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大分時速194キロ事故の控訴審が即日結審。

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大分の時速194キロ事故について、控訴審が即日結審したらしい。

時速194キロ死亡事故の控訴審始まる 弁護側は過失運転致死罪の適用主張 検察は控訴棄却求める | 大分のニュース|OBS NEWS|大分放送 (1ページ)
4年前に大分市で起きた時速194キロの車による死亡事故をめぐる刑事裁判の控訴審が29日から始まりました。一審判決で認められた危険運転についてが焦点となります。2021年2月、大分市で当時19歳の男が運転する時速19… (1ページ)

この事件は時速194キロで直進した被告人が対向右折車と衝突し死亡させたものですが、一審は「進行制御困難高速度危険運転致死罪(処罰法2条2号)」を認めたものの、「通行妨害目的危険運転致死罪(同4号)」は認めず。

 

検察官は「通行妨害目的態様も認めるべき」として控訴し、被告人は「危険運転致死罪は成立せず、過失運転致死罪であるべき」として控訴。
なお両者の控訴は同じ日にされています。

 

報道によると、検察官は通行妨害目的態様の立証のために証拠と証人を請求したようですが、福岡高裁はいずれも認めずに即日結審した模様。

 

控訴審で証拠請求しても認められないことは多く、即日結審したから判決が変わらないわけでもない。
「ブレスケアひき逃げ事件」にしても、控訴審は即日結審したものの有罪から無罪にしており(最高裁は有罪判決)、

「コンビニブレスケアひき逃げ事件」、最高裁が原判決を破棄し有罪確定に。
以前から注目し何度も取り上げてきた「飲酒運転発覚回避のため事故後コンビニにブレスケアを買いに行った事件」。かなり複雑な経緯を経た裁判なので先にまとめておきます。時期出来事2015/3横断歩道で被害者をはねて死亡させた<過失運転致死罪(自動車...

今のところ福岡高裁が何を示すかはわからない。

 

ところで、「進行制御困難高速度」にしても「通行妨害目的」にしても、警察・検察は今かなり力を入れている。
ちょっと前に酒田市の横断歩道手前停止車両を追い抜きして起こした事故にしても、通行妨害目的危険運転で送検したように法曹界のポイントは

・進路逸脱を伴わなかった事例について、進行制御困難高速度態様を立証できるか?
・「通行妨害目的」は未必的な認識で足りるか?大阪高裁判決をどう捉えるか?

この二点。

 

進行制御困難高速度態様については、立法当初から進路逸脱を伴わなかったとしても成立しうることが指摘されてますが、どうやって立証するかは難しかった。
大分地裁判決では、立証方法を確立しつつあると見ることができますが、福岡高裁の判断次第では振り出しに戻される可能性がある。

 

通行妨害目的態様については、未必的な妨害認識で足りるケースがあるにしても、未必的な認識の全てで認めるのはムリがある。
例えば「殊更信号無視危険運転致死傷罪」は、信号無視すれば他者の通行を妨害する可能性があるのは明白。
そうすると、未必的な認識で足りるとしたときには「殊更信号無視態様」には必ず「通行妨害目的態様」もセットになるのか?と言われたら疑問が残る。

 

結局、かなり曖昧なのよね。

 

ちなみに控訴審は一審で取り調べた証拠で判断できると考えたなら新たな証拠調べをせずに判決するので、即日結審し新たな証拠調べをしなかったから判決が変わらないとは言えない。
それこそ危険運転致死の成立を否定して過失運転致死になることもありうるわけだし、通行妨害目的を認める可能性もありますが、

 

今のところどっちに転びそうなのかは全くわからない。
ところで、検察官は新たな証拠調べを請求して却下されてますが、事後審はそうなる可能性があるから一審ですべきだったともいえる。
とはいえ、そもそも今回のような事例については、通行妨害目的態様をどうやって立証すべきか確立されておらずが手探り状態なんだと思う。

 

通行妨害目的危険運転致死については様々な論文を挙げてきましたが、未必的な妨害認識で足りるケースがあるにしても、未必的な妨害認識の全てを通行妨害目的態様とするのはムリがあるのでどこかで線引きする必要があると思う。

通行妨害目的危険運転致死傷罪の「未必的な認識」について考えてみた。
さて、こちらの件。通行妨害目的危険運転致死傷罪(処罰法2条4号)について、「通行妨害になる可能性があるという未必的な認識で足りる」とした大阪高裁平成28年12月13日判決がある一方、酒田市の事故では同罪での起訴を見送り、大分時速194キロ事...

ただまあ、勘違いしちゃいけないのは過失運転致死だろうと危険運転致死だろうと、制限速度を遵守して前方注視しながら進行する義務があることには変わりないこと。
あくまでも「処罰」法の中での話でしかない。

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