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アルミフレームがカーボンフレームよりも勝っている点は何なのか?

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初心者さんがロードバイクを買おうとするとき、当然ですが予算を決めていくと思います。
その中で予算が20万ちょっととかになってくると、アルミフレーム完成車とカーボンフレーム完成車、どちらも買えるような位置に来るわけです。




よく、アルミフレームは剛性が高いとか、カーボンフレームは振動吸収性が高いとか言われますが、それぞれの特性に基づいて検証していきましょう。

アルミフレームの特性

先ほども書いたように、アルミフレームは剛性が高いとか、カーボンフレームは振動吸収性が高いとか言われますが、確かにその傾向はあります。

 

カーボンは、ロードバイクのフレーム素材としては最も新しい素材です。
その前の主流はアルミでしたし、さらにその前はクロモリでした。

 

アルミフレームといっても、純アルミニウムで作っているわけではありません。
アルミ合金で作っているので、より正確に書くならば【アルミ合金フレーム】と言えます。

 

アルミ合金は、アルミ以外に何かを混ぜることで作られるのですが、何を混ぜるかによって合金としての特性も変わります。
何を混ぜるかで合金の性質が変わり、それを4桁の数字で表わしています。

 

よくあるエントリーグレードのアルミフレームの場合、使われるアルミ合金は6061が多いです。
6000番台はAL-Mg-Si系合金と言われ、Mg(マグネシウム)とSi(シリコン)を添加したアルミ合金ですが、6061ではさらにCu(銅)が添加されており、強度が高いアルミ合金です。


 

軽量アルミフレームで使われるのは6011や6069あたりが多いでしょうか。
アルミフレーム最軽量なのは、恐らくジャイアントのTCR SLRだと思いますが、使われているのは6011です。
代表的なものをまとめました。

名前 品番
ジャイアント

TCR SLR

ALUXX SLR-Grade Aluminum 6011
コーダブルーム

FARNA SL

6011
コーダブルーム

FARNA SL2

6066
キャノンデール

CAAD12

SmartForm C1 Premium Alloy 6069
スペシャライズド

アレー

E5高品質アルミ合金
トレック

エモンダALR

300 Series Alpha アルミ
FUJI

ROUBAIX

A6-SL custom-butted alloy 6066
コルナゴ

A1-R

COLNAGO A1-r ALLOY 6011
BMC

チームマシーンALR

6061に比べ、6011や6069は重量剛性比が高いので、要は少ない材料で剛性が出せるので軽量化できるわけですね。

 

7000系のアルミを使ったフレームもありますが、7000系はAl-Zn-Mg系合金といわれ、Zn(亜鉛)とMg(マグネシウム)を添加しています。
7075は超々ジュラルミンと言われ、アルミ合金の中で最も高い強度を持ちます。

 

ジュースやビールなどに使われるのもアルミ缶ですので、アルミ合金です。
アルミ缶は3000番台のアルミ合金のようです。

 

アルミ缶って、普通にペコペコ凹みますよね。
アルミ自体は本来、柔らかい金属です。
ですが【アルミフレームは剛性が高い】と自転車界では信じられているので、アルミ合金=硬い、という概念を持つ人も少なくありません。

 

これについてですが、クロモリ⇒アルミにフレーム素材が取って代わられた当初、アルミフレームというのは柔らかいフレームという感想を持つ人も多かったようです。
それを打開したのは、ビアンキのメガプロ。
フレームのパイプの径を大口径化することで、パイプの剛性を上げることに成功したわけです。

 

なので自転車界では、アルミフレーム=剛性が高いという評価になるわけですね。

 

近年、アルミの加工技術も上がってきているので、場所によって厚みを変えたりすることである程度は剛性をコントロールできるようになっています。
剛性を高めたい場所はアルミ合金を厚く、しならせたい場所は薄く、という感じですね。
カーボンフレームの場合は、カーボンのグレードや積層を変えることで、こういう剛性コントロールは容易にできますが、アルミの場合はカーボンに比べるとこういう剛性コントロールは難しいところでもあります。

 

また、どうしても各パイプ同士は溶接するのですが、溶接した箇所は強度としては高くなるのですが、剛性としては落ちます。
最近は一度溶接した後に、金型に入れて一体成型を行い、溶接痕が全くない状態に仕上げることもあります。
ビアンキのインプルソのヘッドチューブとトップチューブのところは溶接痕がありませんが、そういう作業をすることで、見た目の美しさだけでなく、剛性をあげているんですね。

ただ、こういう作業をすれば手間がかかるわけで、その分製品価格は高くなります。
私が見た範囲では、トレックのエモンダALRが溶接部の処理ではナンバーワンだと思ってまして、


溶接痕自体が見当たりません。

 

アルミフレームのグレードを見るときは、実物の溶接痕処理を見るとわかりやすいというか、エントリーグレードになるほど溶接痕処理は汚いです。
溶接痕自体が見当たらないレベルに達しているアルミフレームは、特殊な処理をしてパイプ同士をくっつけているので、見た目だけでなく性能も期待できるというわけです。

 

アルミの場合、素材自体での振動吸収性がさほど高いわけではないので、振動吸収性を上げるにはしならせる方向性になります。
ただしシナリを大きくすれば加速性が落ちる可能性もあるので、どこをしならせて、どこを剛性上げるのかがポイントでしょう。

カーボンフレームの特性

カーボンフレームの場合は、剛性コントロールはカーボンのグレード、積層の仕方で容易に変えることができます。
しかし、カーボンフレームの場合は金型にカーボンを貼り付けていき、加熱したりなどでアルミフレームを作るよりも手間がかかります。
有名なTIMEのカーボンフレームは、一つ作るだけで30時間近くかかるらしいですが、こういう人件費のほか、そもそも金型自体が高いということもあり、どうしても最終的な製品価格はアルミフレームよりも高くなってしまうのが現状です。
カーボンを貼り付けていくのは人の手による作業ですし、人件費の安い国で作るくらいしか、コストダウンできるポイントがありません。

 

アルミフレームの場合、最近は上位モデルだとトリプルバテッドなどと言って厚みを変えたりしていますが、カーボンフレームの場合はそこを厚く盛るなどが容易にできるので、フレーム設計としてはやりやすいのでしょう。

 

カーボンフレームにもピンキリありますが、高いカーボンフレームというのは、いいカーボンを使っているということもありますが、手間をかけているという見方も出来ます。

 

カーボンの場合、素材自体での振動減弱が出来るので、そこは強みです。

アルミとカーボンのメリット、デメリット

簡単にまとめました。

アルミフレーム カーボンフレーム
価格 安い 高い
重量 カーボンより重いことが多い 軽いことが多い
剛性 やや高め 低め~高めまで様々
強度 普通 普通だが一点集中の応力や、想定してない方向には弱い(締め付ける方向など)
振動吸収 低い 高い
経年劣化 金属疲労が進む 紫外線などにより劣化するが、基本的にはアルミよりも高寿命

結構勘違いする人が多いのですが、基本的にカーボンという素材は、アルミよりも高強度です。
ただし一点集中の応力や、想定してない方向への応力には弱い傾向があります。

 

カーボンフレーム=割れやすい、というイメージが付いて回りますが、これは軽量化を追い求めすぎたカーボンフレームの場合です。
基本的には、カーボンフレームは落車程度では壊れません。
カーボンが破壊されるくらいの事故なら、アルミフレームでも壊れます。

 

ただ、ネジの取り付けボルトなど一店集中の力には弱い面もあるので、トルク管理は必要です。

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アルミのトップグレードと、カーボンのトップグレードだと、カーボンのほうがはるかに剛性が高いです。
フレームとしての剛性を上げても、素材としての振動吸収ができるので、成り立ってます。
アルミでガチガチレベルの剛性のフレームを作ったら、振動吸収はかなり悪いでしょう。

 

ちなみに、剛性と強度の違いが分からないという方はこちらへ。
http://roadbike-navi.xyz/archives/1245

 

一般論として言うと、カーボンフレームの安めのものは剛性が低めに設計されているので、乗り心地はいいです。
レースで使うなら、むしろアルミのトップグレードのほうが速いケースは多々あります。

アルミフレームのメリットは3点

アルミフレームのメリットですが、大きく分けると3点です。

 

1、安い
2、エントリーグレードのカーボンよりは剛性が高い(ことが多い)
3、ネジの締め付けではカーボンよりは気を遣わない

 

いまだに落車一発でカーボンフレームが割れると思っている人もいるようですが、それは超レアケースか、超軽量フレームの場合に限られると思っていいでしょう。
プロレースでも落車は普通に起きていますが、フレームが割れる事例はマレです。

 

アルミフレームの利点ですが、安い割にはきちんと走ってくれるという点ではないでしょうか。
私も初代はアルミフレームですが、カーボンフレームとはまた違った魅力があります。

 

最近のアルミフレームを見ると、剛性感バリバリというのが減ってきているような印象を受けます。
上でも書いたように、アルミフレームはパイプ径を変えるだけでも剛性感は変わるので、適材適所に作り分けているのかなと。

 

20万くらいだとどっちがいい?と聞かれると、それは目的次第です。
ノンビリロングライドしたい人に剛性が高いフレームに載せてもしょうがないでしょうし、レースしたい人に剛性低いカーボンフレームだと不満でしょうし。

 

アルミかカーボンかで悩む人もいるかもしれませんが、おおよそのイメージとして、35万以上のカーボン完成車相手だと、アルミフレームは安いということ以外はさほどメリットはありません。
しかしアルミの乗り味が好きという人もたくさんいますので、結局は好みということですかね。




コメント

  1. T より:

    単純な間違いかと推測しますが、「アルミの前はカーボン」になってますよ。
    それだとカーボン→アルミ→カーボンになっちゃいます。

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      あれ?何で間違っているんですかね笑
      ご指摘ありがとうございます。

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