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踏切事故未遂についての運転レベル向上委員会の解説が支離滅裂な理由。

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運転レベル向上委員会の人は相変わらず道路交通法に疎いようですが、

この事案は警報器が鳴っていることを見落として踏切に進入したバスが、踏切内で遮断機が降りてしまったもの。
運転手はバスを踏切内から脱出させることよりも、非常停止ボタンを押すことで衝突事故に至ることを回避したものの、バスを踏切内から脱出させる行動よりも非常停止ボタンを押すことを優先した判断に非難が集まったもの。

 

まず運転レベル向上委員会は「踏切内にバスが入ってから警報音が鳴った/入っていくときには鳴っていなかったのではないか?」という謎前提に立ってますが、これは運転レベル向上委員会が事実確認を怠ったことから間違えている。

4 当該バス運転士からの主な聴取内容
① 踏切進入前の左右確認は実施したが、警報機の目視を怠った。
踏切進入前に運転席側の窓を開けておらず、遮断機の警報音は聞こえなかった。
③ 踏切進入後に遮断棒が降下し、反射的に接触を避けようとしてバスを停車した。
④ 列車を停止させることを最優先に行動し、直ちに緊急停止ボタンを押下した。
⑤ 列車が停止したことを目視にて確認し、児童を踏切外の安全な場所へ避難させた。

5 事故発生原因
(1)ドライブレコーダーの映像及び当該バス運転士からの聴取による判明事項
・当該運転士による踏切進入前の警報機目視確認不十分
ドライブレコーダー上、踏切進入前の警報音がわずかに感知できる。一方、当該運転士は感知できていなかったこと。
・当該バスが踏切に進入した後、すぐに遮断棒が降下し始めたこと。

https://www.aikawa-gr.jp/aikawa/wp-content/uploads/2026/06/%E6%B0%B4%E6%A9%8B%E5%AD%A6%E5%9C%92%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%90%E3%82%B9%E8%B8%8F%E5%88%87%E5%86%85%E5%81%9C%E8%BB%8A%E4%BA%8B%E6%95%85%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%94%E5%A0%B1%E5%91%8A%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6.pdf

客観的事実は、警報音が鳴っていることを看過して踏切に進入した。

事業者の報告書は6月29日付けでインターネット公開されていて、運転レベル向上委員会が動画を配信したのは7月3日。
事実確認を怠るから推測によって事実誤認を起こしている。

 

で、運転レベル向上委員会は道路交通法33条3項を理由に、踏切内から脱出することよりも非常停止ボタンを先行させたことを合理的だと語ってますが、

 

運転レベル向上委員会から引用

そもそも条文を読み間違えているのよ。

(踏切の通過)
第三十三条
3 車両等の運転者は、故障その他の理由により踏切において当該車両等を運転することができなくなつたときは、直ちに非常信号を行う等踏切に故障その他の理由により停止している車両等があることを鉄道若しくは軌道の係員又は警察官に知らせるための措置を講ずるとともに、当該車両等を踏切以外の場所に移動するため必要な措置を講じなければならない。

確かにこの規定は、鉄道等に知らせる措置(前段)については「直ちに」とし、移動措置(後段)については「直ちに」としてないことから、非常停止ボタンを押すことが優先で脱出措置が次だとする運転レベル向上委員会の解説が正しいかのように勘違いしてしまう。
しかし根本的にこの規定は、「踏切において当該車両等を運転することができなくなつたとき」を対象にする規定なのだから故障もなければ線路に脱輪したような特別な事情も何もない当該バスは、33条3項の義務が課される「踏切において当該車両等を運転することができなくなつたとき」には当たらない。

 

なお様々な専門書を確認しても、「踏切において当該車両等を運転することができなくなつたとき」とは物理的にその車両の運転が不能に陥った状態だとしている。

 

で。
33条3項が鉄道等に知らせる措置を「直ちに」とし、脱出措置を次にしているのには理由がある。
先に書いたように、この規定は「踏切において当該車両等を運転することができなくなつたとき」、つまり運転不能に陥った状態を対象にしているのだから、運転不能な車両を踏切内から脱出させる行動を優先させても実現できないからなのよね。

 

ところで33条3項は昭和39年改正時に、従来からあった1項、2項に加える形で新設されたもの。
3項については昭和39年から現在に至るまで罰則規定が設けられていない。

 

この理由は下記。

なお、現在、すべての車両等に非常信号用具の備え付け義務が課されていないこと、「車両等を踏切以外の場所に移動するために必要な措置」については事実上不可能な場合が考えられる等の理由により、この規定の違反行為については、罰則が付されていない。

宮崎清文(警察庁交通企画課長)、「道路交通法の一部を改正する法律について」、警察学論集、立花書房、昭和39年7月

運転することができなくなった運転者に「踏切脱出義務」を課しても、運転できないのだから脱出不能なのよね。
どのみち、今回の事案はバスが運転できない状態だったわけではないため、33条3項を適用する場合には当たらない。

 

そしてもう1つ。
運転レベル向上委員会は「窓を開けて警報音を確認する義務はない」と力説してますが、当該規定を確認しましょう。

(踏切の通過)
第三十三条
2 車両等は、踏切を通過しようとする場合において、踏切の遮断機が閉じようとし、若しくは閉じている間又は踏切の警報機が警報している間は当該踏切に入つてはならない

遮断機が閉じようとしている、警報音が鳴っている状態では踏切に進入してはならない。
つまり遮断機の状態と警報機の状態を確認することが義務なんだとわかる。

 

今回の事案は、ドラレコでは警報音が鳴っていることがわずかに感知できているのに、運転者は警報音に気づかずに進入した。
そのようなことを避けるには、窓を閉じていたら確認困難ならば窓を開けて警報音を確認すべき注意義務があるのは当然だし、だから教習所でも窓を開けて確認することを教えている。
「条文には窓を開けて確認しろとは書いてません」と語るのは道路交通法を理解してないと言わざるを得なくて、方法は問わないから警報音を確認する義務があり、窓を閉じていたら確認困難なら窓を開けて確認するのは当たり前なのよね。

 

運転レベル向上委員会の人って、法律を条文の文言だけで捉えようとして、その条文の真意を全く理解しようとしない。
だから33条2項の解釈も、3項の解釈も間違っているわけよ…

 

窓を開けて確認しなくても確認できるなら、窓を開けて確認する必要はない。
窓が閉まっていて確認困難なら、窓を開けて確認するのは義務。

 

だって、条文が求めているのは遮断機の状態と警報機の状態を確認することですよね?

 

なお、当該バス事案については、運転者が警報機の状態を確認不十分だったのに踏切に進入したことが問題とされ、さらに「心理的動揺による踏切内からの緊急脱出に関する判断の誤り」と報告書に記している。
それにもかかわらず、全く関係ない33条3項を持ち出したり、そもそも事実確認すらきちんと出来てないのに憶測で語る運転レベル向上委員会の中の人もどうかと思う。

 

テンパって脱出させることよりも非常停止ボタンを優先したそうですが、脱出する方が安全な状況だったのは言うまでもない。
事実誤認しているのもどうかと思うし、法律解釈もデタラメだから何を優先させるべきかまで勘違いしている。
不幸中の幸いで、事故に至らなかったことだけが救いなのよね。

コメント

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