722条)は平等ではなく公平に過失相殺することを考えても、当たり前としか言えない。

 

いくらなんでも馬鹿馬鹿しいけど、デマばかり流して何をしたいのだろ。
裁判実務ではこうなんです!としてますが、裁判実務は違いますから…
少なくとも彼の謎理論を採用した判例を知らないばかりか、全然一般的ではないのでして。

 

ところで、過失割合が何%になろうとやるべき注意義務は何ら変わらない。
ここを理解してないと話にならない。
あそこの人がおかしな解釈ばかり語る理由が何なのかは謎ですが、ワケわからん理論を流して誰に得があるのだろう。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました