運転レベル向上委員会が、4輪が自転車に「追突」した場合の基本過失割合を95:5だと解説している。
【一発免取】軽傷でも人生終了 自転車ひき逃げ事件の代償を徹底解説!過失割合100:0のリアル2026年4月15日三重県いなべ市で発生した「乗用車による自転車ひき逃げ事件」について徹底的に解析します 。被害者のケガは軽傷でしたが、事故を起こして「逃げる」という選択をしたことで、その代償は計り知れないものになります 。同方向への追突事...
判例タイムズ39号には4輪車が自転車に追突した場合の基本過失割合は掲載されていないので、運転レベル向上委員会が得意とする「根拠がない話シリーズ」の一環だと思われますが、
4輪車が4輪車に追突した場合、4輪車がオートバイに追突した場合、自転車が自転車に追突した場合は「追突した側が100%」になっているのでして、
普通の思考能力では、4輪車が自転車に追突した場合も100:0だろうと考えるところ、謎の5%を創作した理由を知りたいですね。
5%であろうと基本過失割合を設定するということは、追突事故について先行自転車に何らかの不注意があることを意味する。
しかし車道左側端を通行する自転車に「不注意」といわれても、何を指すのかすらわからない。
さて今回のテーマは、「基本過失割合に内包された過失」の話。
優先道路対非優先道路の事故については、4輪車同士だと10:90になっている。

※優先道路とは交差点内にセンターラインがある側の道路で、一時停止標識の有無は関係ない。
優先道路通行車には徐行義務がなく(道路交通法42条1号カッコ書き)、非優先道路通行車は優先道路通行車の進行妨害を禁止しているのですが、では優先道路通行車に10%の基本過失割合が設定されている理由はなぜでしょうか?
これは、この態様の事故については、優先道路通行車に軽度の前方不注視などの過失が認められる事案が多いことから、予め10%の基本過失割合を設定している。
ここでいう「前方不注視」とは、文字通りに捉えれば「前をよく見ていなかったこと」を指す。
しかし前をよく見ていたかどうかは立証困難なので、「優先道路通行車が制限速度内で通行していたときに、非優先道路通行車が進入してきたのをみて即座に急ブレーキを掛ければ衝突を回避できたのに衝突した」という状況を「前方不注視」と呼ぶ。
つまりこの態様においては、

非優先道路通行車が交差点に進入してきた際の、優先道路通行車の距離次第と言える。
10:90の基本過失割合は、優先道路通行車において回避可能だったことを前提にしているのだから、回避可能性がない事案については基本過失割合は適用されず0:100になる。
ところが非優先道路から進入してきたのが自転車だった場合には、基本過失割合は50:50になっている。
この態様においても、優先道路通行車に基本過失割合が設定されている理由は「多くの場合、優先道路通行車が前方注視していれば衝突を回避可能だったこと」を前提にしているのだから、この前提が当てはまらないケースでは基本過失割合の適用はない。
ではなぜ、4輪車同士の場合とは大きく異なる基本過失割合になっているか?
これは民事の過失相殺の考え方が「平等に」ではなく「公平に」責任分配することが理由で、
4輪車対自転車の事故については、怪我もしくは死亡するのが専ら自転車側であることから、そもそもの責任が異なるという点にある。
優者危険負担の原則について、このように判示されている判例もあります。
ところで、(2)で述べたような、本件マンションのスロープで危険なスケートボード遊びをし、しかも、間近に迫っている加害車両に気付くことなくスロープを滑り降りた亡被害者の落ち度と、(3)で述べた被告の落ち度とを単純に比較するならば、被告の主張するように、亡被害者の落ち度の方がより大きいと言えるだろう。
しかし、交通事故における過失割合は、双方の落ち度(帰責性)の程度を比較考量するだけでなく、被害者保護及び危険責任の観点を考慮し、被害者側に生じた損害の衡平な分担を図るという見地から、決定すべきものである。歩行者(人)と車両との衝突事故の場合には、被害者保護及び危険責任の観点を考慮すべき要請がより強く働くものであり、その保有する危険性から、車両の側にその落ち度に比して大きな責任が課されていることになるのはやむを得ない。特に、被害者が思慮分別の十分でない子供の場合には、車両の運転者としては、飛び出し事故のような場合にも、相当程度の責任は免れないものというべきである。
東京地裁 平成15年6月26日
刑事については「平等に」じゃないとまずいでしょうが、民事は金銭賠償上の責任でしかないのだから、双方の落ち度の比較だけで決まるものではない。
それを理解していれば、過失割合をみて「どっちが悪いか?」なんて話にはなり得ない。
プロボクサーとド素人が喧嘩をしたときに、ド素人が大怪我するのは目に見えてますが、賠償上「平等に」五分五分というのはおかしな話であって、「公平に」双方の力量を加味して過失相殺する。
基本過失割合に内包された過失という概念がないと、こういう事故は説明できなくなる。

右直事故で、直進オートバイが時速122ないし179キロメートルと警察が算定している。
通常、右直事故の基本過失割合は、直進オートバイが15%、右折4輪車が85%になるところ、一審、二審ともに基本過失割合が適用される事案ではなく右折4輪車は無過失と判断している。
| 速度超過直進オートバイ | 右折車 |
| 100 | 0 |
控訴人は、衝突時の控訴人車の速度は時速100キロメートル程度である旨の陳述及び供述をする。
しかしながら、○県警察が、控訴人車の走行状況を撮影した防犯カメラの記録等を解析して、本件事故直前の控訴人車の速度を時速122ないし179キロメートルと算出していること(上記撮影地点から、控訴人が急制動の措置を講ずるまでの間に、控訴人車が減速したことを認めるに足りる証拠はない。)、控訴人自身、警察が120キロメートル以上は出ていたというのであれば、間違いないと思う旨の陳述及び供述ををすることに照らすと、上記速度は120キロメートル以上と認めるのが相当である。
車両は交差点に入ろうとするときは、当該交差点の状況に応じ、反対方向から進行してきて右折する車両等に特に注意し、かつ、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならないところ(道路交通法36条4項)、控訴人は、夜間、最高速度の2.4倍以上の速度で控訴人車を進行させ、同車を、本件交差点を右折進行してきた被控訴人車の左側面後端に衝突させたのであって、控訴人に過失があるのは明らかである。
これに対し、被控訴人は、被控訴人車を本件交差点に進入させて一旦停止させ、対向車線を車両等が進行してきていないことを確認した上、時速10キロメートル程度の速度で被控訴人車を右折進行させたにすぎない。被控訴人に、夜間、最高速度の2.4倍以上の速度で本件交差点に進入してくる車両等を予見し、運転操作をすべき注意義務があったとするのは困難であるし、加えて、控訴人は、原判決別紙1の①地点から約75.9m手前で、被控訴人車が本件交差点を右折進行してくるのに気付いたというのであり、控訴人が時速50キロメートル程度の速度で走行していた場合、その停止距離(28m)や、被控訴人車の速度を考慮すると、本件事故の発生を回避し得た可能性が高いことに照らすと、本件事故は専ら控訴人の過失によるもので、被控訴人に過失はないというべきである。福岡高裁 令和5年3月16日
右直事故の基本過失割合は、当然ながら右折4輪車に確認不足や軽信等の過失があることを前提にしている。
対向直進車の確認不足や、「先に右折できるだろう」という軽信が基本過失割合に内包されている。
福岡高裁の事故のように、きちんと対向車を確認して右折したのに、想定外の高速度で直進車が突っ込んできた場合には、基本過失割合の前提になる「右折車の確認不足や軽信」がないのだから、基本過失割合を適用しないのは当然となる。
基本過失割合の「前提」と「内包された過失」を理解してないと、いざ事故に遭ってしまったときに、相手の主張を鵜呑みにし不利な条件で示談することになりかねないので、注意が必要なのよね。
さて話を戻しますが、4輪車同士の追突、オートバイに4輪車が追突、自転車同士の追突では「先行車に不要急ブレーキがない限りは」基本過失割合は後続車が100%になる。
そりゃ先行車の努力では追突事故を回避できないのだから、当たり前だわな。
しかし運転レベル向上委員会は、自転車に4輪車が追突した場合の基本過失割合は5:95だという。
【一発免取】軽傷でも人生終了 自転車ひき逃げ事件の代償を徹底解説!過失割合100:0のリアル2026年4月15日三重県いなべ市で発生した「乗用車による自転車ひき逃げ事件」について徹底的に解析します 。被害者のケガは軽傷でしたが、事故を起こして「逃げる」という選択をしたことで、その代償は計り知れないものになります 。同方向への追突事...
この5%とはいったい何の過失を内包したのか知りませんが、基本過失割合の前提と内包された過失という概念を理解してないと、こういう間違いを犯しやすいのよね。
「その5%の理由は?」と聞いたところで、答えられないでしょう。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。




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