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2輪車の渋滞すり抜けと、道路外右折車の非接触事故。

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とりあえずタイトル通りなので、具体的事例を。

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2輪車の渋滞すり抜けと、道路外右折車の非接触事故

判例は神戸地裁 平成10年10月29日。

 

まずは事故の概要。

渋滞している国道上において、南進してきた加害車両が、右折して路外に出るため、渋滞している対向車両の間隙を抜けようとしたときに、渋滞車両の左側を被害車両で北進走行してきた被害者が、加害車両を避けようとして、道路脇の鉄柱に激突した。両車両は、接触はしていない。

ポイント

・道路外右折車は時速5キロ程度
・2輪車は歩道と車道外側線の間、約1.4mのところを時速約50キロで進行
・2輪車はバランスを崩し歩道の縁石に擦りながら、道路脇の鉄柱に衝突

過失割合ですが、以下のようになっています。

2輪車 道路外右折車
60 40

(一) 本件事故現場は交差点ではないこと、対向車線が渋滞していても、その外側に二輪車が通行可能な外側帯があるとき、渋滞車両の陰を二輪車が進行してくることは容易に予測できるところであること、付近は南下して右折する車両は稀であることを考慮すれば、加害者には、右折開始時に対向車線を近づいてくる車両の安全を確認するだけでなく、開始後も、渋滞車両の陰となる外側帯を北上してくる二輪車がないかに細心の注意を払って、安全を確認しつつ進行する義務があったものと言うべきである。加害車両の右折中の速度は時速5キロメートル程であったと推定されるが、加害者が被害車両を発見した地点は12.7mの至近距離であって、同人運転の加害車両は小型ダンプカーで車高が高いことからすれば、右折進行しながら、常時北進して来る車がないかを注視し、さらに徐行して進行していれば、もっと早く被害車両を発見することができ、あるいは自車が外側帯内に進出しかねまじき勢いを被害者に見せることもなく、それによる被害者の動揺を誘うこともなかったというべきであるから、加害者に過失があったことは否定できない。

 

(二) 他方、被害車両は、制限速度を越えていたとまで認めるべき証拠はないが、渋滞中であって右方への見通しが極めて悪いにもかかわらず、外側帯上をかなりの速度で走行していたこと、左側には、川の西にある敷地へ出入りするための橋が随所に設けられていて、稀とはいえ対向右折車両があることは予測できたこと、渋滞車両に切れ目があれば、右折車等の存在を予測すべきであること、被害車両は加害車両には接触しておらず、単に発見が遅れたために、動揺して平衡を失ったものと推定されること、などの事情を総合すると、被害者の過失は重大である。

 

(三) 以上のような加害者の過失と被害者の過失の双方を彼此斟酌すれば、被害者には、本件事故の発生について、6割の責任分担をすべき過失があったものとして、その被った損害の6割について過失相殺をするのが相当である。

 

神戸地裁 平成10年10月29日

通常、このような事故態様だと2輪車の過失は20%とかそんなもんですが、速度などを考慮して2輪車過失を60%に。
非接触事故の場合、このような認定になることは時々あります。

 

なお、道路交通法の義務関係でいうならば道路外右折車の違反となります。

(横断等の禁止)
第二十五条の二 車両は、歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折をし、横断し、転回し、又は後退してはならない

結果論で考えない

道路外右折車は、正常な交通を妨害するおそれがあるときは道路外に右折することが禁止されているので、この場合には左側端を通行する2輪車がないか確認しながら慎重に右折する義務があります。
もちろん歩道の直前で一時停止(17条2項)して歩行者の有無を確認してから進行することになりますが、その前に25条の2第1項。

 

2輪車側の過失としては、見通しが悪く渋滞車両の間に隙間があることから、道路外に右折する車両や横断歩行者の有無を確認しながら進行すべき注意義務があるわけで、

制限速度内であれば、高速度進行することは道路交通法違反にはなりませんが、当然に予測すべきこと。
たまたま横断歩行者がいたら、被害者になるか加害者になるかはわかりませんし。

 

ところで。
たまに「日本には優先権が規定されてないから過失がつく」みたいな珍説を掲げる人がいますが、もちろん関係なくて、民法の過失と過失相殺の規定の解釈の問題。
道路交通法の優先権がどっちなのかを争うわけじゃなくて、過失(不注意、予見可能な結果を回避しなかったこと)を争うのだからそもそも関係ないのよね。

 

まあ、2輪車のすり抜けをオススメしない理由はこういうところ。

減速して通行することは当然だし、いろいろ考えるのが面倒なら後方待機することになるし。
たまたま何もなかったか、たまたま道路外右折車がいたか、たまたま横断歩行者がいたかについては結果論なので、結果論ではなく「それ以前の話」なんだと考えないと。

 


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