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ひき逃げを伴う事故と、道路交通法違反罪の「吸収」。

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相変わらずメチャクチャな解説をしてますがこちら。

事故の報道はこちら。

踏切侵入、低速走行・・・85歳バス運転手に感じた「異変」に職員は:朝日新聞
名古屋市南区の交差点で29日、男女2人がマイクロバスにはねられ死亡した事故で、この送迎バスを運行していた「名古屋スイミングクラブ」(南区)が報道陣の取材に応じた。バスのGPSの情報や目撃情報から、事…

なにがメチャクチャかというと、遮断踏切進入(33条2項)、横断歩行者妨害(38条1項)、安全運転義務違反(70条)が「救護義務違反に吸収される」としている点。

 

救護義務違反とは「事故が起きてしまった後」の話だから、事故の原因になった違反とは併合罪の関係にある。
そのため、他の道路交通法違反が救護義務違反に吸収されることはあり得ない。

 

この場合、過失運転致死傷罪と横断歩行者妨害罪(38条)又は信号遵守義務違反罪(7条)は過失運転致死傷罪に吸収されるのであって、救護義務違反罪に吸収されるわけではない。
なお、安全運転義務違反罪は横断歩行者妨害罪(38条)や信号遵守義務違反罪(7条)と法条競合の関係にあるのだから、

しかしながら、道路交通法70条のいわゆる安全運転義務は、同法の他の各条に定められている運転者の具体的個別的義務を補充する趣旨で設けられたものであり、同法70条違反の罪の規定と右各条の義務違反の罪の規定との関係は、いわゆる法条競合にあたるものと解するのが相当である。したがつて、右各条の義務違反の罪が成立する場合には、その行為が同時に右70条違反の罪の構成要件に該当しても、同条違反の罪は成立しないものと解するのが相当である

 

最高裁判所第二小法廷 昭和46年5月13日

他条の違反が成立する場合には安全運転義務違反は何ら関係がない。

 

で。
救護義務違反に吸収されるか、過失運転致死傷罪に吸収されるかは結果だけをみれば同じ…と考えるのは間違いの原因になる。
というのも、「吸収」とは要するに、より重い犯罪の中で他の違反が既に評価されていることを意味し、

 

具体的にいえば、横断歩行者妨害(38条1項)に違反して歩行者を死傷させた場合には、過失運転致死傷罪の注意義務の中で38条1項と同じ内容が評価されるのだから、横断歩行者妨害罪は過失運転致死傷罪に吸収される。

 

で、ここまで読んでピンときた人がいるかもしれませんが、

 

「遮断踏切進入(33条2項)」は今回の事故の原因ではないから、「遮断踏切進入罪(道路交通法違反)」は過失運転致死傷罪とも救護義務違反罪とも吸収の関係にはなく、併合罪になる。
しかし事故発生とは何の関係もない遮断踏切進入罪は反則行為になる(道路交通法125条)。

 

・遮断踏切進入(道路交通法違反)→青切符で反則金
・横断歩行者妨害又は信号遵守義務違反→過失運転致死傷罪に吸収(ただし行政処分上の点数にはなる)
・安全運転義務違反→法条競合で横断歩行者妨害又は信号遵守義務違反が優先するからそもそも不成立
・救護義務違反→過失運転致死傷罪と併合罪になる

 

そうすると、点数は遮断踏切進入(2点)、横断歩行者妨害又は信号遵守義務違反(2点)、付加点数(20点)、救護義務違反(35点)で計59点になる。

 

「吸収」という概念を理解しないまま語れば、横断歩行者妨害が救護義務違反に「吸収」されるという支離滅裂な解説をしてしまうし、

 

遮断踏切進入のように事故発生とは関係ない違反についても「吸収」だという間違いを起こす。

 

ちなみに下記報道を見る限り、

踏切侵入、低速走行・・・85歳バス運転手に感じた「異変」に職員は:朝日新聞
名古屋市南区の交差点で29日、男女2人がマイクロバスにはねられ死亡した事故で、この送迎バスを運行していた「名古屋スイミングクラブ」(南区)が報道陣の取材に応じた。バスのGPSの情報や目撃情報から、事…

刑事責任を問えないような急な体調不良が起きたか、もしくは運転避止義務違反に該当する問題があったのではないか?とすら思えますが(運転避止義務違反の場合、過失運転致死傷罪の中でもわりと重くなる)、そのあたりは今後の捜査で明らかになるでしょう。

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