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右直事故と過失割合(大阪地裁)。

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ではこちらの詳細。

[回答編]クイズ右直事故と過失割合。
さて、こちらの件。事故の態様をおさらいします。事故の態様。・訴外B車は時速90キロ程度で交差点に向かっていたところ、対向車が右折してきたのをみてブレーキを掛けて減速した(急ブレーキではなく、速度が速すぎるために右折車と衝突するリスクがあると...

事故の態様。

 

・訴外B車は時速90キロ程度で交差点に向かっていたところ、対向車が右折してきたのをみてブレーキを掛けて減速した(急ブレーキではなく、速度が速すぎるために右折車と衝突するリスクがあると考えた)。
・訴外B車が減速したところを追い抜いたバイクは、追い抜いた後にブレーキを掛けて転倒した。
・転倒したバイクはそのまま滑走し、右折車の左後部側面に衝突した。
・訴外B車は右折車ともバイクとも接触、衝突はしていない。

さてバイクと右折車の過失割合ですが、裁判所の判断はこちら。

バイク 右折車
100 0

判決文から見ていきます。

Bは、平成27年3月28日、折からB車を運転し、少なくとも時速80キロメートルを超える速度で南北道路の第一車線を走行していたところ、C警察署の前を通りすぎた時点で、B車のスピードメーターがBにとってとんでもないと感じるような数値を示していたことから、一旦ブレーキを踏み、このとき、第一事件原告運転のX車が後方の第一車線を走行しているのをミラーで確認した。
その直後、Bは、アクセルを踏んで速度を時速約90キロメートルまで上げたが、対向車線である北行き車線の右折用のレーンからY1運転のY1車が同①の地点まで進行してきているのを発見し、B車が同(C)の地点に到達した頃には、Y1車が本件交差点を右折するためにゆっくりと横切りつつあるのを認識し、上記速度(時速約90キロメートル)のまま走行を続けると右折中のY1車に接触してしまうと考えてブレーキを踏み始め、時速50キロメートルまたは60キロメートルまで減速したところ、同(D)の地点において、同(イ)の地点を通過するX車に後方から追い抜かされた。
第一事件原告は、X車を運転し、同(イ)の地点からB車を追い抜き、B車の前方の第一車線の走行を開始するに至ったが、同(ウ)の地点で急ブレーキを踏んでふらついた。他方、Bは、同(E)の地点において、X車がふらつく様子を確認し、X車への追突を回避するため、ブレーキを踏み、第二車線に進路変更した。このとき、Y1車は同②の地点に到達していた。
X車が急ブレーキにより減速したため、第二車線に進路変更したB車は、X車を一瞬追い抜くに至ったが、その頃、X車は転倒してそのまま滑走し、同(X)の地点において、同③の地点まで到達したY1車の左側面後部に衝突し、(以下略)

大阪地裁 令和元年5月22日

なおこのほか、右折車はゆっくり右折していたことも認定されている。
訴外B車も右折車の速度についてはそのように説明してまして。

 

さて。

 

訴外B車と対向右折車の関係については、訴外B車は指定最高速度50キロを大幅に超過しており、訴外B車が速度を緩めただけで右折車との衝突を回避できる距離があったことになるのだから、右折車には道路交通法37条に基づく注意義務違反はないことになる。
道路交通法37条は右折車が直進車の進行妨害をすることを禁止してますが、信頼の原則から「最高速度+20キロ程度」を予見して右折する義務を課しているとされる。
つまり十分な距離があったことを確認して右折したのに、著しい高速度で直進して衝突したような場合には、37条に基づく注意義務違反はないことになる。

 

そして著しい速度超過の訴外B車が速度を50~60キロに「緩めた」だけで右折車との衝突を容易に回避できたのだから、訴外B車を追い抜いて前に出た原告車はなおさら容易に衝突を回避できる距離にあり、

 

右折車は十分な距離があることを確認してゆっくりと右折したところに、右折車の左側面後部に衝突されたのだから、右折車に回避可能性は認められない。
つまり右折車に過失が認められない。

 

ところで、右折車対直進二輪車の基本過失割合は85:15ですが、双方ともに過失割合が設定されているように、双方ともに過失がある前提の事故態様をイメージしている。
片方に過失が認められない事故については、基本過失割合を検討するまでもなく0:100になるわけですが、

時速120キロ直進車と対向右折車の衝突事故、2つの判例から。
ちょっと前になりますが、時速120キロで交差点を直進し対向右折車と衝突した事故について、過失運転致死傷罪(執行猶予)とした報道がありました。スポーツカーで交差点を時速約120キロで走行し、衝突した軽乗用車に乗っていた9歳女児を死亡させたなど...

以前も解説したように、右折車に過失が認められない事故については、右折車は0%になる。
運転レベル向上委員会は全ての事故に基本過失割合が適用されるかのように解説してますが、それは判例タイムズ39号の説明を無視した「切り抜き」でしかない。

 

ではなぜ、運転レベル向上委員会がおかしな解説を繰り返すのか?
これですが、そもそも運転レベル向上委員会は自ら取材するでもなければ、判決文を探して読むわけでもなく、報道を見ただけの勝手な妄想に過ぎない。
右折開始した際の両者の距離もわからなければ、基本過失割合を適用する事故なのか、基本過失割合を適用しない事故なのかわかるわけもないのですが、

 

報道にそのような詳細は出てくるわけもない。

 

詳細がわからないのに過失割合を解説するとしたら、「基本過失割合が適用されない非典型例」という存在を無視して、都合よくストーリーを描くしかないのよね。

 

基本過失割合を適用しない非典型例という概念はわりと大事で、具体的には大分の時速194キロ事故が当てはまる。
運転レベル向上委員会は被害者である右折車のほうが過失が大きいなどと誹謗中傷までしてましたが、刑事判決文にもあるように、右折車無過失という事案なのよ。

その上で、被告人が、常習的に高速度走行に及んでいたことなど自己に不利益な事実を率直に認めたり、本件事故現場での献花を続けたりして、反省の態度を示していること、未だ若年であること、両親が出廷して社会復帰後の監督を申し出ていること、被害者の遺族に対して保険により損害全額の賠償がなされる見込みがあることのほか、被告人の責めに帰し得ない事情のため公訴提起から公判審理までの期間が長引き、被告人として不安定な状態に置かれ続けたことといった一般情状も考慮し、主文の刑を量定した。

大分地裁 令和6年11月28日

基本過失割合が適用されない事故があることを知らないとまずいのよね。
保険会社も教えてはくれない。

コメント

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