運転レベル向上委員会が、また判決文を確認することになく判決を解説するという離れ業をしてますが、
この人って反省しないタイプなのだろうか?
というのも、例えば時速268キロポルシェの危険運転致死罪についても運転レベル向上委員会が解説してましたが、

判決文にある内容と、運転レベル向上委員会が力説した内容にはだいぶ違いがあり、なぜ横浜地裁が危険運転致死罪(進行制御困難高速度)を認めたかを全く理解してないのよね。
大分の194キロ事故にしても、三重の146キロ事故にしてもいまだ正確な理解とは程遠い状態をみると、判決文を読んだとしても間違えるのはほぼ確実と思われますし、なにせ判決内容の改竄は運転レベル向上委員会の得意とすることとはいえ、

判決文を確認することなく判決内容を解説した結果、判決文とは異なる内容に陥り、持論を否定するわけにいかなくなり正しい理解から遠退くという悪循環に陥っている。
その結果が、いまだに大分地裁判決と名古屋高裁判決を「同一線上で比較」する明確な誤りをおかしてみたり(両者は「論点が異なる事案」であり、矛盾しない)、268キロポルシェの事故における「進路」とはなんなのかも理解できない結果に至る。
こういう人をみると、反面教師としか言えないわな。
ところで、報道というのが判決内容を正確に伝えてないことが多々あるのは今までもいくつか挙げてきましたが、例えば苫小牧時速118キロ白バイ事故。
苫小牧白バイ事故で右折車が有罪になった理由は、事実認定にある(なお基本的な事実については、被告人と検察官の間で争いはない)。
◯被告人が対向車を確認した地点

◯被告人が右折を開始した際の位置関係

被告人はほぼノールックで右折を開始したが、その際、既に対向白バイは79mの距離に迫っていた。
被告人車は大型車だから、対向車の「進路」を横切るのに時間がかかりますが、要するに信頼の原則でいう「制限速度+20キロ」を想定していれば、79mの距離に対向車が迫っていた状況では右折することは許されない。
しかし対向車の確認を十分せず、79mの距離に迫っていた対向白バイを見落として右折したのだから有罪になっている。
けど、報道ではこれらの位置関係が全く報道されず、報道のニュアンスは「きちんと確認して右折したのに著しい高速度の白バイが突っ込んだ事故」だと誤認させている。
正しい内容は「ほぼノールックで右折した結果、至近距離に迫っていた白バイを見落として衝突したが、たまたまその白バイが時速118キロという著しい高速度だった」。

報道のニュアンスと判決文に乖離があるけど、裁判は事実を認定し、その認定した事実に対して法的評価をするのだから、報道のように事実が曖昧なら妥当な判決なのかわかるわけないのよね。
こういう報道もある。

報道から推測するイメージは、どこぞのロードバイクがビュンビュンかっ飛ばして、犬のリードも見落とした「著しい前方不注視」なんじゃないのか?とすら思える。
しかし、裁判所の認定はそもそも違う。
本件遊歩道は、公園敷地内の、歩車道の区分がなく、自転車・歩行者の通行区分もない見通しが良好な道路で、交通規制もない。本件遊歩道の路面は平坦なアスファルト舗装で、本件当時は乾燥していた。本件遊歩道は、本件現場の先で、左にカーブしており、カーブ部分の南側には、扇状の階段(以下「本件階段」という。)がある。
本件事故当日、原告は、父母とともに、本件現場付近に車で訪れ、(中略)。各人が一匹ずつリードでつないだ犬を連れていたが、原告が連れていた本件犬が自力で階段を下りなかったため、原告は、本件犬を抱えて本件階段を下りた。原告が、本件階段下の草地で本件犬を下ろしたところ、本件犬は本件階段付近の草を探っていた。本件リードは、リール付きでリードの出し入れをして伸縮できるものであった。なお、原告の父Bは、先に階段を下り、遊歩道を渡って北側の草むらで、自身が連れてきた犬を遊ばせていた。
被告は、ロードバイクである被告車を運転して、本件遊歩道のやや左側を、西から東に向かって、時速約20キロで走行していた。被告は、別紙図面3の①地点で、進行方向の(ア)地点に原告が佇立していること、被告からみて原告の左側の草むらに人(B)と同人が連れた犬がいることを認識したが、この時、原告がリードを把持して本件犬を連れていることは認識していなかった。被告は原告の右側のスペースが広く空いているように見えたため、原告の右側を通過しようと考え、また、進行先で遊歩道が左にカーブしていることから、被告車のペダルを漕ぐのをやめて速度を落として進行し、原告の右側を走行しようとした。被告が、②地点を通過しようとした時、原告が把持していた本件リードと、被告車のチェーン部分等が接触して絡まり、被告車はその場において停止する力を受けた一方、被告の身体は、慣性によって被告車から離れて、前方に進んで芝生の上に倒れ込み、被告車も倒れた。他方、原告は、右腕が引っ張られる形で転倒した。(中略)
実況見分が行われ、本件現場において、自転車走行時及び停止時の本件リードの視認可能性を確認するために、被告車と同等の大きさの自転車を時速20キロないし25キロの速度で走行させて本件リードの視認状況が確認された。
警察官は、本件リードの存在を認識しない前提で、3度にわたり、通常の状態で前方を注視しながら自転車を走行させる実験を実施したが、本件リードを張った状態及び緩ませた状態のいずれにおいても、本件リードを発見することは困難であった。一方、警察官が、本件リードの存在に注意しながら時速約20キロで自転車を走行させた時には、本件リードを約9m手前で視認可能であった。
これが一審裁判所の認定。
上の事実認定を踏まえて一審は30:70。
被告は、被告車を運転して本件遊歩道を走行するにあたり、本件現場付近には歩行者が存在したのであるから、周囲の状況を確認して安全に走行すべき義務があるにもかかわらず、これを怠った過失がある。他方、原告にも、他の自転車等の交通当事者が通行することが合理的に想定される本件現場付近で本件犬の散歩をするにあたり、本件リードを適切に操作し、本件犬との距離を適切に保つなどして、人や自転車等の他の交通当事者の通行を妨害しないようにすべき注意義務があったにもかかわらず、これを怠った過失がある。そして、本件事故が公園内であって、散歩や遊戯によって歩行者が不規則・予想外な行動をとる可能性が相応にあるような場所であり、自転車で通行する被告に対して比較的慎重に運転すべきことが要求される場所での事故であることからすると、本件リードの視認可能性が極めて低く、原告の本件リードの操作等が適切とは言い難い面があったとの事情等を考慮したとしても、本件事故における原告の過失相殺率は、30%とするのが相当である。
この事故って、「歩道と車道の区別がない道路」における自転車と歩行者の事故ですが、歩行者に過失相殺20~30%を認めたという点では、歩行者にそれなりの非があったと判断していることになる。
しかし自転車過失が相対的に大きくなるのは、優者危険負担の原則から仕方ない。
そもそも判決文を見る限り、過失割合がメインの争点なのではなく、素因減額を認めるか否かがメインの争点なんじゃないのか?とすら思えますが、

判決文を読まずに報道から推測するイメージって、判決内容とだいぶ差があるのよね。
運転レベル向上委員会の人って、推測で語った結果、判決内容とはだいぶ差がある状況に陥り、持論を否定することはしたくないからか間違っていても訂正せずごり押しし、その結果、不正確な理解のままになるという悪循環に陥っていますが、
それを信じる人も大変だよなと同情する。
報道って良くも悪くも不十分な情報しかない。
報道内容をみて脊髄反射する前に、「もっと調べてみよう」と思えるかどうかで正確な理解に基づく批評ができるか、もしくは推測による事実誤認による批評になるかが分かれちゃうので、
反面教師にするのがよい。
なお判決文を読んだとしても運転レベル向上委員会が正しく理解できるとは思えないのは、苫小牧白バイ事故にしても、運転レベル向上委員会の理解では「道路交通法34条2項の違反(交差点中心で右折しなかったこと)があったから有罪」だと勘違いしている点。
きちんと読めば、仮に34条2項の違反がなくても有罪なのは明らかですが…判決文を読んだとしてもおかしな解釈をするだけだから、読んでも読まなくても変わらないのだろうか。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。


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