電動ブレーキや無線ブレーキは、恐らく永久に販売されないだろうという話。

ずいぶん前に書いた記事で、【なぜ電動変速があるのに電動ブレーキがないのか?】というものがあります。

なぜ、電動変速があるのに電動ブレーキはないのですか?【質問いただきました】

これについて、ご意見を頂きました。



電動は・・・

こんにちは。メカトロニクスの技術者してます。
純電動ブレーキはまず実現しないでしょうが、電動ブレーキブースターは可能だと思います。
”少ない力でも電動ブースターによってしっかり止まります。”てなブレーキなら現行の技術で作れます。ブースター、自動車は標準装備です。
でも自転車の総重量からして作るメリットは少ないと思います。
普通のブレーキでちゃんと止まれますし、ブーストがなくなったときの落差が大きいので。
自動車はブレーキ倍力装置(ブレーキブースター)標準で付いてます。これ切れると(エンストするとか)すごい踏力しないと止まりません。怖い怖い。

電動変速、走行不能になります。。
先日S社の電動でスマホをリンクさせたことが原因で変速不能になりました。
動かなくなった時のギヤ比が、、、、。競輪選手でもきついと思う高倍率で、私には漕ぎ出し不能で、走行不能になりました。S社に問い合わせしましたが、押して帰れって。こんな所でどうしろって。((;。;))

メカトロ技術者の立場から言わせてもらうと、システム故障時に”人が全手動で介入できないシステムは”危険”です。

漕ぎ出し不能で途方に暮れた自転車は、寄らば万寿の知恵で、チェーンを切り詰めてシングルスピード化してどうにか自転車店までたどり着きました。

専門家のご意見、ありがとうございます。
実は私も、電動ブレーキはシマノなら製品化できるくらいの実力はあると思いますし、スラムの無線に対抗して、無線ブレーキだって作ろうと思えば作れるだろうと思ってます。
微妙なブレーキタッチについても、恐らくは今の技術なら出来るでしょう。

電動最大のデメリットは

この方は急にS社の電動変速が故障したというお話です。
実はこれ、何回か似たような事例は聞いたことがあります。
スマホでリンクさせたからとかではなく、急にリアだけ動かなくなったという話も聞いたことがありますし、故障するとトップギアに固定されるという話も聞いたことがあります。

ワイヤー式でも、ワイヤー切れたら終了します。
しかしワイヤーが切れそうかどうかは、STIのところを見ると何となく予想が付きますし、そもそも一気に断裂することはあまり一般的ではありません。
ワイヤーが切れるときは、ワイヤーの一部だけ切れて、それが引っかかって変速がうまくいかなくなるという事例がほとんどです。

電動の場合、配線の断線はもっての他として、それ以外の故障はいつ起こるのか予想が付きません。
これが最大のデメリットです。

まあ、押して帰れというS社も凄いですね。
実際、押して帰る以外に方法は無いのですが。

これは変速だからまだマシですが、もし電動ブレーキや無線ブレーキが開発された場合、一番恐れるのは故障時です。
電動ブレーキ自体は、モーターでキャリパーを動かせばいいだけでしょうし、そこそこのものはシマノクラスならすぐにでもできるでしょう。

でも、故障して作動しなくなったらどうなるのか・・・と想像しただけでも怖いですよね。
走行中に知らない間に故障していたら、レバー引いてもブレーキが全く効かないという珍事が発生し、大パニックになるのは目に見えています。
故障だけでなく、バッテリー切れというケースもあるでしょう。

メーカーは、あらゆるリスクを想定してないと、訴えられて負けます。
電動ブレーキや無線ブレーキは、下手すると会社を潰しかねないほどのパワーを持った危険度なんだと思います。

メカトロ技術者の立場から言わせてもらうと、システム故障時に”人が全手動で介入できないシステムは”危険”です。

まさにこれですよね。
変速の場合は、故障して動かなくなっても、危険度はそんなにありません。
単にツライというだけの話です。
ブレーキが効かなくなったら、暴走自転車になってしまいますし、暴走老人問題が取り上げられている中、そんなものを製品化するリスクを取るとは思えません。

こんな時代だから、ワイヤー式が注目されている

最近、某雑誌で、あえてワイヤー式変速の特集が組まれていました。
電動変速って、確かに魅力的です。
ですが、手動の良さもたくさんあります。

電動式でよく言われることですが、ワイヤー式に比べると変速のタイミングが掴みづらかったりします。
ワイヤー式だと、レバー側にクリック感がありますので、クリックしたら変速するというタイミングがわかりやすいです。
(単に慣れているからというのもあるでしょうけど)

電動の場合、クリック感に乏しいので、変速のタイミングが掴みづらいという方もいます。
それが理由なのか、シマノが特許を取っている無線変速では、ボタン操作ではなくてレバーアクション、つまりワイヤー式と同じレバー方式なんですよね。

次世代デュラエース、R9200(仮)は、油圧電動無線コンポが濃厚でしょうね。

初期の電動、6770を使ったことがありますが、なんていうかいつ変速するのかよくわからず、しかもボタンの押し間違いがありました。
特に冬用グローブだと、なんだかわかりづらかったりします。

電動の場合、ワイヤーが伸びて調整するという概念もありませんし、一度決めたらそれ以降は調整不要というメリットもあります。
しかし、電動化全盛の時代だからこそ、ワイヤー式が脚光を浴びているともいえます。

電動だと、シンクロシフトで勝手に前後動くというのもありますが、なんていうかクソ遅いです。
頭を使わなくても、前後で最適なチェーンラインを選んでくれるわけですが、ワイヤー式の美点は、【ここで先にリアを上げてフロントを落とす】みたいな変速のテクニックが求められることではないでしょうか?

峠の登りって、変速についてもテクニックが求められます。
安易にフロントを落とすと、一気に軽くなりすぎてしまったりなど。
リアを先に数枚上げてフロント落として・・・などと考えてやれるのがワイヤー式の醍醐味でもあったりします。

電動ブレーキ、無線ブレーキは、永久に製品化されない

万が一の故障時や、バッテリー切れなどのリスクを考えると、電動ブレーキや無線ブレーキは、恐らく永久に製品化されることはないでしょう。
今回コメント頂いた方が言っているように、重量面でもデメリットはあるでしょうし。

もし製品化されるとしても、ワイヤーでも引ける構造とか、緊急時に電源を要しなくても動かせる構造にしないといけないでしょうけど、そんなことを考えて作りよりは、今のままで十分でしょうし。

電動ブレーキや無線ブレーキが開発されても、個人的には怖くて使いたくないですね。

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コメント

  1. SHiN より:

    電動ブレーキは難しそうというか、自転車においてはデメリットがメリットに対して大きすぎますよね。
    変速と違い安全に直結するブレーキについては、急な故障に対する冗長性の確保、制動するのに十分なトルクのモーター(及びギア)、その他バッテリーやコントロールユニットなど、搭載するとなると軽量なロードバイクにおいては致命的な重量増(1kg以上?)となりそうです。
    また、個人的には指に伝わる振動などの感覚がないと非常に怖いため、その感覚が得られないであろう完全な電動化はあったとしてもやらないと思います。(フィードバック機能などをつけるとまた重量がかさみそう)
    でも将来的には電動アシスト程度のシステムならもしかしたら登場するかもしれません。それであればワイヤーもしくは油圧による冗長性の確保もできますし、完全な電動化より必要なモーター出力も少ないため、モーターやバッテリー周りの小型化が期待できます。
    それでもEバイク等への搭載があるかも・・・くらいだとは思いますが。
    少なくとも上記の理由により無線化は絶対ないとは思いますね。

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      確かに、指先の感覚って、恐らく知らず知らずに脳内でフィードバックされて、そういう情報もブレーキングに役立てていると思います。
      電動化、もしくは無線化されたブレーキがあったら、そういう指先の感覚は得られないでしょうね。

      まあ、確かにアシスト程度のブレーキなら登場する可能性はありますが、それが必要なのかという問題もあります。
      完全無線化されたブレーキは、怖くて誰も買わないでしょうね。
      人柱覚悟で死に至るみたいなものですので、完全電動ブレーキ、無線ブレーキはメーカーも出さないでしょう。

  2. より:

    システムを安全側に寄せるという思想なら、ブレーキが効いている状態をデフォルト(バッテリー切れ)とするのはどうでしょう?
    走行時に常時バッテリー駆動でシューやパッドを離すので、バッテリーの持ちは悪そうですが。

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      発想としては面白いですね。
      バッテリーでアーチを開くわけですが、走行中にバッテリー切れになった際には、急ブレーキがかかる危険性があるので、そっちの対策も必要ですね。