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「逮捕」が持つ本来の意味と、世間のイメージにある差。

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今回取り上げたいのはこちら。

原形をとどめない程に…大型トラックと正面衝突した乗用車が大破 運転していた20代位の男性が死亡し助手席の女性もケガ|FNNプライムオンライン
愛知県みよし市で26日未明、大型トラックと正面衝突した乗用車が大破し、運転していた20代くらいの男性が死亡したほか、助手席に乗っていた女性もケガをしました。 みよし市三好町の県道54号線で26日午前0時半すぎ、乗用車と大型トラックが正面衝突...

クルマの正面衝突事故で、どちらかがセンターラインをはみ出したと考えられて捜査が続いている。

 

これについて、運転レベル向上委員会は大型トラック側が現行犯逮捕されてないことを理由に、乗用車がセンターラインをはみ出したのだと力説している。

どちらがセンターラインをはみ出したのかはわからないのですが、一番の問題は運転レベル向上委員会の思考回路。

 

死亡事故については、現行犯逮捕リスクが上がるとされている。
現行犯逮捕も令状逮捕もその要件は「証拠隠滅や逃亡のおそれがあるとき」になりますが、相手が死亡したという現実から思い詰めて自殺してしまう(=証拠隠滅や逃亡のおそれがあるときある)ことを懸念して現行犯逮捕することがわりとある。

 

相手がかすり傷なのに、思い詰めて自殺するというのは考えられないのだから、このような発想で逮捕するのは「相手が死亡又は意識不明の重体」の場合になる。
しかし死亡事故や重体事故について、必ず逮捕するわけではない。

 

さて。
では現実に「死亡事故」においてどれだけ逮捕されているのかは明らかではないけど、

 

例えば池袋暴走事故のように、加害者が赤信号無視で横断歩行者に衝突したケースであっても、逮捕(現行犯/令状ともに)はされていない。

もし池袋暴走事故について、事故発生からしばらくの間「事故の詳細」が発表されなかったときに、

 

「現行犯逮捕もされてないし、退院後も逮捕されてないから、クルマは青信号、被害者が赤信号だった可能性が高いんです!」

 

と語るのだろうか。
凄まじい名誉毀損になりかねないのだが…
どちらが信号無視したか、どちらがセンターラインをはみ出したかは過失の大小(むしろ過失の「有無」に近い)を構成する大要素になりますが、過失が大きいから逮捕…という法律ではない以上、逮捕の有無から過失の大小(もしくは有無)を推測するのは的外れだし、やってはいけないのよね

 

もちろん、各個人の内心として思うことは自由でしょうが、それを第三者に向けて解説するとなるとアウト。

 

ところで運転レベル向上委員会は、どちらがセンターラインをはみ出したかについて発表しない警察の姿勢をも非難してますが、

 

これはもちろん理由があります。

 

警察は大型トラックの運転者から事情聴取し、現場の痕跡、他の通行車両のドラレコなどを総合的にみて実況見分調書を作成する。
しかし重要なのは、警察が作成した実況見分調書が必ず正しいという保証はどこにもないこと。

 

現に警察が作成した実況見分調書が不正確と裁判所に判断されることがあり、

法律を知らずに判例を語ると、違う内容になってしまう。
ずいぶん前に有名な「福井地裁 平成27年4月13日判決」を取り上げてますが、なんかまたおかしな解説をする人がいて…法律を知らずに判例を語ると、違う内容になってしまうのかと驚く。福井地裁 平成27年4月13日判決の趣旨事案の概要です。対向車が...

それは民事だけでなく、刑事においても同じ。
要するに「警察の主観」でしかない実況見分調書を、裁判所がどう判断するかはわからないのだから、事故直後にプレスリリースした内容が裁判所に否定されるリスクがある。
そうなってしまったときに、警察は名誉毀損等の不法行為責任を負うこともありうるのだから、事故詳細について警察は発表しないことが当たり前なのよね。

 

だって、訴えられるリスクがある上に、当事者の一方に有利/一方に不利という何ら平等でもない立場に公的機関が立つわけにはいかない。

 

間違っていたときに責任を取らないお気楽YouTuberと、責任問題になりうる公的機関の差。
現に運転レベル向上委員会は明らかな事実無根な動画をいくつも作成しながら、訂正謝罪するなど責任を取ることはない。

 

そもそも、警察が詳細を発表しないにしても、裁判は公開されているのだから法廷に行く、判決文を見ることで詳細はわかるのに、

 

手間を惜しんでマスコミ報道のみからコタツ動画を作ろうとするから、詳細にアクセスできないだけなのよ。

 

ちなみにこういう事例もある。

【兵庫県警・調書捏造疑惑】交通事故で息子亡くした父が、渾身の『検証動画』で提起したこれだけの事実(柳原三佳) - エキスパート - Yahoo!ニュース
「息子がツーリング中の事故で亡くなってから6年、真実が知りたい、ただそれだけを追い求めてここまで来ました。捜査にあたった兵庫県警は、なぜ、現場に残る痕跡をことごとく無視して調書を偽造したのか、センター

ぶっちゃけた話、これが本当に捏造なのかは私には判断できなかった(裁判所がいかなる判断をしたかの詳細や、どういう証拠を提出したのかもわからないから)。
けど相応に不可解な点はある。

 

さて。
先日読売ジャイアンツの監督が逮捕されましたが、逮捕されることがすなわち悪確定(又は悪の可能性が高い)という論調の人たちには危機感を覚える。
その逆もしかりで、逮捕されていない=悪ではないことが確定(もしくは悪ではない可能性が高い)という論調も同じ。

 

逮捕とは、捜査に係る1手続きに過ぎないのよね。

 

運転レベル向上委員会の思考って、分析家ではなく小説家なのよ。
そもそも、実際に起きた具体的事例に絡めなくても法律や保険の話は可能。
架空のモデルケースを作って解説すれば済むのに、実例に推測を加えまくるからタチが悪い。

 

推定無罪が働かないと揶揄される日本において、その最たる例は「逮捕を過大評価する」なのではなかろうか。

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