PVアクセスランキング にほんブログ村
スポンサーリンク

自転車の「路側帯の逆走」と罰則の適用。

blog
スポンサーリンク

読者様から質問を頂きました。

読者様
読者様
本件についてではないのですが、自転車の路側帯通行についてです。
自転車で路側帯を逆走した場合、17条の3第1項の違反になりますが、
第2項の歩行者妨害と違い、罰則が書かれていません。
逆走については罰則が無いのでしょうか?
(特例特定小型原動機付自転車等の路側帯通行)
第十七条の三 特例特定小型原動機付自転車及び軽車両は、第十七条第一項の規定にかかわらず、著しく歩行者の通行を妨げることとなる場合を除き、道路の左側部分に設けられた路側帯(特例特定小型原動機付自転車及び軽車両の通行を禁止することを表示する道路標示によつて区画されたものを除く。)を通行することができる
2 前項の場合において、特例特定小型原動機付自転車及び軽車両は、歩行者の通行を妨げないような速度と方法で進行しなければならない。
罰則 第二項については第百二十一条第一項第八号)

これですが、17条の3第1項はあくまでも17条1項の例外規定だと明確にしている(第十七条第一項の規定にかかわらず)。

 

そのため、「道路右側の路側帯通行」は17条1項の例外として定められていないため、違反は17条1項、119条1項6号が適用されます。

 

17条1項は車道通行義務を定め、歩道と路側帯の通行を禁じている。
しかし17条の3第1項で「道路左側の路側帯」であれば条件付きで通行を許している。
道路右側の路側帯は通行を許可する規定がないのだから、右側路側帯を通行すると「法定の除外事由に当たらないのに、車道を通行せず、道路右側の路側帯を通行した」として17条1項の違反になる。

 

なので「17条の3第1項の違反」という捉え方が間違いになります。
あくまでも義務付け規定(17条1項)と、その例外規定(17条の3第1項)という関係なのでして。
「例外規定に合致しない」=「義務付け規定に違反している」という構図。

 

同じ理屈は17条5項4号もそうでして、

5 車両は、次の各号に掲げる場合においては、前項の規定にかかわらず、道路の中央から右の部分(以下「右側部分」という。)にその全部又は一部をはみ出して通行することができる。この場合において、車両は、第一号に掲げる場合を除き、そのはみ出し方ができるだけ少なくなるようにしなければならない。
四 当該道路の左側部分の幅員が六メートルに満たない道路において、他の車両を追い越そうとするとき(当該道路の右側部分を見とおすことができ、かつ、反対の方向からの交通を妨げるおそれがない場合に限るものとし、道路標識等により追越しのため右側部分にはみ出して通行することが禁止されている場合を除く。)。

この規定は分かりにくいが、噛み砕くと

 

「左側通行の原則(前項の場合)は、追い越し目的で右側通行する際には適用しない。ただしそれには条件があり、道路の右側部分を見とおすことができ、かつ、反対の方向からの交通を妨げるおそれがない場合に限定する。さらにイエローのセンターラインの場合には、追い越し目的で右側通行することを禁止する」というもの。

 

5項には罰則が規定されていない。
しかしそもそも、5項は4項の例外規定なのだから(「前項の規定にかかわらず」とある)、

イエローのセンターラインなのに追い越しのために右側通行した場合、「17条4項の例外規定(5項各号)に当てはまらないのに右側通行した」ということになるため、違反は17条4項、119条1項6号になる。
それは「追い抜き目的で右側通行した場合」も同じで、5項各号に「追い抜き目的で右側通行できる」とする例外規定がないのだから、「例外規定に当てはまらないのに右側通行した」として17条4項の違反になる。

 

なのでイエローのセンターラインの場合に、追い越し目的で右側通行した場合も、追い抜き目的で右側通行した場合も公訴事実は変わらない。

どちらの場合も罪となる事実は「法定の除外事由に当たらないのに、道路の左側を通行せず、右側を通行した」として17条4項、119条1項6号の罪になる。

 

同じ理屈は自転車の歩道通行にも当てはまる。
63条の4第1項には「17条1項の規定にかかわらず」歩道通行できる要件を挙げている。
63条の4第1項には罰則規定がないですが、63条の4第1項各号の規定に当てはまらないのに歩道通行したときは、「法定の除外事由に当たらないのに、車道を通行せず、歩道を通行した」として17条1項、119条1項6号の違反になります。

 

分かりにくいですよね。
読者様指摘の事案は、義務付け規定として「車道通行の義務(17条1項)」を定め、17条1項の例外規定として「左側の路側帯を条件付きで通行可能(17条の3第1項)」とする。
義務付け規定と例外規定、ということに気づくとわかりやすいのかも。

 

全然違う事例をケーススタディしてみましょう。
一般原付が自転車道を通行した場合はどうなるか?

(通行区分)
第十七条
3 特定小型原動機付自転車(原動機付自転車のうち第二条第一項第十号ロに該当するものをいう。以下同じ。)、二輪又は三輪の自転車その他車体の大きさ及び構造が自転車道における他の車両の通行を妨げるおそれのないものとして内閣府令で定める基準に該当する車両(これらの車両で側車付きのもの及び他の車両を牽けん引しているものを除く。)以外の車両は、自転車道を通行してはならない。ただし、道路外の施設又は場所に出入するためやむを得ないときは、自転車道を横断することができる。

17条3項は他の規定の例外という形態をとっていないため、一般原付が自転車道を通行した場合には17条3項の違反になる。

保土ケ谷簡易裁判所は,平成23年12月19日,「被告人は,平成23年1月23日午後3時57分頃,自転車道の設けられている神奈川県茅ヶ崎市矢畑1392付近道路において,原動機付自転車を運転して自転車道を通行した。」旨の事実を認定した上,道路交通法17条3項,119条1項2号の2,刑法66条,71条,68条4号,18条,刑訴法348条を適用して,被告人を罰金6000円に処する旨の略式命令を発付し,同略式命令は,平成24年1月5日確定した。

最高裁判所第二小法廷 平成27年4月20日

※現在の罰則は119条1項6号。

 

ところがこの裁判は非常上告事件、つまり検察官が誤った法律適用で起訴し有罪が確定させてしまったから、検事総長が「破棄してくれ」と最高裁にお願いしている。
誤った法律適用というのは、この原付が通行したのは「自転車道」ではなく「普通自転車専用通行帯」が正しく、本来なら20条2項、120条1項3号を適用して有罪にすべきところ、検察官が「自転車道を通行したから17条3項、119条1項2号の2の罪」と誤って略式起訴し裁判所も間違いに気づかず略式命令を出して有罪が確定したため、検事総長が「確定した有罪判決を破棄してくれ」とお願いしている。

しかしながら,一件記録によると,本件道路の部分は,道路交通法2条1項3号の3に規定する自転車道に当たらず,神奈川県公安委員会の意思決定により,自転車専用との道路標示がなされ,その旨の道路標識が設置された,同法20条2項,2条1項7号,4条1項により自転車のみが通行することができる自転車専用通行帯であり被告人が本件車両を運転して自転車道を通行したとはいえないから,前記略式命令の認定事実は罪とならなかったものといわなければならない。
そうすると,原略式命令は,法令に違反し,かつ,被告人のため不利益であることが明らかである。

例えば窃盗犯に窃盗罪ではなく傷害罪で有罪とすることは憲法上違法ですが、それと同じで「通行区分違反罪」ではなく「通行帯違反罪」にしなければならなかったのに、「通行区分違反罪」が確定してしまった。
通行区分違反罪が成立しないのは明らかだから、最高裁は検察官の主張通りに破棄無罪とした。

 

ところでこの裁判では、検察官は「略式起訴した手続き自体も違法だった」と主張している。
どういうことかというと、青切符の違反は反則告知して反則金の納付がないときに初めて起訴できる。
被告人は「通行区分違反罪」というやってない行動に対し反則告知され、反則金の納付がないなどの理由で略式起訴されてますが、

 

本来成立すべき「通行帯違反罪」として青切符を切らないと、そもそも起訴できなかったから手続き自体が違法だと主張。
しかしそれについては最高裁が認めなかった。

なお,所論は,本件公訴提起に先立ち被告人に対して行われた通告は,被告人が実際にした反則行為と種別を異にする反則行為についてなされたものであるから無効であって,本件公訴提起は,適法な通告に係る手続を経ないままなされたことになり,原略式命令の手続が法令に違反するとも主張している。
しかし,反則行為に係る刑事裁判手続では,起訴状に記載された訴因を基準として訴訟条件である通告が具備されていれば手続を適法に進められるところ,本件においては,起訴状に記載された訴因は自転車道通行という通行区分違反であったのであり,被告人に対しては通行区分違反に係る通告がなされていたのであるから,通行区分違反の訴因に対応する訴訟条件に欠けるところはなく,原略式命令の手続自体に法令違反はないというべきである。

※「所論」とは上告人、つまりこの場合は検事総長の意見のこと。

 

「法律適用を間違えて有罪が確定した」のであれば、破棄無罪になる。
しかし訴訟手続きが違法だった場合には「原略式命令を破棄し、公訴を棄却する」になる。

 

無罪と公訴棄却では意味が違いますが、なぜ検事総長がこの主張をしたのかはわかりません。
公訴棄却、つまり裁判自体の打ちきりなら一事不再審の問題が起きないと捉えれば、改めて被告人に通行帯違反の切符を切ることもできなくはないのかもしれませんが、公訴棄却でも一事不再審の問題が起きるという解釈が主流らしく(?)、狙いはなんだったのだろう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました