夜間に歩行者の通行が予定されていないパイパスにて、歩行者をはねたという事故ですが、
なぜ深夜2時のバイパスに9歳児が?軽自動車にはねられ重体…54歳運転者の責任を検証#交通事故 #赤坂バイパス #過失運転致傷2026年8月1日午前2時15分ごろ、広島県福山市赤坂町の国道2号「赤坂バイパス」上り線で、福山市内に住む小学3年生の男児(9)が、会社員の男性(54)が運転する軽乗用車にはねられました。男児は全身...
解説内容が不十分と言わざるを得ない。
道路交通法上、夜間の原則はハイビームであり、すれ違いや他の車両の直後を通行する際にはロービームとなってますが(52条)、現実的にはロービームで通行することは運転慣行としてよくあることでして。
それは52条2項でいう「他の車両等と行き違う場合又は他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるとき」に該当していることも多いでしょうし、該当していなくてもロービームということはわりとある。
では、自動車運転処罰法5条でいう「過失(不注意)」として考える場合、ロービームであることが直ちに過失となるか?というとちょっと違う。
52条2項でいう「他の車両等と行き違う場合又は他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるとき」に該当するか否か?という問題でもない。
判例では、このような注意義務違反が認定されてきた。
自車の前照灯を下向きにして進行する場合、前方30mを超える距離にある障害物を確認できないことを前提として、自車の速度を調節すべき注意義務を負っていたものと解するのが相当である。(中略)スチールラジアルタイヤを装着すれば、運転者が危険を感じてから停止するまで約29mを要するのであるから、運転者が前方注視を厳にし、障害物を約30m前方に発見して直ちに制動の措置を講ずれば、その直前において停止し、これとの衝突を回避することが不可能であるとはいえない。しかしながら、運転者は絶えず前方注視義務を十分に果すことが理想であっても、長い運転時間中に一瞬前方注視を怠ることもありえないとは言えず、あるいは前方注視義務を十分に果していても急制動の措置を講ずることに一瞬の遅れを生ずることもないわけではなく、さらに運転者がその注意義務を果そうとしても外部的事情により義務の履行が困難となることがありうることを考えると、運転者としては、車両の性能と義務の履行につき限界すれすれの条件を設定して行動すべきではなく、若干の余裕を見て不測の事態にも対処できるような状況の下で運転をすべき業務上の注意義務があるといわなければならない
東京高裁 昭和51年7月16日
令和5年12月10日午前4時9分頃、普通貨物自動車を運転し、長野県佐久市(住所省略)先道路を同市A方面から同市B方面に向かい進行するに当たり、同所は道路標識によりその最高速度が40キロメートル毎時と指定されていた上、当時は早朝で暗く、前方の見通しが十分でなかったのであるから、同最高速度を遵守するはもとより、前照灯を上向きにするか、あえて前照灯を下向きにして進行する場合には、その照射範囲に応じて適宜速度を調節するとともに、前方左右を注視し、進路の安全を確認しながら進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り、前照灯を下向きにしたまま、前方左右を注視せず、その安全を十分確認しないまま漫然時速約72キロメートルで進行した過失により、折から進路前方を右方から左方に向かい横断歩行中のC(当時85歳)を前方約25.8メートルの地点に認め、急制動及び左転把の措置を講じたが間に合わず、同人に自車右前部等を衝突させるなどして同人を路上に転倒させ、よって、同人に全治不詳の多発性外傷の傷害を負わせ、
長野地裁 令和7年10月30日
要するに、視認可能な範囲で停止できる速度で通行すべき注意義務があるというのが判例の立場なのよね。
現実的に、対向車がいたりすればロービームで通行することはあるわけですが、ロービームで通行するならばその照射範囲内で制動できる速度であるべきとする。
そして東京高裁は「車両の性能と義務の履行につき限界すれすれの条件を設定して行動すべきではなく、若干の余裕を見て不測の事態にも対処できるような状況の下で運転をすべき」ともいう。
52条2項に該当する場合において、制限速度60キロの道路をロービームで時速60キロで通行することは道路交通法違反とは言えない。
安全運転義務(70条後段)でいう、
「夜間」という状況において、60キロで通行していても「他人に危害を及ぼすおそれがある速度だった」として検挙することはムリがある。
道路交通法違反と過失(不注意)は別の概念ですが、ロービームで通行するならば「その照射範囲に応じて適宜速度を調節する」「車の前照灯を下向きにして進行する場合、前方30mを超える距離にある障害物を確認できないことを前提として、自車の速度を調節すべき注意義務を負っていた(注、現行規定におけるロービームの照射範囲は前方40mである)」ことを理解している人はどれだけいるのだろうか?
そして勘がいい人はわかると思うが、路面がウェットであればさらに速度を抑える必要がある。
「過失=道路交通法違反」という誤った構図の人は、道路交通法違反に当たるか否かしか考えなくなる。
各種専門書でも過失と道路交通法違反は別であることが書いてありますが、道路交通法違反に固執することは正確な知識や運転における注意義務が何なのかを得られなくなるリスクが高いのよ。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。





コメント