想像と妄想で事故を解説することがいかにリスキーか?という話は何度か書いてますが、運転レベル向上委員会は事故詳細もわからないのに、想像と妄想で転倒したバイクのほうが過失割合が大きいと語る。
以下は現実のドラレコでして。
撮影車やトラックの対応はお見事というか、勇気ある行動なのよね。
緊急時の対応としてはベストだったかと。
さて、運転レベル向上委員会は「落下物」の態様を持ち出してますが、
通常、前車に後車が突っ込む場合には後車の過失が大きい。
車間距離不保持や前方不注視の過失があるからですが、落下物の態様は落下させた前車の過失が大きい基本過失割合になっている。
この理由を考えると、積載物などモノを落下させないというのは基本的かつ簡単な注意義務であって、落下させた時点で通常では考えにくいような著しく重大な過失があると考えられる。
後車の前方不注視などの重大な過失があるとしても、民法722条2項に基づき両者の過失を「公平に」責任分配すると、後車の前方不注視などの過失が大きいにしても、落下させないための注意義務のほうが大きいという考え方なのかと。
今回のケースって、転倒したバイクのヘッドライトが点灯していることから発見は容易な上に、撮影車が右側端にハザードを出して停止していること、トラックがハザードを出して左側端に停止していることなどを考えると、減速し警戒するのが通常。
しかも他の車両は減速してハザードを出すなどしていたことを考えると、なぜにこのバスが前方不注視又は軽信などによる過失が大きいのも明らかなのよね。
このような態様には基本過失割合が設定されていませんが、他の態様から類推適用するよりも、個別判断になるのではないかとすら思える。
ところでちょっと前に「推測がダメと言いながら、あんたも推測してるよね」みたいなメールが来たんだけど、
何か勘違いしているようですが、「事実の推測」が危険だと言っているのであって、「評価の予測」の話じゃないですよ。
「事実」とは客観的に証明可能な事項のことで、「赤信号だった」とか「昨晩カレーを食べた」とかですよね。
「赤信号だった可能性がある」というのは事実の推測に当たりますが、法律解釈は「事実」ではなく「評価」。
事実と評価の違いを理解してないと、「推測がダメ」という意味が理解できないし、ましてや判例は読み解けない。
さて。
過失割合というのは事故の詳細次第でいくらでも変わるし、同じような事故態様であっても、基本過失割合を適用する事案か、基本過失割合を適用せず個別判断する事案かに分かれる。
一例でいうと、交差点での右直事故の基本過失割合は右折車80%、直進車20%(4輪車同士)になっている。
しかし、双方青信号であったとしても、基本過失割合を必ず適用するわけではない。
一例でいうと、大分194キロ事故のような場合には、著しい速度超過という特殊性から、基本過失割合は適用しないのが通常。
逆に直進車に全く回避可能性がない状態のときも、基本過失割合を適用するまでもなく直進車は無過失なのでして。
まずはどういう事実関係なのかを確定しない限り、過失割合を語ることは出来ませんが、ドラレコを見る限り、運転レベル向上委員会が語るような過失割合にはならないかと。
特に「他の多数の車両が減速してハザードを出すなど警戒した」という事実は、衝突し炎上したバスにとっても容易に回避可能だったことを裏付ける要素で、無警戒無減速で衝突したことはかなりマイナスに働くのよね。
そしてこれらから言えるのは、
(特に高速道路上では)ハザードを出して停止している車両があるという時点で、直ちにハザードを出しながら減速して自ら警戒するとともに、他車にも警戒を促すことが大事ということ。
ほとんどの車両がそうしたから、救護措置を講じた方々が事故に巻き込まれず済んだという見方もできる。
バイクがなぜ転倒したのかは明らかではなく、何か踏んだのか?みたいな不自然な動きにすらみえますが、
起きてしまった事故の拡大を防ぐにはベストな行動だったと思うし、何より死亡者が出なかったことからも一連の救護措置や他の車両の動きは良かったと思う。
損害賠償や過失割合なんて話は双方の保険会社同士で解決すればいいし、もっと大事なことがあると思うのよね。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。


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